最先端技術で組み上げられた新生エアリアル。
これは「復刻」ではなく、「誕生」だ。
コンバットスティック・インスパイア
ICSS-60UL エアリアル・レジェンド
ICSS-63UL スーパーエアリアル・レジェンド
開発ストーリー
常勝今江克隆の象徴、ダウンショットリグ ▶ 長時間シェイクを可能にしたインスパイア・エアリアルがグランドスラム達成をアシスト
ジャパンスーパーバスクラシック制覇、ワールドチャンピオン獲得、2度のスーパーグランドスラム達成など今江克隆が活躍してきた場面には、必ずダウンショットリグが陽となり影となり控えていた。その今江のダウンショットの釣りを支えていたのが、当時のバスロッドとしては前例のないエクストラファストテーパーのインスパイア・エアリアルであった。



シンカーを狙った1点に引っかけルアーを浮かせて延々とシェイキングを続け、ここぞというタイミングで瞬間的なハングオフで仕掛けて喰わせる今江のライトリグを積極的に操るスタイルが、当時のトーナメントシーンではまだ一般的でなかったこのリグを、ダウンショットリグとしてトーナメントレベルにまで昇華させた。エアリアルを用いたダウンショットのシェイキングといえば、積極的にボトムを感じ、自ら仕掛ける場を作り、そこでリアクションを取る究極のピンスポットでの喰わせのメソッドとして今江の守備面での代名詞でもあったのだ。



しかし、近年はダウンショットに代わるライトリグとしてベイトフィネスやサイトフィッシングに活路を見出し、ダウンショットをリグることすらほとんどなくなっていった。そして、それを「攻撃的進化」だと思い込んでいた。その結果、過度のベイトフィネスへの傾倒によるテニスエルボー、頚椎ヘルニアの発症。そしてエアリアル独特の柔らかい長時間シェイクとは方向性の異なる、より繊細で痙攣のような超高速でティップをのみを震わせる、あるいはスモールラバージグのラバーだけを震わせるようなソリッドティップスピニングへの依存。

過去の戦歴で最大の安定感を誇ったダウンショットを使わなくなったのは、テクニック進化による淘汰だけが原因ではない。実はフィジカル、タックル両面の変化により「使えなくなった」のだ。今江らしさであった「積極的ダウンショット」は完全に消え失せ、シェイクとは真逆のスポットシュート型、超繊細なティップアクションのスピニングロッドのバリエーション拡充が、その混迷の深さを物語っていた。



ここ数年間不本意な順位に喘ぐなかで成績低迷に歯止めを掛けるべく、再び自分らしさとは何かを知ろうと、「常勝今江」の原点でもあったインスパイア・エアリアルを自宅倉庫から探し出した。3年ほど前のことである。最強の安定感を誇った往年のシェイキングを、もう一度思い出そうとしたのだ。

そして、ラインを通して実際に使ってみると20年以上前のエアリアルは驚くほど手首に優しく、近年持ったこともないほどのイージーシェイキングロッドであったことに大きな衝撃を受けた。当時のブランクス独特のダルさとティップだけが極端に柔らかい妙なベンドカーブ、さらに、わずか6個の巨大なガイドが決して尖ってはいない独自の「甘いシェイク」を可能にし、スラックシェイクロッドとして完璧な整合性と肉体への低負担を両立していたのだ。

(上:最新ガイド / 下:旧エアリアルガイド)


しかし、エアリアルを実戦投入しようにも、製造終了後かなりの年数が経つことから十分なストックがない。さらに、当時のエアリアルはわずか6個のガイドで形成されていたが、さすがに最小個数の大口径ガイドだけでは実戦感度とアキュラシー面で大きなディスアドバンテージを抱えてしまうという問題もあった。なにより見た目が余りに前近代的だった。「エアリアルを復活させたい……」それは、トーナメントアングラー今江克隆にとって死活問題だった。
こだわりのパーツ選定でティップにあえて比重の大きいガイドを集中配置 ▶ 究極のシェイキングロッドをつくり上げるため通常と逆のアプローチで答えを探す
当初、エアリアルを復活させることはそれほど困難だとは思ってはいなかった。当時のエアリアルに使われていたカーボンシートはすでに入手不可能だが、25年前と比べて遥かに進化した素材やパーツもあれば、設計&製造技術の進歩も著しいものがある。

しかし、再設計着手後、最先端を惜しみなく投入してもエアリアルと呼べる独特なアクションの再現は困難を極めた。特に最新ガイドをオリジナル・エアリアルそのもののブランクスに再セッティングしても、ブランクス自体はエアリアルながら、エアリアルと呼べるアクションはまったく成立しなかったのだ。

最新が最善とは限らない……エアリアル復活は完全に暗礁に乗り上げたかに思えた。そこで、通常のロッド設計とはまったく逆のアプローチから答えを探す手法を採用することになった。



まずガイドやスレッド、グリップなどのパーツを吟味、決定し、それを組み込んだ状態で最適なアクションを出せるブランクスをつくり上げていくという、まるででき上がった料理を味見して、レシピを味から逆算し解析するような方法をとることになったのだ。

パーツ選定も独特だった。ここまで多くのプロトタイプをテストしてきた経験から、最新のチタンフレームトルザイトリングはあまりに軽量すぎて、シェイキングアクションには不適格と判断。

様々な選択肢を検討した結果、ティップセクションであるトップ~#4ガイドには比重の大きいステンレスフレームSiCガイド、ベリーからバットには軽量でありながら重厚なチタンフレームSiCリングガイドという新旧ハイブリッドなセッティングを施し、さらに、最先端の超小口径ではない、キャスト精度を乱さない範囲でやや大ぶりの口径ガイドを選択することで、ティップのみを揺らすシェイキングをティップガイド、バットガイドの比重差を利用してサポートするというスタイルを取り入れることになった。

そして、このパーツレシピを基準に、エアリアルのブランクス作りが再スタートした。



とはいえ、先にパーツを決定してからロッド構成の中心となるブランクスを作り上げるのは、先例がなくほとんど勘の世界でしかない。ブランクスだけを全く同じに再現できても、そこに異なるパーツを載せた時に同じフィーリングに着地させるのは至難の技なのである。でき上がった状態から推測・分析して素材にたどり着く過程は困難を極め、およそ2年もの歳月と幾多のプロトロッドを必要としたのはそのためである。
高レジンタイプ特殊カーボン、低レジンピュアカーボン、マイクロピッチボロン、ユニディレクショングラス ▶ エアリアルのフィーリングを完全再現しながらもパワーが数段アップ
こうして完成した新しいエアリアルのブランクスは、昔のブランクスとは設計上、何一つ共通項はない。膨大な種類のカーボンシートのなかから、汎用性が低く通常はフィッシングロッドに採用されることがない高レジンタイプの特殊な番手のカーボンシートに辿り着き、それをメインシャフトに採用。そして、低レジンピュアカーボンであるトレカ®T1100Gでベリーからバットを補強、さらにバット部分には、最先端カーボンの何十倍ものコストが掛かる高価なマイクロピッチボロンをカーボンシート内に折り込む金属補強を施した。

スーパーエアリアルに関しても高レジンタイプ特殊カーボン、マイクロピッチボロンという構成は同じだが、ベリー~バットの補強には33トンのトレカ®T1100Gの代わりに40トンピュアカーボンを採用した。これは、同タイプブランクスの場合、長くなると張りが弱く感じるという特性を考慮し、より高弾性の張りを求めた結果である。



その素材組み合わせの妙とステンレスフレームSiCガイドとの相乗効果でオリジナル・エアリアル特有の心地よいダルさを完全再現しながらも、パワーは数段アップするという絶対矛盾的自己同一を果たしている。

さらに、シェイキング時の手首へのキックバックを低下させ、衝撃を柔らかく緩和して長時間シェイキングを可能にするため、グリップ内ブランクスパイプに衝撃吸収効果のあるユニディレクション・グラスファイバーまでも採用するに至った。近年の高性能バスロッドは感度や剛性感を優先するが故に、グリップ内パイプの固定も一切遊びの無い精密さで組み上げられている。しかし、それは裏を返せば、アングラーにとってデメリットにも成り得る危険をはらんでいる。全くハンドルに遊びの無い車がいかに運転し難いか、そして疲れてしまうか……というのと同様である。

そのうえ、オリジナル・エアリアルの特徴のひとつでもあった、自在なシェイクをサポートする超ショートストレートグリップをさらにスリム化して採用。大きく柔らかなシェイクが、よりイージーに手首だけの振幅で、しかも体の正面に構えることができるショートハンドルで演出可能になったのである。



これによりダウンショットのシェイキングはもちろん、ジグヘッドでのミドストや虫系ルアーの1点シェイク、さらにはネコリグ等のラインスラックをたっぷり使った操作も、極めて高いレベルで長時間ストレスなく行うことができるようになった。

ついに完成を見たエアリアル・レジェンドシリーズであるが、実際にラインを通して振ってみると、素で触った印象以上にマイルドで、そして華奢に感じられるかもしれない。特にスーパーエアリアル・レジェンドはその「誤解」を多くの人が受けるに違いない。



しかし、魚を掛けてベリーまで曲げてみると、トレカ®T1100G(エアリアル・レジェンド)、あるいは高弾性ピュアカーボン(スーパーエアリアル・レジェンド)とマイクロピッチボロンのダブル補強が効果を急激に発揮しはじめる。この効果はオリジナル・エアリアルを遥かに凌ぐ改良点でもある。ティップセクションは手首の軽い力だけで延々シェイクを続けられるほどしなやかで柔らかいのに比べ、ベリー&バットからは最先端の力が湧き出してくるのだ。



イージーシェイクはオリジナル・エアリアル同等、いや、独自のガイドセッティングとの相乗効果でさらにイージーでありながら、ビッグバスへの対応力は桁違いに強化されたエアリアル・レジェンド&スーパーエアリアル・レジェンド。昔はエアリアルをメインに使用していた今江が、今ではもうプリスポーンのビッグママ、霞ヶ浦の筋肉質なバスにすら、一段柔らかいスーパーエアリアル・レジェンドをライトリグの基幹ロッドとして使用するようになったことが、その事実を端的に物語っている。


イージーロングシェイクを可能にしながらビッグバスにも完全対応。まったく新しいライトリグロッドのスタンダードが誕生。それがエアリアル・レジェンドシリーズである。
ICSS-60UL エアリアル・レジェンド
<エバーグリーン30周年記念・期間限定生産モデル>
●Length : 6'0" ●Power : U-Light
●Lure Weight : 1/32〜1/4oz. ●Line : 2~8lb.
●¥75,000円(税別)
ICSS-63UL スーパーエアリアル・レジェンド
<エバーグリーン30周年記念・期間限定生産モデル>
●Length : 6'3" ●Power : U-Light
●Lure Weight : 1/32〜1/4oz. ●Line : 2~8lb.
●¥76,000円(税別)