B-HOUSE
今福和則代表
インタビュー
発売は、まだマイクロスプーンというワードが馴染みのなかった2007年。以来、関西〜中部を中心に数々の大会でウイニングルアーとなってきたB-HOUSE「ナム」。2025年の大会でも、沖田プロ優勝、辻村プロ入賞に貢献し、不変の実釣性能を改めて実証。
そんな「ナム」の生みの親であるB-HOUSEの今福代表にインタビュー。B-HOUSEとはどんなブランドなのか?なぜエバーグリーンが製造〜販売までを継承することになったのか?など語っていただきました。
今福代表:B-HOUSEは、釣り好きが高じて2007年に立ち上げたブランドです。元々は服飾ボタンの製造が本業で、その技術を活かしたエリアトラウト用のスプーンを中心にアクションやカラーにこだわって製作、当初は地元関西を中心に販売してきました。
最初に作った試作品はまったく釣れなくて、仕上げるまでに苦労の連続でしたが、ひとつひとつ克服して形にしてきました。
そんな中でも、ナムは一番の自信作で、思い入れが強いルアーです。
キレイにただ巻きをすれば一定の動きで泳いで、「ここ!」という時にロッドワークや巻き方でアクションを入れれば、アングラーの意図通りに仕掛けて魚を喰わせることができます。釣れたではなく釣った……ルアーに思いを込められるんです。
また、スプーンは、アクションだけでなくカラーも相当大事だと思っています。だから、カラーには徹底的にこだわっています。その時その時で釣れるカラーが変わるので、今この状況ではどのカラーが一番釣れるのか?それを試すのも、スプーンの釣りの楽しさですね。
そうこう試しているうちに必要なカラーがどんどん増えて、ナムの場合は、150色くらいはつくったと思います。たとえば、同じように見える蛍光色でも濃度が5段階くらいあって、その微妙な差で釣果が変わるんです。
こうやってこだわってつくり続けた甲斐もあって、ナムをはじめ、リリースした製品のいくつかはトーナメントのウイニングルアーに。
B-HOUSEのスプーンは釣れるという評判が広がり、関東など他の地域でも使ってくれるアングラーが増え、私のこだわりの塊であるスプーンたちを、細々ながらなんとかつくり続けてきました。
たとえば、発売以来20年近く経つナムでも、今年(2025年)の大会で優勝に貢献してくれて、いまだに釣れ続けています。
ただ、ここ数年、年齢的な部分もあって「このまま続けていくのは難しいなぁ……」と感じ始めていました。一方で、B-HOUSEのスプーンを使ってくれるアングラーからは「あの釣れるスプーンが手に入らなくなると困る」という声をたくさんもらっていたので、自分の中で葛藤がありました。
そんな最中、ある知り合いから「引き継ぎ先を探してみては?」「たとえばここの会社は良いと思うんだけど?」というアドバイスをもらいました。
形状はもちろん、カラーの微妙な色合いや塗料の乾燥具合、小さなゴミでも入ろうものなら絶対アウトと、本業の服飾ボタン製造さながらに、見た目の美しさまで一切妥協せず、一点の曇りもない製品を送り出したい……
私はスプーンに対して相当こだわりが強いので、正直そう簡単に任せられるところはないと思っていました。
しかし、その知り合いの紹介で、エバーグリーンの社長やスタッフの方々と何度か話をするうちに、エバーグリーンのモノづくりに対する情熱や品質へのこだわりに深く共感、私のこだわりや想いもしっかり受け止めていただけたと感じました。
ここならB-HOUSEのコンセプトが捻じ曲げられてしまうことなく、B-HOUSEが培ってきたものを引き継いで、さらに広めてもらえるかもしれない……と決心。
B-HOUSEは20年近くやってきたので、いきなりすべてをというわけにはいきませんが、まずは私の思い入れが一番強いナムから、ということでこの話がスタートしました。
ナムの形状は完成形なので、変えてはダメだという自信があります。でもカラーの可能性は無限大です。時代が変わってきているので、それに合わせていく必要もあるでしょう。エバーグリーンならではの新しい視点のカラーが生まれるかもしれません。
また、エバーグリーンが製造、販売することで、ナム自身の認知度ももっと広がるかもしれません。
エバーグリーンはトラウトに参入したばかりですが、バスやソルトのようにトラウトでも一流になってほしいと期待しています。そして、もっと多くの人にトラウトは楽しいと感じてもらえる道具をつくってほしいと願っています。
今後エバーグリーンのトラウトが、ナムやB-HOUSEのスプーンと一緒に大きくなっていってくれるとうれしいですね。