2016.06.07 (火)

清水盛三が語る 2016バスマスターエリートシリーズ前半戦  ラバージグのカバー撃ちで勝負してつかんだ決勝への道(後編)

2016年5月12~15日にルイジアナ州とテキサス州にまたがるトレドベンドで開催されたバスマスターエリートシリーズ第5戦。

シーズン折り返しとなる大事な試合で決勝進出を果たし今シーズン最高位の12位でフィニッシュ、「強い気持ちを持って攻め抜いた」と語る清水盛三がトレドベンド戦を振り返ります。

■ ビッグフィッシュのみに照準を絞り臨んだプラクティス 

前回のレイク・ウィーラ―戦で見えかけた光をより大きなものにするために今回、プラクティス前に心に決めたことは、キーパーを揃えることを考えるのではなく、ビッグフィッシュのみを狙って1日5回アタリがあれば良いという釣りだけをしようということ。「とにかく気持ちを強く持って自分の釣りをやり抜こう」と心に誓いを立てた。

第5戦が行われるルイジアナ州トレドベンドは暖かい地域なので、シーズナル的に考えるとポストスポーンから回復した個体が沖に出て荒食いしているはず。そこで、プラクティスではまずオフショアから探すことにした。

しかし、予想に反し全然釣れない。普段より濁っていて水位も高く、カバーだらけになっているからなのか。この状況に第3戦のブルショールズとイメージが重なり、「もしかしてまだシャローに残っているのでは」と考えシャローをチェックに行くことに。

強風でうねりも入り釣りにくかったが、風の入り方に注意して場所を選び、ラバージグでカバーを撃っていくと……4ポンドが来た。「これか!」とうねるなかやり続ける。なかなかアタリはないものの、しばらくするとまたしても同サイズが来た。そこで、その後も片っ端から似たような場所を探すことに。

デッキにはプロトのカバージグに加え、キャスティングジググラスリッパ―をセットしたシナジー・スーパーディトネーター3本を準備しシャローカバーの可能性を探っていった。

と同時に、練習前半でオフショアは完全に削除したものの、「少しだけ沖ならあるかも」と考え探る範囲を拡げた。そして、ジャックハンマーで良さそうなエリアを見つけることができた。

「ビッグフィッシュ」「ストロング」をキーワードに進めた2日半の公式プラクティス。バンク、ちょい沖ともになかなかアタリはないが、単発でも良いサイズが釣れた場所をマークし、もし先に小さいのが釣れてしまったときは、その場所は深入りせず切り上げて次を探しに行くというスタイルで順調に終えることができた。


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■ DAY-1 ラバージグでカバーを撃ち抜き6パウンダー

迎えた試合初日。朝からかなりの強風。戦略としては、朝一にジャックハンマーで1本でも2本でもモーニングバイトをとって、そこからラバージグ勝負に行くというもの。エリア、ルアー、釣り方のすべてが練習の時点で構築されていた。「自分が得意とするストロングな釣りでやり切る」「これでダメならしかたがない」と腹をくくっていた。

そして風向きは南。練習中も3日間風が強かったが、同じく南からの風だったので、南風に強いエリアを持っていた。そのおかげか、朝一ジャックハンマーで3本キャッチ。サイズ的にも4ポンドオーバーが1本入り幸先の良いスタートを切ることができた。

次に予定通りジグ撃ちにシフト。単発でしか来ないことは覚悟のうえ。そして、撃って、撃って、撃って、撃って、撃って……いきなり6ポンドオーバーが出た。その後も撃ち続けていき1本追加。リミットメイク達成。

しかし、予想に反して2ポンドクラスが2本入っていたので、「絶対2本とも入れ替える!」と気合を入れ直す。そして、ジャックハンマーで4ポンド弱をキャッチし入れ替え。残るは1本。

しかし、そのタイミングで風が止まり状況が変わっていた。とはいえ、公式プラクティスでは風が当たりすぎてやりたくてもできなかった場所が何カ所もあったので、「風がない状況でも釣れる場所を」と明日以降のプラクティスも兼ねてそれらのエリアをまわることにした。

そして、ラバージグを撃っていくと……アタリがあったものの残念ながらミスフィッシュ。それでもなんとか1本入れ替えてウェイイン。18ポンド9オンスで19位と好位置につけることができた。さらに、ミスフィッシュした場所も2日目火を噴くことに。

初日トップのケビンバンダムだけずば抜けたウエイトを持っており、得意のオフショアで釣っているのだろうと思ったけど、それは無視。とにかく今は自分ができること、すなわち「シャローでラバージグのカバー撃ちをやり抜く!」と再び自分に言い聞かせた。「今日も6パウンダーを釣っているし、それを5本揃えて30ポンドを超える可能性もある」と。


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■ DAY-2 トラブルに見舞われるも……20ポンド超え

2日目は風向きが変わった。練習のときからずっと北風だったのに、ここにきて初めての南東風。朝一はその風をものともせずジャックハンマーで2本キャッチ。この日も1本4ポンドオーバーが入った。

その後、予定通りジグ撃ちに。しかし、初日釣っていた場所は風が強く当たりすぎていてあまり釣にならない。無理やりジグ撃ちを敢行したものの、追加できたのは1本のみ。

そこで、初日の後半に見つけたあの場所に移動。風の影響もなく良い感じ。そして……

5ポンドクラスが来た。「昨日の借りは返す」と慎重にハンドランディングしようとしたそのとき。バスの口からジグが外れ……バスをつかもうと身を乗り出すように思い切り手を伸ばすと……バスをつかみきれず、そのままの勢いで落水。

「…………」

デッキの上に寝そべったまま、しばらく放心状態が続く……精神的にとてもまともに釣りができる状態ではない。

「終わった……」「せっかくのキッカーをミスるなんて……」

自分の感覚では10分ほどだがトーナメントでは本当に貴重な時間。一刻も早く釣りを再開すべきなのは重々承知だがそれどころではなく、必死に気持ちをつなぎ止めようともがいていた。

そして、なんとか気力を振り絞るように釣りを再開。ジグを撃ち始めると、すぐにバイト。まるで「まだあきらめるのは早い。ネバーギブアップ!」と言われているかのような1本。

サイズは大きくないが、そのときの自分にとってはサイズ以上に大きな1本。「絶対釣ってやる!」と集中力がマックスの状態まで高まり、直後に1本獲ってリミットメイク。その後、4ポンドが来て入れ替え。

その時点で、残り時間は約1時間半。その後もラバージグを撃ち続け、ついに5ポンドのビッグフィッシュを獲った。

そして4ポンド。さらにとどめに5ポンドと怒涛のビッグフィッシュラッシュ。もうどの魚を入れ替えたら良いかわからないほど。

そして、ウェイイン。この日は20ポンド超えの20ポンド7オンスで10位まで順位を上げて準決勝進出を決めた。


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■ DAY-3 準決勝 全力でラバージグを撃ち続ける

3日目準決勝。この日は朝から無風。こうなるとエリアの制約がなくなるので、初日、2日目にまわれなかったところも含めて広く探りに行くことに。そして、2時間で5本キャッチ。ジャックハンマーのみでリミットメイク達成。そこからジグ撃ちに。

しかし、あまりの風のなさに、朝の釣れる時間帯が過ぎた後、厳しい時間に突入。水温も前日と比べて3度も上昇した。そこで、少しでも風がある場所を探してジグを撃ち続ける。3ポンド、4ポンドオーバーを追加し入れ替えたものの、そこでタイムアップ。

結果16ポンド13オンスと正直「やってしまったか」という感じだったが、11位に踏みとどまり決勝進出が決定した。やはり、風を読んで、全力でジグを撃ち続けたので結果がついてきたのだと思う。


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■ DAY-4 決勝 最後まで強い気持ちで攻め抜き……

12名で争われる最終日決勝。「もうこれ以上落ちることもない。さらに、上位を狙おうと思えば本当にデカいのだけで揃えるしかない」と覚悟を決めて臨んだ。

風は東から。いちばん吹いてほしくなかった方角からの風。まず朝一は、いつもどおりジャックハンマーからスタート。

しかし、この風向きのせいでウネリがきつく、前から水が入ってくるほどで釣りどころではない。無理やりそのエリアでやっては見たものの、1ポンド半ほどのいままで釣れたことがないサイズが1本釣れただけ。

早々にこのエリアを見切り、ラバージグを撃ちに移動。しかし、そこも風が強くてまともに釣りができない。アタリがあってもミスってしまう。東風でも釣りができる新たな場所を探して動きまわり、キーパーサイズを2本追加。

そして、昼ごろになるとようやく風が止んできたので、3日目まで釣っていた場所に移動した。しかし、サイズが伸びない。リミットメイクはしたものの、水温の上昇とともに沖に出てしまったのか、ビッグフィッシュが来ない。

でも、「最後まで自分の釣りを信じてやり抜く」「攻め抜くしかない」と何度も何度も自分に言い聞かせる。しかし、残念ながらその後入れ替えはならず、結局最終12位でトレドベンド戦を終えた。

前半戦を振り返って思うこと、それは、やはりパワーフィッシングでビッグフィッシュだけを狙っていかないと決勝には進めないということ。1戦1戦、強い気持ちを持って攻めていかないと上には行けないということ。そして、最後まで決してあきらめずに攻め続けること。

今回は心と体が一致してくれたのも大きい。いままでは、心では「攻めろ、攻めろ」と言っているのに体が守りに入っていたり、「ここはじっくりいかないとダメなところ」とわかっていても、「はやく、はやく」となってしまったりしていたが、今回は「攻めろ」という気持ちに対して、体もしっかり反応してくれたので良い試合ができた。

結果が出なかった試合も決して無駄に過ごしていたわけじゃない。すべてが今回の決勝進出につながっている。まだまだこれから!後半戦もネバーギブアップの精神で攻め抜く覚悟なので見ていてください!

■清水盛三が語る 2016バスマスターエリートシリーズ前半戦
ラバージグのカバー撃ちで勝負してつかんだ決勝への道(前編)はコチラ

■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSC-73HG レパード
ライン:フロロカーボン 20lb
ルアー:ジャックハンマー 3/8oz(プロト)

ロッド:シナジー CSCY-71H スーパーディトネーター
ライン:フロロカーボン 20lb、22lb
ルアー:プロトラバージグ 1/2oz、キャスティングジグ 1/2oz、グラスリッパ― 1/2oz

■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster

清水盛三オフィシャルサイト「NEVER GIVE UP」
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