清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第1戦
テキサスリグ&ブレーデッドジグで勝負した超難解タイダルリバー
2015年3月19~22日、テキサス州とルイジアナ州にまたがるサビーンリバーで2015年バスマスターエリートシリーズ第1戦が開幕。超広大で難解、激タフなタイダルリバーを相手に、他の選手がパスするようなエリアをあえて選択した清水盛三。「場所、釣り方、タイド……すべて読めていた」と語る清水が、その戦いを振り返ります。
サビーンリバーは、いわゆるデルタと言われるタイプのフィールドで支流や水路がたくさんあって、しかも迷路みたいな感じで、潮の影響を受ける広大なタイダルウォーター。
実は2年前の開幕戦が行われた場所でもあって、僕がここで釣りをするのもそれ以来。しかも今回で2回目ということで、こんなに広大で入り組んでいて釣りをする場所が無限にあると、本当にどこから手を付けて良いかわからないほど。そのうえ、もともとサビンリバーは魚のサイズも小さいし数も少ない。1日5本を2日続けて釣ることが出来れば確実に準決勝に行けるし、そこでも5本獲れれば100パーセント決勝に行けるような超難解なフィールド。
■ あえて激濁りのエリアを選択し、見つけ出した自分だけの魚
エリアの無限さと魚の少なさ、そこにタイドの影響も考えるとチェックすべき組み合わせが多すぎて、何が合っているのか間違っているのかわかるまでに、それこそ一生掛かる。そんなところをたったの2日半の公式プラクティスで見極めるのは至難の業。だからプラクティス初日は、1箇所2年前に見つけていたエリアがあったので、まずはそこに入った。そして、浅くてカバーの多いフィールドなので、テキサスリグでカバーを撃っていく釣りから試してみた。
今回は2年前と違い、雪解けのせいなのか雨のせいなのか、水位が高めで、かつ濁っていた。そんななかでも6~7gのテキサスリグで4バイトと、まずまずの感触をつかんで初日を終えた。ここでは、アタリがあった時間とそのときのタイドの状況を覚えておいて、どのタイドが良いのかをつかむことと、あえて時間をズラして違うタイミングではどうなのかということも確認して、可能性のないタイミングを消去していった。
続いてプラクティス2日目。前日である程度の釣り方はつかめたので、この日は新たな可能性を求めて2年前には見ていないエリアも見てみようと走り回った。水色、カバーの量や種類等をチェックしながら、途中で給油して、この日1日で300リッターはガソリンを焚いた。とにかく走り回ったけどアタリもなく、良さそうな場所も見つからなかった。本当に意味があるのかと思えるほど気の遠くなるような作業だけど、ダメなエリアを消去するためにも実際自分の目でしっかり確認しておくことが大事。これで最終日にやるべきことも決まった。
そして公式プラクティス最終日。釣りができる時間は半日。この日は初日のエリアをもう少し細かく見ていきながら、他の釣りも試すというプランで臨んだ。とにかく入り組んでいるから、初日良かったエリアでもまだまだ入ったことのない水路もあったし、テキサスリグ以外の可能性も見ておきたかった。まずは初日に入り切れなかった場所を流して、テキサスリグのピッチングで何回かバイトをとった。これで完全にテキサスリグにコンフィデンスを持てる状態になったので、次にシャロークランクベイトを試してみた。
正直、今回の状況ではムービング系のルアーは少し厳しいかなと思っていたので、試合中に迷って時間を無駄にしないように、巻く釣りを消去するという意味もあった。ただ、曇っていて雨交じりだったし、濁りやタイドを考えると「もしかして」という期待もあった。実際試してみると、サイズが上がらずノンキーパーが多かったけど、ガンガン喰ってくることがわかった。これはムービングベイトのパターンもあるなということでもう少し釣り込んで、シャロークランクベイトとテキサスリグをメインにパターンを組むことにした。
それと今回は濁っていたので、時期的なことも考えるとできるだけクリアなエリアを探すのがセオリーだけど、あえてそのなかでも飛び切り濁りがきつい場所を探していった。なぜならば、これだけ魚が少ないフィールドで他の選手とバッティングしてしまうと、いくら良いエリアを見つけていても魚の取り合いになってしまうから。
それよりも、「この水の色で釣りをするヤツはいないだろう」という濁りの中で、自分だけの魚を探していった。そんな濁りの中では、ビッグフィッシュはレイダウンやスタンプ、ロック等のしっかりしたカバーに付いているので狙いも絞りやすかったし、実際タイドのタイミングさえあえば喰ってくることもわかっていた。
タイドに関しては、上がり切ってから下がり始める午後の時間からが勝負で、試合時間の後半になるほど良くなると考えていた。入り組んだフィールドなのであとは場所によってアジャストすることが必要だったけどね。こんな感じでプラクティスを終えて、超難解フィールドだし一歩間違えればゼロもあり得る厳しい状況ではあったけど、何とか5本ずつは持って帰れそうな感触も得られ、試合が始まるのが楽しみだった。
■ DAY-1 前半は完璧な試合運びでテキサスリグで狙い的中
そして迎えた試合初日。霧の影響で2時間遅れてのスタートだったものの、タイドが良くなるのが昼からなので、僕にとってこのディレイは関係ないと気持ちを切り替えてスタートした。最初に入ったのはプラクティス3日目に絞り込んだ場所。予定通り、基本はシャロークランクベイトで流していきながら、しっかりしたカバーにはテキサスリグをピッチングしていった。
そのエリアで、シャロークランクで結構釣ったけど全部ノンキーパー。でも、テキサスリグで単発ではあったけどキーパーを2本キャッチ。そして、12時をまわってタイドが下がってきた良いタイミングで、狙いどおりこれもテキサスリグでその日一番のナイスキーパーをキャッチ。厳しいながらも良い感じの展開で、まだ時間もあったし、あと2本は絶対獲れると思っていた。
ここで、練習中にアタリだけとってフックアップせずにバスがいることを確認していたレイダウンに差し掛かった。そのカバー越しにテキサスリグを慎重にピッチングするとバイト! 思い切りフッキングして魚がギラッと見えた瞬間にラインテンションがフッと軽くなって……まさかのラインブレイク。今まで試合や取材でいくらややこしいヘビーカバーに入れてもラインブレイクした記憶なんてないのに、それがこの一番大事なところで起きてしまうとは。
でも大事な開幕戦。「絶対釣ってやる」と気持ちを入れ直して釣りを再開。そしてしばらく流し続けて……またテキサスリグにバイト! 見えた魚体は、さっきと同じくこのフィールドではキッカーとなる2ポンドオーバー。しかし今度は痛恨のフックアウト。さっきの件があったから今度はアワセが少し弱くなってしまっていたのか。2本のキッカーをことごとく失い、結局3本のままウェイイン。
そんな状況でも初日の順位は69位となんとか踏みとどまった。上位は15ポンド釣っていたけど、2日目も同じだけ釣ってくるとは思えなかったし、このきびしいフィールドでは2日目以降は全体的にウエイトが落ちてくるのは目に見えていた。だから「2日目、5本釣ればまだ準決勝に進めるはず」ともちろん望みは捨てなかった。ここであきらめたらこの1年を棒に振ってしまうし、エリアも釣り方もすべて見えているので、あとはきっちりと魚を獲って持って帰るだけだったからね。
■ DAY-2 当日の状況にアジャストしブレーデッドジグで3本、しかし再び悪夢が・・・
2日目、この日も霧でディレイスタートとなって2時間半遅れた。でも、この日も初日同様、昼以降にタイドが良くなる状況だったので「慌てることはない」と自分に言い聞かせながらスタート。
まずは初日と同じエリアに入った。そしていきなりナイスキーパーをキャッチ。ルアーはプロトの3/8ozブレーデッドジグ。実はディレイでスタートを待つ間に初日の状況を振り返っていて、そのとき思いついて試してみようと考えていた。そうしたら予想通り喰ってきたし、しかも丸飲みだった。
狙いが的中し「これはイケる!」とその後もブレーデッドジグをメインに、初日まわりきれなかった場所を釣っていくと……ブレーデッドジグで1時間に1本ペースでキーパーを2本追加。この日はテキサスリグで全然アタリがなかったけど、代わりにブレーデッドジグが当たった。プラクティスからの流れも踏まえながら今を釣っていくことで当日の状況にもうまくアジャストできたし、結構冴えていたね。
3本獲った時点で残り3時間。ここからのタイドが良くなる時間帯は、いちばんコンフィデンスがある、初日とこの日朝一に釣っている場所で勝負を賭けることに。ここで選んだルアーはバズベイト。この日釣れているのはブレーデッドジグだったし、バンクの込み入ったところを狙うのにテキサスリグを投げる前にバブルトルネード3/8ozを選択。それを木越しに投げて引いてくると……絵に描いたように木の根元で水面が爆発!
しかし、ここでまたしても悪夢が。フッキングしたときに、メインフックかトレーラーフックかわからなかったけど、どちらかのフックが木に掛かってしまって……バスが首を振ったときにバレてしまった。確実に2ポンドオーバーのキッカーだったのに、本当に考えられないような事態が起きてしまうとは。
その後はブレーデッドジグとテキサスリグで流していったけどノーバイトだったので、残りあと1時間というところでシャロークランクベイトに持ち替えた。そして、スタンプの向こう側にキャストしてリールをひと巻きしたところでナイスフィッシュが下から突き上げてきた。しかしまたしても……濁りのせいで喰いミスしたのか掛かりが浅くて外れてしまった。
初日同様、試合時間後半になってから2本のキッカーをことごとく失い、結局この日も3本でウェイイン。結果、予想通り全体的にウエイトを下げていたので少し順位を上げて66位で終了。
正直かなり悔しい試合だった。エリア、釣り方、タイド、すべて読めていた。しかも濁りのなかで自分だけの魚を見つけていたし、実際口を使わせていた。初日、2日目とも前半はほぼ完璧な試合運びが出来ていたのに、後半になって突然歯車が狂いだして……そういう意味でも本当にすべてが紙一重だったこの試合。クラシックのときはその紙が物凄く分厚く感じたけど、自分自身を冷静に分析すると、その紙も今回で少し薄くなったと思う。
ここ2試合悔しい思いをし続けているので、次こそは爆発したいね。みなさん期待して見ていてください。頑張ります!
ロッド:シナジー CSYC-78H スーパーマグナム(プロト)
ロッド:シナジー CSYC-71H スーパーディトネーター(プロト)
ライン:フロロカーボン 22lb
ルアー:バイズシュリンプのテキサスリグ
シンカー:E.G.タングステンバレットシンカー 6g、7g
ロッド:ヘラクレス HCSC-611MG サーバル
ライン:ナイロン 17lb
ルアー:シャロークランクベイト
ロッド:ヘラクレス HCSC-611MG サーバル
ライン:フロロカーボン 16lb
ルアー:ブレーデッドジグ 3/8oz(プロト)
ロッド:ヘラクレス HCSC-611MG サーバル
ライン:ナイロン 17lb
ルアー:バブルトルネード 3/8oz
■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster
・清水盛三オフィシャルサイト「NEVER GIVE UP」
・清水盛三オフィシャルブログ“I HAVE NO LIMIT”
・清水盛三Official Facebook
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