2015.10.09 (金)

山田英樹 ストリームデーモンとストリームローグで狙う河川の大型シーバス【基礎編】

こんにちは。エバーグリーンシーバス・プロスタッフの山田英樹です。今回は、私が地元静岡でおこなっている河川での大型シーバスフィッシングについてご紹介いたします。

使用するルアーはストリームデーモンストリームローグ。主軸となるのはデーモン、そしてデーモンで攻めることのできない流れの速いポイントや、デーモンでは引き出しきれない魚はローグを使って狙います。

早速ルアーの使い分け方について説明したいところですが、どんなに性能のいいルアーを使ったって、間違ったアプローチによって一度警戒心を与えてしまうとなかなか口を使ってくれないのが大型のシーバスです。そこで、まずはエントリーの仕方や立ち位置といった基本的な部分について説明したいと思います。


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■ エントリーからキャストまで

では、まずはポイントへのエントリーについて。エントリーはなるべく足音が出ないよう静かに。かつ、必ず人影が水面に入らないよう注意を払います。これは、デイゲームでもナイトゲームでも同じ。月明かりだけでも影はできますし、常夜灯もそうです。

また、ライトの点灯も極力控えます。私の場合はポイントに向かうまではつけますが、あとはほとんど点灯しません。ルアー交換時などは、月や遠くの常夜灯にかざしてスナップが確実にかかっているか確認しています。

立ち位置は、条件にもよりますが1投目は最低でもロッドの長さ分は水際から離れてキャストします。水際から距離を取りやすいサーフ状のポイントなら、5mは離れます。極力、水際から離れてください。ロッドを振る音や波動で、シャローに差している魚に警戒心を与えてしまうからです。ボラ等のベイトの群れの近くで試せばわかると思いますよ。また、追尾してきたシーバスが反転して帰って行ったり、ピックアップバイトでのフッキングが浅かったりすることもあります。

そうしてポイントにエントリーしたら、キャストする前に状況をよく観察します。観察するものとしては、流れの変化、地形、水位、潮位、水質、風、光量、ベイト、捕食音やボイルの有無等の要素を総合的に見ますが、その中でも流れの変化については時間をかけてじっくり観察します。

れのヨレや反転流、離岸流、潮目などといった流れの変化を観察すると、それらが障害物や地形変化と重なるピンポイントが見えてくるはず。そこが、シーバスが定位している可能性が高い狙い目となる場所です。そして、そのピンポイントをよく観察すると、流速がふと速くなるタイミングや逆に遅くなるタイミング、また、ヨレの中が一瞬だけ鏡状になるといったような変化のタイミングが訪れるはずです。

これまでの経験上、この変化のタイミングにシーバスが口を使う傾向を感じており、おそらく大型の個体が少ないエネルギーで効率よくベイトを捕食できるタイミングなのではないかと考えています。

(ただし、川幅の絞れた流れの速いポイントでは、シーバスは流芯のボトムにある障害物付近に定位し、頭上より流れてくるベイトを効率よく捕食しています。その場合、狙い目となるポイントは目で見てもわからないため、ルアーを流して障害物が生み出すヨレ等の変化を探ります。それについては【実践編】で解説しています。)

ともあれ、基本的には狙いのピンポイントに変化のタイミングが訪れた時、それがルアーを撃ち込む目安になります。逆に、それ以外の時には決してむやみにキャストしません。先ほども書いたように、80cmを超えてくるような大型の個体はとても神経質なのでムダ撃ちは禁物です。


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■ ストリームデーモン

さて、ポイントの要素を充分に把握し、キャストすべきピンポイントとタイミングが掴めたらいよいよルアーを打ち込んでいきますが、基本的にはストリームデーモンからキャストします。

なぜデーモンか? 一つは、その静止動にあります。デーモンは着水時の姿勢がほぼ水平。さらに独特のボディ形状により、波風を受けると微細なローリングアクションを引き起します。これがミソなのです。ほっといたら釣れた、着水と同時に釣れた、ということを経験した人も多いと思います。

そしてもう一つは、デーモンの発するラトル音です。ラトル音にも、シーバスが威嚇行動を起こす音、逆に嫌う音、いろいろあります。理由はわかりませんが、デーモンの発するチックタック音は、威嚇行動を起こしやすい音色のようです。リトリーブ時やドリフト時はもちろん、着水直後の微細なローリングアクションでもラトル音を発し、大場所や多少水深のあるような場所でも広範囲の魚に対して効果的にアピールしてくれます。

アングラーが魚に与えるプレッシャーを最小限に抑えてエントリーしたうえで、着水の瞬間から効果的にアピールできるデーモンで素早く気づかせ、神経質な大型シーバスを仕留める。これが、最初にデーモンを投入する理由です。

また、河川での実績はもちろんのこと、河川以外のポイント、例えばサーフ等でも遠くの魚に気づかせやすく口を使わせやすいです。昨年は、サーフ釣行で99cmをキャッチ。手元に伝わるデーモンのアクションの変化から後ろに魚が付くのがわかって、まさに、魚に気づかせて寄せて食わせた感たっぷりでした。

◎スイムアクションへのこだわり等はこちらの記事をご参照ください。
リンク:中野大輔が語る、ストリームデーモンのこだわり

 


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■ ストリームローグ

そして、デーモンでは攻めきれないシチュエーションで必要になるのが、ストリームローグです。ローグの特徴として、リップの上部の一番水を噛む所に穴(ウォータースルーダクト)があいていますが、ここから水流を上手く逃がすことで浮き上がりを抑え、他のルアーがバランスを崩して浮き上がってしまうような速い流れの中でもレンジをキープしやすくなっています。

また、デーモンが比較的アピール力の強いルアーであるのに対し、ローグは基本的に大人しく、必要以上に動かないというコンセプト。静止動に関しても、若干の尻下がり姿勢での水面の動きに合わせた縦の浮き沈みのみ。ナチュラルで、魚をスレさせにくいイメージです。

ただ、メリハリの面ではハッキリしていて、流れの中では大人しめのウォブンロール、流れを抜けると前進は止めずにアクションだけをピタリと止めるフリーズアクションを引き起します。つまり、まさにスイートスポットで自動的に食わせのタイミングを与えてくれるわけです。このようにルアー自身が仕事をしてくれるので、ドリフトだけでなく、ただ巻きでも十分威力を発揮するルアーでもあります。

それらの特徴により、河川上流域に点在する川幅の狭小部や、中流域に多くあるカーブ・合流、堰下、下流域にある河口直下の払い出しやカレント等といった、比較的流れが速くデーモンでは攻めきれないポイント、また、先行者に攻められた後や、月明かり、クリアウォーター等、様々な要素により低活性でスレ気味なシーバスに対しても効果的です。

また、デーモンよりも少し深いレンジを攻めることができることで、浅いレンジでバイトはあるが乗らない時などはローグで少しレンジを入れてやると良い結果が得られることがあります。

以上のことを理解して、ストリームデーモンストリームローグを使い分けていけば必ずいい結果が出るはず。きっと思い出に残る魚を手にできると思いますよ。ぜひ、試してみてください。

より具体的なテクニックを紹介する【実践編】はコチラ


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