ジャックハンマーが止まらない! バスマスタークラシックで優勝争いを演じたジャスティン・カーの原動力に
ジャスティン・カーにとってのバスマスタークラシック。そこには、初出場の、しかも地方枠から出場する選手が優勝を争ったという事実があり、自身と家族のために優勝のみを狙い、自分の魚を追い続けて戦い抜いたという現実がある。
その原動力となったメインベイトがジャックハンマー&ジャックハンマーSBだったと語るジャスティンに話を聞いた。
「今回のバスマスタークラシック2021が行われた6月という季節柄、多くの選手が狙っていたのが、スポーニングに集まる小魚をフィーディングするバスを釣るパターン、いわゆるシャッドスポーンパターンの展開だった」
「しかし、自分の狙いはフィーディングモードのバスではなくスポーニングモードのビッグフィッシュ。まわりと同じことをしていても抜け出せないし、まだスポーニングに絡むビッグフィッシュが残っていることを掴んでいた」
連続ヒットが望めるシャッドスポーンパターンとは違い、ジャスティンの戦略は、単発で数は期待できないがくればデカいというパターン。優勝のみに狙いを定めた彼としては当然の選択だったのだろう。
そんなスポーニングに絡むビッグバスを反応させるためにジャスティンが戦略に組み込んだルアーが、彼のホームである西海岸ではポピュラーなスタイルと言えるウッド製の巨大なウエイクベイトだった。
「それと、最も頼りにしていたのはジャックハンマー&ジャックハンマーSB(ステルスブレード)だった。ジャックハンマーもラットと同じような感じで使えるからね」
「スポーニングで喰う気のない魚を反応させるためには、ガチャガチャと音を立てながらできるだけゆっくりと移動させて、イラつかせて口を使わせる必要がある。だから、ジャックハンマーの特徴でもあるブレードとヘッドが当たるサウンドを利用しようと考えたんだ」
「まず、ジャックハンマー、ジャックハンマーSB共に軽い方の3/8ozを選択。そしてダブルテール系のトレーラーをセッティングし、さらにフロロカーボンの20ポンドラインを使用して抵抗を増やすことで、ゆっくり巻いても潜り過ぎないようにした。そのうえで、状況によってはロッドティップを上げてリトリーブすることで、より浅いレンジをスローに泳がせていった」
「広大なシャローエリアに次から次へと現れる水没した木やブッシュ、リーズなどが複雑に入り組んだスポットをひたすら巻き続けたんだけど、カバーに超タイトに入れないとバイトはない。しかも、1日中3日間ミスせずリズム良く正確に投げ続ける必要があったんだ」
「そのために重要だったのがロッド。通常はジャックハンマーにはエバーグリーンUSAのコンバットスティック雷電73HG(リンクはYouTube)を使うんだけど、今回はアキュラシーを重視してヘラクレス・サーバル611MHGのを使用した」
「このタックルで、状況に応じてジャックハンマーとジャックハンマーSBを投げ分けていたんだけど、自分が釣っていたエリアの水色はステイン気味だったので、どちらを選んでもハマる感じだった」
「なぜなら、風がある時は、バスはカバーから出てその周りをウロウロして少しは喰い気がある感じになるので、ジャックハンマーSBの弱めの振動とサウンドの方が口を使わせやすかったし、逆に風がない時、バスは木やブッシュの中に入ってじっとしてヤル気がないモードなので、ジャックハンマーの強い振動と大きな音でバスを叩き起こして、カバーから外に出て来させる必要があったからなんだ」
初日、ジャックハンマーとジャックハンマーSBのローテーションで4本のバスをキャッチ、残りの1本はフリッピングで獲り、リミットの5本を持ち込んだジャスティンだったが……
「こうなれば最終日もやることは同じ。自分のエリアとルアーを信じて投げ続けるのみ」
「ただ、この日は前日の曇りから打って変わって晴天無風。そのせいか初日、2日目に良かったエリアでは全くバイトが得られなかった。そこで、似たようなエリアに移動。ジャックハンマーを巻きまくりなんとか6本キャッチして、入れ替えもしたけどサイズが伸びない」
「そこで、最後の勝負でロングドライブを敢行したんだ。直前の公式プラクティスで見つけていたエリアがあったんだけど、メインのエリアからかなり離れていたので試合では一度も釣っていなかった。プラクティスではコンバットクランク250で4パウンダーをたくさん釣っていたんだけど……」
ジャスティン・カーのバスマスタークラシック初挑戦は終わった。
優勝だけに照準を合わせ、自分の魚を狙い自分の釣りを貫き黙々とキャストを繰り返した3日間。4位という好成績を残しながらも、優勝にあと一歩届かなかったという現実を受け止め、特別騒ぎ立てるほどのことでもないよと終始淡々と語るジャスティンであったが……
「初日にバラした2本を取っていれば優勝できたんだ。試合が終わって西海岸の自宅に戻る道中、車内にトロフィーのないドライブはとてつもなく長く感じられたよ。実際、1本ならまだしも2本目をバラした時は怒りが収まらなかったんだ」
一瞬、釣り人としての顔をのぞかせたジャスティン。しかしすぐに……
「あの日は35マイルの強風が吹いていてラインがふけやすい状況だったから、グラスロッド+フロロカーボンラインではフッキングパワーを伝えきれていなかったんだと思う。そんな状況では、伸びがほとんどないPEラインを組むべきだった。あのバラシは明らかに防ぐことができるミスだった。すべては自分の責任だよ……」
職業釣り師として長きに渡り結果を残すために、自分がすべきことを冷静に分析するいつものジャスティンに戻っていた。
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