小林知寛 JBトップ50 七色ダム戦優勝レポート ボウワーム・ウナギリグ誕生秘話
エバーグリーンプロスタッフの小林知寛です。
2017年7月に七色ダムで行われたJBトップ50 第3戦の優勝レポートです。ビッグフィッシュ賞をとったロクマルに口を使わせたボウワーム 12インチのウナギリグの話しやアクション動画もありますので、よかったら読んでみてください。
ビッグバスはロングワーム好き
フロリダ系のビッグバスをいかに攻略するかがキーとなる七色ダムでのトーナメント。試合が行われる7月上旬がフロリダ系の魚の最後のスポーニングに絡むタイミングとなるはずなので、プラクティスではスポーニングの進行状況をチェックしつつ、キーパーサイズの釣り方を探していきました。
そんななか、運命の出会いは突然訪れました。
公式プラクティス2日目のお昼頃、下流域のとあるガレ場のシャローにボウワーム 12インチのショートリーダーヘビダンを投げると、いきなり黒い大きな影がぶっ飛んできてボウワームを吸い込んだのです。
その後そのスポットをじっくり観察していると、巨大なバスはあきらかに場所への執着がある感じでした。そこで、プラクティスの残り時間中に同じエリアに4回も入り直し、そのデカバスがまだいるのかを確認、「間違いなく執着心を持っている」と確信。試合初日の朝一の狙いは決まりました。
「思っていた通り、やはりデカいフロリダ系はボウワーム 12インチに反応する。しかし同時にロングワームの泣き所であるすっぽ抜けをどうクリアするか……」それも重要な課題でした。
ウナギリグの誕生(水中アクション動画あり)
リザーバーでは立木やスタンプなど引っ掛かるものが多いため、ウィードレススタイルでセットすることは必須。そこでまず思いついたのが、フックをワームの頭から刺してボディの中を通し真ん中ぐらいで抜き、ワームの中央付近にセルフウィードレススタイルでセットすることでした。
スイベルがちょうどワームの頭のあたりに来るぐらいの長さ(短さ)でリーダーをとり、まず手始めにスイベルとフックを結ぶリーダーにメインラインと同じフロロカーボンを用いてリグを作ってみました。なかなかいい感じとは思いましたが、七色モンスター相手のフルパワーフッキングにこの短いフロロカーボンラインが耐えられるか少し不安があります。
ならば……と次に、ワイヤーを使ってみました。が、それだと強度は十分だと思うものの、ワームの先端から真ん中までの部分にワイヤーが通っているため、今度はせっかくのロングワームのアクションが硬くなりすぎて話しになりません。と、あれこれ考えながらリグを作成していると、「今回も出番があるかな」と準備していたフロッグ用のタックルがふと目に留まりました。
瞬間的に「あっ、これが使える」、とそのリールからPEラインを引き出してリグってみたところ、これが大正解。フルパワーフッキングに耐える強度がありつつ、フロロカーボン以上にロングワームのウネウネした滑らかな動きを妨げない柔らかさもあります。
そこで、引っ張ったときにワームの先端が少し上を向いてものをかわせるように、ヘビダンシンカーはやめて、ヘッドから少し奥にネイルシンカーを入れてみましたがバランスが微妙で、ワームがずっと偏って腹を見せたまま泳いで来てしまい、今回のキモの1つである、背中が濃く、腹側が派手めのカラーを使って、たまに腹側を見せてアピールする動きが出せませんでした。
こんな感じでいろいろと試行錯誤を重ねているうちに、シンカーよりも先にワームのヘッドがものに当たるように、ダウンショットシンカーをワームの頭ではなく、少し後にずらしてセットしてみようと考えました。そこで、スイベルとフックを結ぶリーダーをさらに短くして、スイベルをワームの中に埋め込み、そこから超ショートリーダーでシンカーをぶら下げてみると……
そして狙い通り、ズル引くと重たいシンカーより先にまず軽いワームのヘッド部が当たって、その重量バランスからヘッドが上方向に動くためシンカーが岩の隙間等に喰い込まず、根掛かりが非常に少なくなりました。
ついに、フッキングの問題を解消するだけでなく、いかにもウナギチックなナチュラルで魅力的な動きにリアクションを誘う動きもミックス、さらに根掛かりも少ないという、ボウワーム12インチに最高にマッチするリグが誕生。
「これなら七色モンスターと勝負できる」と試合前夜にリグの予備を作成して試合に備えました。
ボウワーム12インチのウナギリグでロクマル
試合初日。37番フライトとスタート順が悪かったので、例の場所に入れるかどうか不安はありましたが、幸いにも下流に向かう選手が少なく、僕の前を走っていたのは2名だけでした。そのうち1人の選手が僕が狙おうとしていた場所に入ったように見えたのですが……すぐに移動。たまたま巨大バスは何かを追いかけてそこにいなかったようで、幸運にも僕が入ったタイミングで戻ってきた感じでした。
手にしたのは、もちろん前日作成したボウワーム 12インチのウナギリグ。そして、狙い初めて2~3投目にいきなりバイト。
魚がデカいのでもう口に入っただろうという思いと、あまりにいきなりだったので体がつい反応して少し早アワセ気味になってしまい、一瞬重みを感じたもののすっぽ抜け。いくらウナギリグとはいえ、12インチワームでしっかりフッキングするには、クラッチを切ってラインをしっかり送ってやることが重要なのに……
すぐにクラッチを切ってラインを送り込むと、凄いトルクでラインを引き出していきます。しかし、手前にあった立木の下に向かって持って行ったため「ここでフッキングしても獲れない」と思い、とっさの判断でイチかバチかワームを吐かせました。
そして仕切り直し。「もうチャンスはないかもしれない」という不安もありましたが、このデカバスにとってボウワーム 12インチのウナギリグが艶めかしくボトムを這う動きは魅力的だったようで、数投後にたまらずバイトしてきました。
まずはクラッチを切りながらも、今度は立木のある下方向に走らせないよう、ラインテンションをコントロールしながらバスを上方向に泳がせました。そして、立木に擦れる感触がないことを確認してから思い切りフッキング。
最初のミスもあったので今度は気持ち送る時間を多めに取ってからアワせたので、ズシッとした重みがロッドに乗りました。あとはオープンウォーターでゆっくりと慎重にファイト……ついにランディング成功。
2日目。この日はビッグフィッシュを持ち込めず、ダウンショットで普通のキーパーを5本揃えただけの1,764gに終わってしまいましたが、この2日目の後半にもまたしても運命の出会いが。ラスト1時間、デカバスとの遭遇をあきらめて、それまで狙っていた下流から、上流部に持っていたキーパー場に入り入れ替えを狙う作戦に出ました。
しかし、予想外にも上流で帰着直前に60近いデカバスを発見。様子を見るためにとりあえず1投してみるとすぐに逃げてしまったのですが、少し待っているとまた戻ってきたので「明日ここに入れれば……」との期待を胸に2日目を終えました。
予選の重量順にフライト順が決まる3日目決勝。トップウェイトの青木選手、2位の小森選手に続き3番目のフライトでした。前日、上位の2人を上流で見かけていなかったので、たぶんあの場所に入れるはずと思いながらスタート。案の定、2人は下流方向へ。
予定通り狙いの場所に入り、すぐに2,800gのビッグフィッシュをキャッチ。この魚は数投で喰わせたのですが、若干浮気味だったのでシャッドテール系ワームのヘビダンをシェイクしながらスイミングさせて喰わせました。その後、同じく上流でキロオーバーのナイスフィッシュをビビッドテールのヘビダンで獲り、約4キロをライブウェルに入れて下流へと向かいました。
結局その後デカいサイズは獲れなかったのですが、トータル5キロ―オーバーでウェイイン。最終日、上位の2人が思いのほかローウェイトだったこともあり、なんとか優勝することができました。
今シーズンも残すところあと2戦。開催地である桧原湖、霞ヶ浦ともに好きなタイプの湖なので、この七色ダム戦のように自分のスタイルを信じて楽しんでやり切ります!
【動画】ボウワームウナギリグ実釣編&アクション編
P.S.
この試合で誕生したウナギリグは、その後七色ダム以外のフィールドでも活躍してくれています。そして、試行錯誤を重ねながら進化を続けています。
誰もが僕が使っているのと同じリグを使ってロングワームの威力を体験していただけるよう製品化に向けて準備をしているところなので、もう少しお待ちください。
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