2017.07.10 (月)

清水盛三が語る 2017バスマスターエリートシリーズ前半~中盤戦 苦しみ抜いた末、ニュータイプフロッグでつかんだ準決勝進出

2017年6月2~5日にアーカンソー州レイクダーダネルで開催されたバスマスターエリートシリーズ第6戦で準決勝進出を果たし、後半戦に向けて望みをつないだ清水盛三。

苦しみ抜いた前半戦、第3戦ルイジアナ州トレドベンド、第4戦ミシシッピー州ロスバーネット、第5戦テキサス州サムレイバン、そして復調の兆しが見えた第6戦レイクダーダネルをまとめて振り返ります。

4月から6月前半にかけて4試合という過密スケジュールの中、やっと最後のレイクダーダネル戦で準決勝に駒を進めることができた。この試合は今までの悪い流れを断ち切るキッカケになる内容のあるゲームを展開できたと思う。

試合中のサンダーストーム通過によって激変するコンディションにも自分を信じて冷静に判断、対応できたし、信じて投げ続けたシャワーブローズソフトシェル(プロト)とジャックハンマーがしっかり機能してくれたのも大きかった。まだパーフェクトとはいかないけど、かなり次につながる手ごたえはつかんだと思っている。

ただ、その前のトレドベンド、ロスバーネット、サムレイバンと3試合連続で不甲斐ない試合をしてしまいかなりへこんでいた。でも今振り返ると、それぞれの試合で復調のキッカケはあったと思う。ただ、それを自分自身でつかみ取ることができず、悪い流れの中でもがき苦しんでいた。

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■ ウネリと濁りに悩まされた第3戦トレドベンド

まずは、昨年決勝まで進んだトレドベンド戦から。

開催は4月の前半。公式プラクティスは好調でかなり手ごたえをつかんでいた。朝はシャッドスポーニングパターンのジャックハンマーでモーニングバイト狙い、日が上がってからはサイトフィッシングというパターンだった。

しかし、フタを開けてみると試合当日は激荒れ。シャッドスポーニングパターンではメインレイクを中心に釣っていたので、ウネリと濁りが入りシャッドもいなくなりバスも全く口を使わない。

それでペースを乱され慌ててしまい、サイトフィッシングに行ったけど、スローにじっくり釣ることができない精神状態に陥ってしまいミスを連発。そのなかには4ポンドクラスも……

2日目は風が収まり、狙い通り朝一はジャックハンマーで連発。しっかりリミットメイクはしたものの万事休す。初日のミスが響き、予選通過はならなかった。


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■ フリップ&フロッグで流れをつかみかけた第4戦ロスバーネット

続いてバスマスターエリートが初めて開催されるレイク、ロスバーネット。

4月後半に行われたこの試合もプラクティスは好調で、リーズを3/4ozテキサスリグで釣るパターンでかなり見えていた。しかし、またしても強風に泣かされることに。試合当日、強風によってメインとしていたエリアがかき回され濁りが入ってしまった。さらに減水が重なり……そんな状況で、初めは当初のプラン通り3/4oz(21g)テキサスを撃ち続けたが、ただでさえ浅いエリアからバスは姿を消してしまったかのようだった。

気が付くと時計は12時をまわっている。そこで一旦考えをリセット。やはり減水の影響は大きいと考え、狙いを少し沖目にシフト。バンクから離れたところにパラっと生えるリーズを狙うことに。バンク付近よりカバーの密度が薄くなるため、シンカーを軽めの1/4oz(7g)にチェンジ。そして狙っていくと……3ポンド半のナイスサイズが喰ってきた。

ライブウェルに魚を入れてすぐに釣りを再開。そしてその直後にまたしても4ポンドクラスのビッグフィッシュが来た。完全に狙いはあっている。がしかし……痛恨のバラシ。続けて同サイズを掛けたが、またしても……つかみかけた流れが一気に遠のいてしまった。

2日目は朝一にすぐ1本獲ったが後が続かない。この日も風が強く、台風並み。琵琶湖の北湖、いやレイクエリークラスの超強風で釣りができるところも限られ、行くエリア行くエリア釣り人が多く思った通りにいかない。結局この日も12時をまわって1本のみという厳しい展開に。そんな中、何か感じるところがあってシャワーブローズソフトシェル(プロト)を投げてみた。

するといきなり激しく水面が割れた……が、あまりにいきなりだったのでしっかり反応できず乗せることができなかった。そこで、しっかり集中してシャワーブローズソフトシェル(プロト)を投げていく。そのキャスト、キャストに集中しながらも先、先を見ながら流していくと、少しして、カモメが水中にダイブするシーンが。

「あそこにはシャッドが入っていそうだな、チャンス!」と考えながらそのエリアに差し掛かると……いきなりバイト。今度は集中していたのでしっかりフッキングしてキャッチ。狙い通りこのエリアでは3発出して3発とも乗せることができた。しかし、タイムアップ。残念ながらリミットメイクならずこの試合を終えた。


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■ シャワーブローズが炸裂するも……激荒れの第5戦サムレイバン

5月中旬に開催されたサムレイバンも同様にプラクティスは好調だった。数、サイズともに伸びており、良い場所を数か所持っていた。

試合初日、ジャックハンマーで順調に釣っていたが、これを獲れば流れが来るというときに限ってなぜかバレてしまう。しかも5パウンダーとかのデカいやつから順に……

2日目はワンズバグでビッグフィッシュを掛けたけど、ウィードに入られて結局は藻化け。しかしそれ以外は、朝からシャワーブローズが炸裂して40本以上は釣ったと思う。でも、サイズが伸びなかった。

初日、2日目ともに掛けた魚を全部獲っていれば楽々予選カットラインより上に行けるのに……とモチベーションを維持するのが困難な状態だった。

さらに言えば、試合では行かなかったが、スーパーな場所をあと2箇所持っていた。いや、実際は頭でわかっていたけど体が動かず行けなかったと言った方が正確かもしれない。そのうちの1箇所は自分ではマジックツリーと呼んでいて、ゼルクを通すとガンガン喰ってくる立木のエリアがあった。

そして、リアクションフットボールでは9パウンダーのスーパービッグフィッシュも釣っていた。

なのに試合では1回もそのエリアに行かなかった。なぜかというと、朝はマシだけど日が昇ってから強風が吹いて激荒れのコンディションだったから、そのエリアはモロに影響を受ける場所だったので、過去2、3試合も荒れてエリアが潰れていたことを考えると、釣れないと端から切り捨ててしまっていた。

もちろん単純に、激荒れの中を走るのもきついし、そんな中で釣りをするのもきついという消極的な自分がいた。体調がすぐれていれば、今年波に乗っていれば絶対行っていたと思う。後から聞くと、今年クラシックを勝って波に乗っている若手のジョーダンリーは同じエリアに走っていたようで、実際この試合も4位に入賞している。

すべての試合でつかんでいるものはあるのに、フックアウトや状況判断を誤り自滅するパターンが続いていた。この詰めの甘さは、結果が出ないことからくる精神的な焦りからくるものだとは思うけど、すべては自分の責任。割り切って、いつか来るであろう良い流れをしっかりつかめるように我慢を続けるしかなかった。

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■ サンダーストームにも冷静な判断で準決勝進出 第6戦レイクダーダネル

そんな心境で迎えた6月前半の第6戦レイクダーダネルだったが、冒頭で話したようにようやく準決勝に残ることができた。それにしてもこの試合は、日本では絶対に経験できないような劇的に天候が変わる3日間だった。例えて言えば、初日は台風直前、2日目は台風中、そして3日目準決勝は台風直後に釣りをしているような感じだった。

そんななか、僕としてはめずらしく3日間通して1箇所で釣った。狙っていたのはアメリカのフィールド規模から考えると小規模なワンド。日本で言えば少し大きめと言ってもいいかもしれないけど、そんな狭い中でも魚が多かった。とはいえ、状況変化に合わせてポイントを選ばないと全く反応がなくなったり、狙いを反対側のバンクに変えると固め釣りができたりという感じだった。

そのワンドはどんつきにバックウォーター(細い川)が2本入っていて、実際、右側の流れ込み(ワンドの右バンク)を釣るのか左側の流れ込み(ワンドの左バンク)を釣るのかで、同じワンドを釣っていてもここまで釣果が変わるか?というほどだった。なので、1箇所で粘っていたからといって、守りに入っていたわけでなない。狭い範囲内でも魚の動きを冷静に判断して追い詰めていくという積極的行動、すなわち攻めている状態だった。

メインで使っていたのは、素材やパーツはフロッグだけど動きはただのフロッグじゃないニュータイプベイト、シャワーブローズソフトシェル(プロト)。あとはフォローでジャックハンマー。元々濁った水のレイクだけど、トーナメント期間中の雨によってさらに濁りが入った状態だったので、少しでもマシな水を探していた。

そしてたどり着いた2本の流れ込みがあるそのワンドで、水面に浮く藻とそのまわりを釣っていた。ただ浮いている藻だけでなく、茎がボトムまで入っているものや切れて風向きによって場所や形が変わったりするものもあり、ショア全体に覆いかぶさっているところもあって、そんなカバーのなかにいる魚をシャワーブローズソフトシェル(プロト)とジャックハンマーのパワーで引っ張り出して喰わせていった。

もう1つ言えば、雨、風、濁りの他にも急激な水位変化もこの試合を難しくする要因だった。公式プラクティス前はスロープの上まで水がくるほどで湖がクローズするくらいの大増水だった。しかし、プラクティスが始まるころには一転、水を抜いて減水という状況に。

試合初日はそのままの減水のなかで行なわれた。サンダーストームが来る前だったので、この試合の中では比較的安定した状況下だったこともあって、13ポンド5オンス獲って33位とまずまずの位置に着けることができた。

見た目は本当に微妙な差だけど、右側のバックウォーターは流れが弱く左側の方が少しだけ良く流れていたので、右バンクでも釣れたことは釣れたが左バンク側の方が魚のサイズも大きく良かった。

試合2日目はサンダーストーム。大雨が降って、メインリバーは水位も上がり一瞬で濁りがさらに強烈に。僕が釣っていたワンドはそこまで急激ではなかったけど、バックウォーターが2本入っていていたので、そこからの濁りと流れが変化。

前日同様左バンクが良かったが、この日は流れがより出たためか、9割以上の魚が左バンクだった。結果9ポンド11オンス。2日目を終えて45位でなんとか準決勝に進出することができた。

そして3日目準決勝。前日のサンダーストームの影響がこの日僕が狙っていたワンドにも出てきて、良かった左バンクの流れ、濁りともにバスには強すぎる環境になってしまっていた。逆に右バンクに適度な流れと濁りが入り、この日は左側では全く魚が出てこない。結局全部の魚を右側で釣って11ポンド13オンス。終46位でトーナメントを終えた。

少しホッとしたのと同時に悔しかったのが、今回もデカい魚をミスしてしまったこと。元々濁ったレイクの中でもマシな水色のところを釣っていたこともあって、口を使わせるためにはロングキャストが必要だったし、濁った水でカバー周りのフロッグタイプベイトでロングキャストとなると、ミスバイトやミスフッキングは完全には避けられない。

それがよりによって4ポンドクラスのビッグフィッシュで起きてしまったりと、出た魚、掛けた魚を全部獲っていれば決勝どころか……という試合だった。

しかし今回は、濁っている中での濁りの微妙な変化に気付いて動くという冷静な判断ができたので、その点では良かったと思う。短時間でこんな劇的な天候の変化が起こるのがアメリカの恐ろしさで、その変化にいかに対応できるか、その場その時を冷静かつ瞬時に判断して釣ることができるかがトップカテゴリーで様々なフィールドを戦ううえで最も重要な能力の1つだと言えるからね。

前半〜中盤戦は良いところがなかったけど、実際内容的にはすべての試合で惜しいところまで行っていた。しかし、ミスによってモチベーションを維持できず、それがさらにミスを引き寄せ自滅してしまうというパターンだった。

今回はミスもあったけど、それ以上に試合内容、さらには気持ちも充実していたことが大きい。自分の心持ちをここまでもってくるのに時間が掛かってしまったけど、今シーズン残り3試合もこの状態を維持して悔いのないよう集中したいと思います!


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■ 各試合のタックルデータ

【トレドベンド戦】
[ロッド]ヘラクレス HCSC-73HG レパード
[ライン]フロロカーボン 18lb
[ルアー]ジャックハンマー 3/8oz

【ロスバーネット戦】
[ロッド]シナジー CSYC-77H スーパーマグナム
[ライン]PE 70lb
[ルアー]テキサスリグ
[シンカー]E.G.タングステンバレットシンカー 7g、21g

[ロッド]シナジー CSYC-73MH+ スーパートライアンフ
[ライン]PE 60lb
[ルアー]シャワーブローズソフトシェル(プロト)

【サムレイバン戦】
[ロッド]ヘラクレス HCSC-73HG レパード
[ライン]フロロカーボン 18lb
[ルアー]ジャックハンマー 1/2oz

[ロッド]シナジー CSYC-70M+ マルチローラー(プロト)
[ライン]PE 25lb
[ルアー]シャワーブローズ

【レイクダーダネル戦】
[ロッド]シナジー CSYC-73MH+ スーパートライアンフ
[ライン]PE 60lb
[ルアー]シャワーブローズソフトシェル(プロト]

[ロッド]ヘラクレス HCSC-73HG レパード
[ライン]フロロカーボン 18lb
[ルアー]ジャックハンマー 3/8oz

■清水盛三 公式サイト:No Limit Morizo World
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■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster


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