2021.06.25 (金)

ジャスティン・カーという生き方

レイク・レイロバーツで開催されたバスマスタークラシックで4位入賞を果たしたジャスティン・カー。

2日目を終え2位と好位置に付けた彼は、バスマスターの地方団体であるB.A.S.S.ネーションからの出場選手として、1994年のブライアン・カーチェル以来となるクラシック制覇を目指し日曜日の決勝に臨んだ。

(Bassmaster公式サイト 2021年6月18日記事より転載)​

40年に及ぶ人生の中で、ジャスティン・カーがB.A.S.S.ネーションのトーナメントに参加したのはただの1回。

昨年秋にレイクミードで開催されたウエスタン地方大会で2位に入賞して、同年冬にピクウィックレイクで行われるネーションチャンピオンシップへの参加資格を獲得。さらに、その試合で3位に入賞して、2021年バスマスタークラシックの出場権を手に入れた。

そして2021年6月11~13日にかけてテキサス州レイク・レイロバーツで開催された第51回バスマスタークラシックを戦い4位でフィニッシュ。2日目を終え2位と好位置につけた彼は、B.A.S.S.ネーション枠からの出場選手として、1994年のブライアン・カーチェル以来となるクラシック制覇を目指し日曜日の決勝に臨んだのだった。

これがB.A.S.S.ネーションの持つ魅力である。

B.A.S.S.ネーションから勝ち上がったアングラーにも、バスマスタークラシックで優勝を争うチャンスを与えてくれるのだ。

「バスマスタークラシックに出場することは特別なこと」とアリゾナ州在住で先月40歳を迎えたジャスティンは語る。「ローカルトーナメントからこのような方法でクラシックに出場できるのは素晴らしいシステムだよ。自分のように金銭的な事情や家庭の事情で、バスマスターエリートに参戦して全国をツアーすることをあきらめざるを得なかったアングラーにも、クラシックで戦えるチャンスがあるということを示してくれたんだ」

「あの時はかなりみじめな気持ちだったよ、本当にね」


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異端のプロアングラー

多くの点でジャスティン・カーは、毎年B.A.S.S.ネーションに参戦するような典型的な、アメリカで「ごく普通」と称されるタイプの釣り人ではない。毎年税金の申告時期になると、彼は申告書に職業プロフィッシャーマンと記載する。なぜなら、彼は収入のほとんどを釣りで稼いでいるからだ。

しかし、全米トップトレイルであるバスマスターエリートやバスマスターオープンのようなトーナメントにすべてを賭けて打ち込む多くのフルタイムプロとは違い、ジャスティンはほとんどの時間を西海岸地区での釣りに費やしている。そして、2008年USオープンや2015カリフォルニアオープンのような主要トーナメントで優勝するという実績も残している。しかし、他にも彼の目に留まったあらゆるチームトーナメントや高額賞金が懸かるローカルトーナメントに出場して、少しでも稼がなければければ生活は成り立たないのだ。

さらにジャスティンは語る。「釣りで生活していくのはとてつもなく厳しい。トーナメントが少ない夏場は収入が減るから特にね。年度初めにスポンサーからの契約金でトーナメントのエントリーフィーを払った後は、その年のすべての生活費をトーナメントの賞金で賄っているんだ。チームトーナメントの賞金のおかげでなんとか食いつないでいる。それが自分の生き方なんだ」


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予期せぬ出来事

プロアングラーとしてのジャスティンのキャリアは、彼が思い描いていた通りには進んでいない。

2010年、FLWツアーデビューを果たしたジャスティンは、すぐに頭角を現しルーキーオブザイヤーを獲得。フルタイム全米ツアープロとしてのキャリアを築くために良き出発点になると思えたが、事は彼の思い通りには進まなかった。

「ルーキーオブザイヤーを獲得したのは全世界が大きな不景気に見舞われていた直後のことで、経済は全く回復していなかった。トロフィーすらもらえなかったよ。ましてや賞金なんて出なかったし、自分の人生やキャリアが変わることはまったくなかった」

その数年後、母親がガンで他界。そして彼ははっきりと理解した。自分の気持ちはFLWツアーにはない……と。

そして、多額の経費をかけて全米をツアーすることはやめて、西海岸地区を拠点に活動することを決断した。さらに、妻カーステンと結婚したこと、2人の子供が生まれたことも、彼の決断をより強固なものとした。

「もし自分がもっと若かったら、もしかしたら上手くやっていけたかもしれない。でも、自分はこれからの自分の人生は父親としてやっていくんだ。だから、ずっとここに家族を残してツアーに出るのは、なにか違う気がした。それに、西海岸には自分をサポートしてくれるスポンサーがある。だから、ここが自分の居場所なんだ」とジャスティン。


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新たなる局面

その後の活動によって西海岸のトップアングラーとしてよく知られるようになったジャスティンであるが、このままローカルとして骨をうずめる気はないようである。

クラッシック全出場選手に10,000ドルの賞金が保証されることを知って以来、彼は――実際は4位入賞により30,000ドルを獲得したが――クラシックに出場することを目標に、今シーズンはバスマスターセントラルオープンの3戦全戦にエントリーすることを決断した。シーズン初戦のピクウィック戦は59位で終えたが、もし4オンスのデッドフィッシュペナルティーがなければ、トップ30(40位までが賞金圏内)に入っていたかもしれないという。

また、もしセントラルオープンの年間順位を3位以内でフィニッシュすれば、エリートシリーズへの参戦権を獲得することもできる。その場合、今回はおそらく参戦するだろうと彼は答えている。

「自分は2006年、初期のバスマスターエリートシリーズの参戦権を手にしたんだけど、その時は辞退したんだ。釣りはすべてがタイミング。そのタイミングが合わなかったんだね」

「でも、バスマスタークラシックの檜舞台を経験して、それがどんなものかを知ってしまった今は、おそらくイエスという返答をするかな」

エバーグリーンインターナショナルやライフソースウォーターのような長い間共に仕事をしてきたスポンサーがついていてくれれば、エリートシリーズにフル参戦する費用は問題ないとジャスティンは信じている。もちろん、残り2戦のセントラルオープン、スミスレイク戦とグランドレイク戦で賞金を獲得できれば、それもエリート参戦の助けになる。

「参戦権を獲得できない限りそんな心配をする必要ないことはわかっている。でも、もし幸運にも実現できれば、一緒に戦ってくれるスポンサーがいる。この道で生きていくのが厳しいのは承知の上。でも結局は、あれこれ言う前に絶対に挑戦したいと思っているんだ」

※本記事はB.A.S.S.より許諾を得て翻訳、転載​しております。

■転載元
Bassmaster.com

■転載記事
Kerr shows the power of the B.A.S.S. Nation/by Bryan Brasher

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