過去の常識を超越する7フィート10インチ・エクストラヘビー。

高強度カーボン「トレカ®T1100G」と超高弾性50tピュアカーボンの歴史的邂逅がこじ開けた新世界。

「強さ」は無論「硬さ」と「軽さ」のトリニティー。陸から、そしてボートからモンスターバスを制圧。
インスピラーレ最長・最強ロッドとしての目指すべき方向性 ▶ 第1弾プロトは予測を裏切らないポジティブな結果と同時に弱点も露呈。
岸釣り目線主導でスタートしたグランドスタリオンGT-Xの開発。まずは浜のウエーディングスペシャリスト達の要望を直に汲み取るところから始まった。

浜にウエーダーで腰まで立ち込み、40~50gのシンカーをセットしたロングリーダー三叉キャロを、スイングキャストでフル遠投する独特の釣りスタイル。100m近い沖を回遊するモンスターバスを狙った究極の陸っぱりであり、タックル性能にも究極が求められる。投げ釣りのような超遠投性能、はるか沖でのバイトを感じ取り、ロクマルの硬い上顎に瞬時に撃ち抜けるフッキング能力、そして途中のブレイクにあるウィード地帯で藻ダルマになった60cmオーバーを、ウィードの塊ごと引き寄せられる圧倒的トルク……



そこで、テムジン史上最強パワーを誇る、ワイルドスタリオン・バリアント(2011年発売)をベースに改良を加えるというアイデアが検討されたのだが、実はバリアントはフリッピング等のヘビーカバーゲームやスイムベイト、ビッグベイトに特化したハイテーパーロッドであり、超遠投性能という面はあまり考慮されていなかった。

しかし、規格外の超ロングキャストをするためには、ロッド全体に荷重を分散する偏りのないテーパーが不可欠。インスピラーレ最長・最強ロッドとして、まずは超遠投性能という点をクリアしないことには始まらない。必然的に「スタリオン系の肉厚ローテーパーなデザインがベスト」と開発の基本的な方向性が決定した。



▶GT-X開発基本コンセプト

①ベースはスタリオンのような肉厚なローテーパー。スーパーロングキャストに対応するのみならず、モンスターバスの暴力的なパワーを受け止めるため、中弾性カーボンを厚巻きすることでトルクフルなパワーを持たせ、かつローテーパーでロッド全体をフルに使えるブランクス設計とする。ただし、フルキャスト時に風切り抵抗が少なくシャープに振り切れるよう、できるだけ細身に仕上げることも重要。

②レングスは、遠投にはできるだけ長い方が良いが、操作性とトーナメントでの使用も視野に入れ7フィート9インチから8フィート以内。ただし、バランスを取るためにやみくもにグリップを長くすると実質有効レングスが短くなってしまうのでNG。8フィート3インチクラスと同等の有効レングスを目指す。

③ブランクスの潰れに対する剛性は確保しつつも、敢えて多少の捩れ、遊びは残す。そのため、4軸補強は入れるとしてもバットガイド付近まで、或いは無し。全く遊びのないブランクでは、ルアー操作時、またベンドさせてからの反発時のキックバックが全てアングラー側にダイレクトにきてしまう。ある程度までは操作時の負荷を流す遊び、多少の捩れがある方が快適に使用できる。

④ガイドは強度面、幅広いルアーに対する対応力の観点から、まずはオールダブルフット、LNガイドSiCが理想に近いが、KWガイドフレームでもトルザイトリングを採用することである程度内径を確保できるならさらにベター。キャスト時のライン抜けの良さ、操作時の絡みにくさはもちろん、一般的なロッドではマイナス方向に働くこともあるガイドフットの長さ、スレッド固定部の長さも利用することでパワーロッドならではのアクションを出す。


これらの方向性を元につくり上げた第一弾プロトタイプは、中弾性カーボンをたっぷりと厚巻きにしたスタリオンらしい美しいベンドカーブを持つ7フィート9インチ。そのブランクから発せられる遠投性能に関しては、予測を裏切らないポジティブな結果を得ることができた。

しかし、中弾性を厚く巻くことで硬さを出す定番手法の致命的欠点である「劇的に重くなる」という大きなネガも露呈した。強さを求めるためにブランクスの厚みを増せば、それに比例して重くなるのは不可避。ブランクスが長くなればなるほどその点が目立つことになるため、6~7フィートの一般的なバスロッドではそこまで気にならない重量増も8フィート近いロングロッドとなるとかなりのものとなる。



ただし、当然「重さ」=「強さ」でもあるため、重いシンカーを遠投するためにはそれを弾き返すだけの絶対的な重量は必要となる。それもあって、当初はある程度の重量からくる強さと粘りを生み出してくれる定番素材の24t~30tの中弾性カーボンを軸に開発が進んでいた。

しかし、パワーを得るために弾性が低く、レジン量の多いカーボンを厚巻きにすると重量オーバーになり、ダルさが増すことで瞬間的なキレも失われてしまう。かといって、重量を抑えるためにカーボンを巻く量を減らすことは、藻ダルマ60cmオーバーのような大きな負荷が掛かった際に止めどころなく曲がりすぎてパワーを失ってしまうという致命的ともいえる弱点につながることになりかねない。

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圧倒的に強く、それでいて軽さを両立できる道 ▶「トレカ®T1100G」をメインシートに採用し、軽量化しつつもトルク感、限界領域付近の粘りが大幅に向上。
重くて強いロッドならば誰でもつくれるのではないか。今江克隆は最前線トーナメントでこそ培われる素材とブランクス設計理論の最前線を知るアングラーである。その経験と知識を活かし、圧倒的に強く、それでいて軽さを両立できる道を探した。



そこで、今江の本命候補である「トレカ®T1100G」カーボンを使い、試作を進めることにした。「強さ」と「粘り」を両立できる「トレカ®T1100G」ならば、中弾性カーボンの重量的、そして大負荷時のパワー喪失という問題点を払拭できる。ただし、定番的30トンカーボンの数倍ものコストが掛かる「トレカ®T1100G」を8フィート近いロッドにコンバートするのは……開発サイドと営業サイドに葛藤があったのも事実である。

あとは、「トレカ®T1100G」と定番カーボン素材をどのように組み合わせるかという点が課題となるが、そこはインスピラーレRS&GTで培ってきた設計理論があった。実際、狙い通り「トレカ®T1100G」をメインに使用したプロトタイプでは、厚巻き仕様にもかかわらずブランクス自重を軽量化しつつもトルク感、限界領域付近の粘りが大幅に向上。十分な軽量性、そして遠投性能と特有の硬いが曲がる粘りのリフティングパワー(強さ)は得ることができた。

(世界に先駆けて最先端素材「トレカ®T1100G」をバスロッドに採用 / エバーグリーン公式WEBグランドコブラコンセプトより)


さらに、軽量化に伴う操作性や感度の向上も見て取ることができた。遠方でリグを繊細に操作し、ボトム形状やバイトを感知することもより容易になったのだ。

しかし一方で、遠投先でのバイトに対し一撃でフッキングを決める上ではロッドの曲がり量が多く、ベリー~バット付近のストップ感、ガチっと止まって針先を硬いバスの顎に打ち込める感覚がどうしても足りないことが現場での実釣テストで発覚した。80m先で確実にバスの上顎を貫くためのブランクスの瞬間的な張り、即ち強さに相反する「硬さ」が唯一得られなかったのである。



実は「強さ」と「硬さ」はまったくの別もの。「強さ」は負荷に応じて曲がるから折れない、という「強さ」(低弾性)。「硬さ」は負荷を掛けても曲がりにくいが、限界点を超えればあっけなく折れてしまうという「弱さ」もはらんでいる(高弾性)。「強さ」と「硬さ」は相反する関係にあり、「強い」ロッドを作ろうとすれば負荷に応じて曲がる方向性になるが、「硬さ」を求めれば、曲がりにくいが限界を超えた瞬間に破断する宿命を背負い続ける。

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超高弾性50tカーボンをコンポジット ▶ 過去と未来の融合でエクストラヘビー・ロングロッド設計の難題を解決し、過去の常識を超越するロッドが誕生。
この難題を解決するために、今江は過去と未来の融合を試みた。21世紀の幕開けとともに鮮烈なデビューを飾ったテムジンシリーズのなかに、当時はバスロッドにはあまりにも繊細すぎて扱いが難しいと言われていた超高弾性50tカーボンを当時最先端のプリプレグコントロール技術を用いメイン素材として採用し、恐るべき軽さと恐るべき反発力を手にした機種がある。DENGEKI(TMJC-68H)やエゴイスト(TMJC-70H)がその代表であるが、このテムジンプロジェクトで培った超高弾性50tカーボンを、最先端素材「トレカ®T1100G」と合体させたのである。

(超高弾性50tカーボンを採用したテムジンシリーズがデビュー / 2001年エバーグリーンカタログより)


特殊な粘りを持つ「トレカ®T1100G」と、今江が知り尽くした素材であるテムジンの超高弾性50tカーボンの劇的な感度と硬度。この時空を超えた組み合わせによって、グランドスタリオンGT-Xは理想の遠投性能とリフティングパワー、そして瞬間的にフックを貫通させる「硬さ」をも手に入れたのである。

全身骨格として「トレカ®T1100G」カーボンの基本構造を組み、硬さと張りが必要なバット~ベリーまでの間に50t超高弾性カーボンをコンポジット。芯は強くて粘るが表皮は硬いという、相反する要素を最新技術の活用によりミックスさせた史上初のロッドが誕生した。



さらにバット部を、これもまた今江が知り尽くした素材である±30°カレイド・スーパークワトロクロスで締め上げることで、大排気量エンジンにより生み出される猛烈なパワーをがっちり受け止める強靭なバットセクションを実現。

それに伴い、ティップ~ベリーは強く、シャープでありながら曲げ込んでいくほどに粘り、トルク感が増していくとともに、最後は屈強に固められたバットセクションでガッチリ止める、そしてフッキング時は瞬間的に立ち上がる最大級のパワーで一気に撃ち抜く、という使用感を実現したのである。

さらにこの組み合わせにより、はるか沖でのシャープな操作感とバイトを感じ取る能力にも明らかな進化が見られた。



現場での実釣テストでは、「ボトム形状の把握において、底質や形状がよりクリアにわかるようになった」「ボトムやウィードだけでなく湖流の方向や波の向きをロッドティップが重さの情報に変換して伝えてくれる様な感覚がある」「遠投先でシンカーをウィードに引っかけて外すという動作が手首を軽く返す程度の動作で行えるようになった」等々、すばらしい結果を得ることができた。

また、グリップレングスを必要以上に長くせずともバランスがとれる軽量性から、操作性重視で短めのグリップ長であったが、最終的にはリアグリップを1インチだけ伸ばし、全長を7フィート10インチに変更。

これにより、遠投時の左手の引きつけをサポートするとともに、モンスターバスとの格闘においてもロッドをしっかりホールドしやすい長さに仕上がった。とはいえ、一般的な8フィート超のロッドと比べてもまだ短いグリップ長のため、グリップエンドが操作の邪魔にならず、ブランクスの有効長は8フィート超のロッドに匹敵する。



強烈なパワーを秘めたブランクスでありながら、細身で振り抜きが良く振り疲れも少ないことから、7フィート10インチ、有効レングス8フィート超という長さのメリットを最大限に活かして40~50gシンカーを用いたヘビキャロであれば90mを当然の様にオーバーするキャストをも可能にするその一方で、ビッグベイトやスイムジグの超遠投、パンチング、カバーフリップ等の近距離パワーゲーム、さらにはマグナムスプーンの激しいシャクリ操作等……

陸っぱりからだけでなくボートからも、従来のヘビーロングロッドでは不可能だった領域をトーナメントで培われた技術をコンバートしたことで次々と新開拓。ここに過去の常識を超越するロッドが誕生した。
飛距離90mオーバー、藻ダルマ60cmオーバーをグイグイ寄せる偉大なる大地のスタリオン。陸から、そしてボートからモンスターバスを制圧。
GTX-C710XHX グランドスタリオンGT-X
●Length : 7'10" ●Power : X-Heavy
●Lure Weight : 1/2~6oz. ●Line : 12~30lb.
〈対応ルアー&リグ〉 ヘビーキャロライナリグ / テキサスリグ / ガード付ジグ / ビッグベイト / スイムベイト / ヘビースピナーベイト / マグナムスプーン etc…