2014.10.20 (月)

清水盛三が語る 年間自身最高位とクラシック出場をかけて挑むバスマスターエリート・AOYチャンピオンシップ

2014年9月18~22日にミシガン州レイクミシガンで開催されたバスマスターエリートシリーズ最終戦AOYチャンピオンシップ。年間ランキング自身最高順位とクラシックの出場権をかけて、大荒れのレイクミシガンに挑んだ清水盛三がその戦いを振り返ります。

■ コールドフロント到来 激荒れフィールドでトラブル発生

いよいよ今回が最終の年間ランキングを決定する試合、その時点での年間上位50名だけで戦うAOYチャンピオンシップ。そして最終の年間ランキングによって来年のバスマスタークラシックに出場できるかどうかが決まる今シーズンの総決算。場所は、五大湖の1つレイクミシガンにつながる大きな湾、ミシガン州のグリーンベイというところで、レイクミシガンを含むミシガン州側がすべてトーナメントエリアという超広大なフィールドで行われた。

今年は僕にとって初めてのフィールドが多かったけど、ここも1回も行ったことがない釣り場。しかもプリプラもなし。さっきも言ったように、8戦終了時点での年間ランキングの上位50名しか出られない試合なので、出場権を獲得する前にこの湖を見る時間があるなら、他の試合が行われるところに行った方が良いと考えていたからね。

だから、ホンマに広大なフィールドを公式練習の2日半で見なければならなかった。五大湖ではラージマウスを釣っても勝てるウエイトは出せないのでスモールマウスがメインになるんやけど、五大湖で秋のスモールマウスも初めての経験。夏パターンのスモール戦は去年のデトロイトリバーで経験があって、そのときは決勝まで進めたのでまずはその流れで、ということでディープから探しに行った。

海と言っても過言ではない五大湖では、ただでさえ風が吹くとものすごいうねりが出てホンマに危険なほど荒れるのに、その週は今年初めてのコールドフロントが来た週で、大荒れプラス日本の真冬並みの寒さだった。たまたま積んでいたから良かったけど、もし防寒着がなければ凍え死んでいたよ。朝は特にひどくて、試合最終日は氷点下でボートが凍っていたほど。

そんな荒れているなかでの公式練習2日目。GPSと魚探を見ながら走っているときに波を2発かぶってロッドが5本流されてしまった。しかも今回のメインタックルであるスピニングを乗せていた側のベルトが外されて……試合で使えるスピニングタックルが数セットしかなくなってしまったのも辛かったし、何よりあれだけ荒れたなかを走って釣りをするのはかなりの恐怖感があった。

でも、今回の試合ですべてが決まるのでやるしかなかった。もちろん、優勝や自分自身の最高年間ランキング18位を超えたいという目標もあったけど、最低条件はクラシックの出場権をとること。僕が1匹でも釣ればクラシックには行けるという話しがまわりからは聞こえていたんで、そのためにはとにかく1匹で良いのでウェイインしさえすればよかった。

あとは、荒れているなか無事に帰ってくることも考えておかないとダメだった。せっかく魚を持っていてもボートトラブルとかで時間内に帰って来れなければアウトだからね。最低1匹、それをウェイインすること。それが今回のノルマ。でもそのたったの1匹が、今回ほど遠く感じたことはなかったね。


ページトップ

■ DAY-1 ディープのスモールマウスをシューティング

そして試合初日。朝一は練習で良かったエリアまで約45分かけて走った。今回の釣り方は、水深5~8mのディープハンプ周りで、魚探に映る魚を見てダイレクトに狙うシューティングがメイン。公式練習初日はまだ風も弱く、昼から水温が上がり出してからバタバタと釣れ出していた。相当数のスモールがいたので、30分もあれば余裕でリミットメイクできるかも、という感じだった。

ところが練習2日目からコールドフロントの影響で風が徐々に強くなり始めて、魚が散ってしまった。そこまで動くかって感じの気まぐれなスモールマウスに翻弄されて、その後結局見つけることができなかった。で、試合初日、朝一のハンプも全然ダメで魚探に全く魚が映らない。2時間ほど粘ったけど結局1匹も釣れなかった。

そこでこのハンプを見切って別のハンプに移動。そして魚探にチョロっと映った魚めがけてドロップショットを落としてシェイキングすると……ついに喰った。しかし、巻いてくる途中で痛恨のバラシ。たぶんプレッシャーで慌ててたのか、体が動かなかったのか。あの時は「もうこれでクラシックがどこかへ行ってしまった」と思ったよ。ホンマ1匹獲るためにこれほどのプレッシャーを感じたことはなかった。

そこからまた1時間釣れない時間が続いて……その後、悪い流れを断ち切ってリズムを変えるためにも朝一のエリアに戻った。そこでも魚探を見ながら魚を探していくと、魚が映ったのですかさずドロップショットを落として「喰え~」とパワーシェイカーの持ち味を活かしてシェイキング。コイツも狙いどおり喰わせて、今度は慎重にやりとりして……ついに獲った!3ポンドオーバー。

これで1匹の呪縛から解き放たれ、30分後にもシューティングでもう1匹追加。これも3ポンドオーバー。しかし、スクールが小さく後が続かない。

また別のハンプに移動してシューティングで狙うが、魚が映ってもなかなか釣れない。そこで狙い方をキャスティングからのシェイキングに変えてみると……またしても3ポンドフィッシュをキャッチ。この時点で2時。

帰着まであと2時間弱。普通であればまだ帰る時間じゃないけど、今回はとにかくウェイインすることが大事。このまま釣り続けて3ポンドで揃えてもトータル15ポンド。僕のなかでは20ポンドぐらい釣らないと優勝争いはできないと思っていたので、ウエイトアップよりも安全をとって一旦帰着地点の近場まで帰ろうと決断した。

エンジントラブルや何かトラブルがあって帰れなかったら、すべてが水の泡になってしまうからね。あとは時間があれば近場で釣ろうという感じで慎重に走った。

結局初日は9ポンド10オンスで48位という成績だったけど、最低ノルマは何とか達成できた。ただ、まだ最終結果が出たわけじゃなかったので、クラシックが決まったと言われても不安だったし、はやく次の日にならないかなと思っていた。


ページトップ

■ DAY-2 すべてが極限状態のなかバスマスタークラシック出場権獲得

ところが、次の日から本格的にコールドフロントの影響が出て大荒れ。その後もなかなか収まらず、前代未聞の3日連続キャンセルになってしまった。はやく終わってくれという気持ちもあって、試合へのモチベーションを維持するのが大変だったよ。

で、結局2日目が月曜日にスライドになって、しかもこの日が最終日ということで、2日間のウエイトで最終順位を決めることになった。とにかくはやく終えたいという気持ちもあったけど、やっぱり自分的にも納得した釣りで終わりたかったので、絶対5本は釣りたかった。

この日もまずは初日と同じエリアに向かった。そして、釣り始めてすぐにいきなり4ポンド10オンスのビッグフィッシュがきた。「よし!これは20ポンドコースや!」と思ったんだけど、実はこの日も魚探に魚が全然映らなくて、この1匹もシューティングじゃなくキャスティングで釣った。

ただ、キャスティングに変えて1投目できたんで、「もしかしてこの釣りか?」と思ったけど、やはり魚が散りすぎている感じだった。で、結局この日はこの1本で終わってしまった。最終戦の結果はイマイチだったけど、年間ランキング30位で2年連続3度目のクラッシック出場も決定した。

ホンマにこれだけの怪物達のなかで、日本から行って、スーツケースを車に積んで参戦している身からしたら良くやったと思う。最近は日本人が複数クラシックに出ることが多くなったから、それが当たり前のように思っている人が多いかもしれないけど、本当に1戦1戦が限界への挑戦で常に崖っぷちの戦いだった。

まあでも、最終戦が終わって、クラシック出場が決まって、率直な感想はホンマに「ホッとした」ってことかな。「やった!」という感じよりも安堵感の方が大きいね。特に最終戦は、フィールド、フィジカル、メンタルすべてが極限だったからね。年間ランキング自身最高位はとれなかったけど、なんとか1年無事に戦い抜けて、クラシックも決めることができて本当に良かったかなと。

応援してくれた皆様、本当にありがとうございました。次のクラシックも応援よろしくお願いします!

■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSS-611M パワーシェイカー611M
ライン:フロロカーボン 7lb
ルアー:4インチワーム 1/4~1/2ozドロップショットリグ

■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster

清水盛三オフィシャルサイト「NEVER GIVE UP」
http://www.morizoshimizu.jp/
清水盛三オフィシャルブログ“I HAVE NO LIMIT”
http://ameblo.jp/king-morizo/


ページトップ

関連記事