2008.04.02 (水)

下野流 春のデカバス攻略

バスフィッシング界を牽引し続ける下野正希。
長年にわたるプロガイドとしての経験、そして釣りへの情熱が「形」となるとき、
そこには「下野流」を冠する道具が誕生します。
下野正希が伝えたい本当のバス釣りをここに紹介します。

みんなが勘違いしていること。

例えば4月の琵琶湖。休日ともなれば有名ポイントまわりの駐車場はいっぱいで、岸には多くの釣人が並んでいる。何艇ものボートが同じポイントに入っては出てを繰り返していく。そんな光景を見て「こんなにプレッシャーが掛かったら釣れないよ」と思ってしまっている。そしてどんどん糸を細くしたり、ルアーを小さくしたり、小手先のテクニックに走ってしまう。みんな本当に大切なことを忘れてしまっている。

p_0157_004_1207059787僕の考えるバス釣りは、バスのいる場所を探して、その場所で一番テンポよく釣れるリグを選んで、その動作を繰り返すというもの。特に重要なのが、バスのいる場所を探すということ。季節によるバスの動きというのは毎年同じように繰り返されるもので、それがプレッシャーによって変わってしまうことは少ない。実際、琵琶湖では僕がガイドをはじめた頃から全く変わっていない。

ただ、相手は生き物であり自然であるので、例えばスポーニングで岸に寄ってくる時期が少し早くなったり遅くなったりすること、そこに魚が留まるのが去年は3日間だったのが今年は5日間になったりという変化はある。でも、起きることは変わらない。本当のバス釣りのパターン、バスの季節ごとの行動は一生変わらない。ガイドとして長年、毎日のように琵琶湖に出ていると本当にそう思う。だから季節によるバスの動きを読み、いる場所を探す前に、ルアーのアクションがどうだとか、竿のアクションがどうだとの会話には首を傾げてしまう。

特にオカッパリの場合、岸から届く範囲に魚がいなければ、どんなにいいルアー、竿、糸を使っていても釣れるわけがない。琵琶湖南湖の場合、「オカッパリでデカいバスが釣りたければ4月20日前後に来たらいいよ」とアドバイスしている。琵琶湖南湖では、この4月20日前後というのが沖に出ていたでかいメスの多くが第二弾スポーニングで岸に寄ってくる目安になり、第一弾スポーニングより、第二弾のほうが岸に寄ってくる魚の密度が濃い。釣れるサイズは最低でも50cmクラスでロクマルもめずらしくない。この動きは毎年繰り返されている。そのとき、南湖西岸のいたるところで、岸に立って投げたら届く範囲にロクマルが泳いでいる。立つ場所さえ見つけることができれば、あとはそのときに合ったルアーと釣り方を選んで単純動作を繰り返すだけ。なにも難しいことはない。


ページトップ

ボートの人は流すライン(水深)をしっかり意識することが重要。

p_0157_006_1207100567昨年春のトーナメントで僕が1.2mラインを狙って優勝したときも、同じエリアで1.5mラインを流していた人は全く釣れていなかったということがあった。このちょっとした差が大きな差となることに気付けるかどうか。

そして季節によって釣れるラインが変わるので、一度釣れるラインを見つけたら、「次の週にバスは浅いほう深いほうどっちに動くのかな」、とか「次の年は少し早い時期に見つけたラインの少し沖を流してみようか」などと、毎年毎年考えながら釣りをしていけば、琵琶湖南湖は攻略したも同然である。バスの行動は年が変わっても同じことの繰り返しなのだから、後はその年の季節の進行状況を考えながら当てはめていけばいいだけ。

どちらにしても釣れるときに釣れる(魚がいる)場所で釣りをすることが一番大事で、あとは単純動作の繰り返しで釣れるのが本来のバスフィッシングである。

そしてこの季節の単純動作は、ジグヘッドを「置いて待つ」というもの。ワームはなんでもいい。このプリの魚を狙うときはシェイクしないことが肝。キャストしてボトムまでフォールさせたら何もせずに糸を張って待つ。水深が合っていればその瞬間に「コンッ!」というあたりがでる。正解のところに「ポン!」って入ったら、でかいメスは頭の上から落ちてきたワームを見て吸い込むので、ステイさせて吸い込むタイミングを待つだけ。ヘタにシェイクしても無駄なだけ。それよりも次のポイントにキャストしたほうが効率がいい。


ページトップ

さわったヤツをおもいきりアワせて掛けにいくための竿「プロガイダンス下野流TCSS-62MH」

p_0157_008_1207059950その「置いて待つ」釣りのために僕がプロデュースした竿がプロガイダンス下野流TCSS-62MH。喰わせの竿ではなく、さわったヤツをおもいきりアワせて掛けにいくための竿。昨年、T Vロケ中に獲った3kgオーバーやカタログ撮影のときの58cmもジグヘッドを置いて待つ単純動作の繰り返しによって仕留めたものだった。「ガツッ!」とアワセて上あごを貫き、あとは耐えているだけで60cm近いバスが浮いてくる、そんなバットの強さがあるロクマル狙いの竿である。

竿の良し悪しは、ちょっと振っただけでわかるものではない。魚を掛けてはじめてその良さがわかるのだと思う。そんな思いから琵琶湖のウィードエリアで、デカいバスを掛け釣りこんできた竿。

そしてたくさんデカいバスを釣るために考えてほしいことがある。それは1匹釣れて喜んで写真をとる前に、アタリがあった場所を覚えておくということ。オカッパリでは自分の立っている位置が動かないので、場所を覚えるのは簡単だと思う。そこを基準に何センチ離してキャストするとアタるか、といったことを考えながら釣りをしていく。

しかしボートの場合、ボ~ッとしていたらすぐに流されてしまう。そして、せっかくの釣れた場所に戻れなくなってしまう。アタリがあったり釣れたとき、とっさにマーカーを投げ込めるよう準備しておくこと。 マーカーをうてば基準ができる。それを基準に同じライン、少し浅いライン、少し深いラインと、狙うラインをはっきり頭の中に描きそのラインをやりぬく。同じ動作を繰り返し動作密度を高め、確率を上げていく。そうやって少しずつ組み立てていく。

偶然1匹釣れたが後が続かなかった人も、この方法を積み重ねていけば数も釣れるようになる。そしてもっとたくさんデカいバスを釣ることができるようになるはず。このように考えてバス釣りをすることで、
「釣りが好きな人」が1人でも大きなバスの引きでドキドキを感じてもらえたらと思う。


ページトップ

関連記事