清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第8戦
ドロップショット&スピナーベイトで決めたチャンピオンシップ出場権

2015年8月27~30日にミシガン州レイク・セントクレアで開催されたバスマスターエリートシリーズ第8戦。
清水盛三の狙いはオフショアのビッグスモールマウスバス、そして、バスマスタークラシック出場圏内までランクアップした年間ランキングを少しでも上げて、その出場権を確固たるものにすること。
超巨大フィールドで行われた2015年レギュラーシーズン最終戦、その熾烈極まる戦いを清水が振り返ります。
■ 超巨大フィールド相手に順調なプラクティス ドロップショットで20ポンドオーバー
2015年のレギュラーシーズン最終戦は2013年の最終戦が行われたのと同じレイク・セントクレアが舞台。そのすぐ北側には五大湖のレイク・ヒューロン、そして南側に同じく五大湖のレイク・エリーがある。地図でちょっと見ただけだと五大湖に挟まれて小さく見えるけど、面積的には琵琶湖よりも広いという大きな湖。
さらに、それらの2つの湖とも川でつながっていて、トーナメントエリアで言えば、スタート地点がセントクレアというだけでヒューロンとエリー、さらにはそれらの湖を繋ぐ川も含まれるという、長さにして4~500kmはあるんじゃないかというほどの超巨大フィールド。
アメリカとカナダという2つの国にまたがり、本当に想像がつかないほどの広さで、釣りをしているまわり360度が水平線なんていう場所もある。たぶん、僕が今まで釣りをしたことがあるフィールドのなかでも一番巨大なフィールドだと思う。
このフィールドでのメインターゲットはスモールマウスバス。各レイクではオフショアの釣りがメインになり、ほぼ全域で釣りができるし、川にはボートドックがあったり、グラスも生えているので多彩な攻め方ができる。そんな巨大フィールドで魚を見つけるのに与えられた時間は、いつもどおりたったの2日半。
公式プラクティス初日、まずはレイク・ヒューロンを見ることに。2年前のトーナメントのメインエリアもヒューロンだったし、3日目に20ポンドオーバーを持ち込んで決勝に残って最終7位でフィニッシュしていたからね。そのときヒューロンはノーマークだったので人も少なく、思い通り釣りができたけど、2年前の試合では優勝者もヒューロンを釣っていたということもあってか、ヒューロンに行ってみると結構人が多かったので少し気にはなっていた。
しかし、そんな不安を吹き飛ばすかのように、練習を始めて朝の1時間でいきなり20ポンドオーバーのウエイトを出すことができた。狙っている水深は7~8mで、釣り方は前々回のセントローレンスリバー戦と同じくドロップショット。
その後、この日と2日目の昼まで時間を割いてヒューロンの他のエリアを見てまわり、何箇所か試合で使えそうなエリアを見つけることができた。2日目のウエイトも、メインエリアを使わずとも17~18ポンドは出ていたので、完全に手ごたえは掴んでいた。
そこで、2日目の残り半日はバックアップのエリアを探そうと、セントクレアの会場近くを釣ってみたけど、あまりパッとはしない感じだったので、公式練習最終日の半日は、セントクレアからヒューロンに行くまでのセントクレアリバーでバックアップの場所を探すことにした。
そして、そのなかの1箇所でDゾーン3/4ozのスローロールが炸裂。
このプラクティスの結果を踏まえて、メインエリアはヒューロンに、ただ、ヒューロンは超巨大なレイクなので少しでも北風が吹くとウネリが入って恐ろしく凶暴なフィールドに変貌して全く手が付けられなくなってしまうため、バックアップとしては風の影響を受けにくいセントクレアリバーを釣ろうと決めてトーナメントに臨んだ。
■ DAY-1 & DAY-2 プラクティスから状況が一変しメインエリアが不発
そして迎えた試合初日。ヒューロンのメインエリアに到着したときには嫌な感じの北風が吹いていた。さらに、コールドフロントの影響で最高気温も18度までしが上がらないという肌寒さで状況が悪化。練習の時と違い、魚探にはほとんど魚が映らない。
そんななか、魚探にポツ、ポツと映った魚をタフコンディションの切り札ヘラクレス・パワーシェイカー611Mとドロップショットの組み合わせで獲っていく。
ただ、荒れているなかでの釣りだったので2本ミスしてしまい、12時までで3本しかライブウェルに入っていなかった。そこからさらに風が強くなってきて、これ以上荒れているなかでやるのも厳しいということで、下って川を釣ることに。
そして、プラクティスで炸裂した水深1.5~2.5mほどのグラスエリアに入り、Dゾーン3/4ozをDゾーンスローロールスペシャルとも言えるシナジー ・スーパートライアンフ(プロト)でロングキャスト。グラスのトップに絡めるようにスローロールしていくと……狙いが的中。短時間のうちに2本獲ってリミットメイク達成。
そこで残り時間もわずかとなり、とりあえず会場近くまで戻って釣ることに。そして、ラスト5分で1本入れ替え。初日は15ポンド11オンスで55位。決して悪くはないウエイトだったし、メインエリアのヒューロンのポテンシャルを考えると明日は22ポンドもありえる数字という期待もあったので、2日目が勝負と思っていた。
2日目。初日の状況を踏まえて、朝一はまずヒューロンまでの通り道に当たるセントクレアリバーのスポットに立ち寄ってからメインエリアまで走ることに。そして、グラスエリアの狙いのストレッチをひと流しだけしようと、Dゾーン3/4ozをスローロールしていく。そしてすぐに2ポンド半をキャッチ。この1本で気持ちを落ち着けて、ビッグウエイトを狙いにヒューロンまで走った。
到着してみると、この日は前日と違いほぼ無風状態。確かに釣りはしやすいものの、こうなると心配はタフ化すること。案の定、魚探に魚が全く映らず、12時までかけてドロップショットでなんとか2本絞り出すだけで精一杯だった。
しかも、サイズもあまり良くなかったので、このエリアを見切り、再び川のグラスエリアに入った。ここでもやはりDゾーンが期待に応えてくれ2本追加。初日に続き、Dゾーンでリミットメイク達成。
■ ラスト1時間で痛恨の・・・しかしDゾーンに支えられチャンピオンシップへ
しかし、ウエイトは12~13ポンドと、まだまだこれからが勝負。とは言え、一旦川まで下りてきてしまうと、さすがに時間的にヒューロンまでは戻れない。でもやはり湖の魚の方が大きかったので、残り時間はレイク・セントクレアでやり切ろうと決断。
そして、選んだ場所は練習や試合では全く入っていなかったスポット。一昨年のプラクティスで魚探掛けをしていたときに気になってGPSにマークしていたオフショアのちょっとしたハンプ。そのときもほとんど釣りはしていない場所だったが、今まで積み重ねてきた経験からくる直感に導かれるようにこのスポットに入った。
そして、水深が4~5mと少し浅めだったのと風もなくタフな状況だったので、6lbのライトラインで1/4ozのドロップショットを投入。じっくり探っていくと、狙い通りバイト。しかし……不運にもフックアウト。
残り時間も少ないので、すぐ気を取り直して集中。するとビッグフィッシュの手応え。今度は散々ドラグを出されながらもなんとか耐えていたが、またしてもバラシ。これで完全にリズムを崩してしまったのか、その後も、ランディング寸前まで持ち込んだビッグスモールを……ラスト1時間で痛恨の3バラシ。
正直、「これですべてが終わってしまった」と思った。最終戦ラスト1時間でこの1年間積み上げてきたものをすべて失ってしまった。こんなミスをしていては年間ランキング50位にすら入れないだろうし、ましてやクラシックなんて絶対無理。
この1年間命を懸けて戦ってきたのに、そのすべてがこの1時間の出来事で終わってしまったかのような感覚にとらわれ、「今シーズンはクラシックでのビッグフィッシュバラシに始まり結末もこれか」と、あまりにも不甲斐ない自分自身に対する苛立ちで、完全に周りが見えなくなっていた。
その後ウェイインステージに上がるまで茫然自失の状態だったが、なんとかステージに立ち検量。2日目のウエイトは13ポンド、最終順位71位で準決勝進出ならず。しかし、レギュラーシーズン戦を終えて年間ランキングは46位と50位以内に踏みとどまり、かろうじてAOYチャンピオンシップへの出場権は手に入れることができた。
今この試合を振り返ってみて思うのは、川のバックアップパターンを持っていて本当に良かったなということ。Dゾーンのスローロールで獲った魚がなければ、クラシックどころかAOYチャンピオンシップにすら進むことができなかった。ある意味、Dゾーンが陰の立役者となって望みをつないでくれたとも言える。一度はあきらめかけたクラシックだったが、その挑戦権はまだ手の届く範囲にある。
年間ランキングはクラシック出場圏内から圏外の46位まで下げてしまったが、まだ、可能性がゼロというわけではない。次の試合で上位に入ることがクラシック出場の条件になるので厳しいことに変わりはないが、1パーセントでも可能性がある限りは前を向いて攻めていくだけ。年間ランキングクラシック圏内の追われる立場から追う立場になった今、もう失うものは何もない。
今ではだいぶ気持ちの整理もついたので、あとはチャンピオンシップに向けて淡々とコンディションを整えていくだけ。せっかく与えてもらったあと1回のチャンス。悔いのないようネバーギブアップの精神で最後まであきらめず戦い抜きます!
■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSS-611M パワーシェイカー611M
ライン:フロロカーボン 7lb
ルアー:4インチワーム 1/4、3/8ドロップショットリグ
ロッド:ファクト HFAS-65ULST
ライン:フロロカーボン 6lb
ルアー:4インチワーム 1/4ozドロップショットリグ
ロッド:シナジー スーパートライアンフ(プロト)
ライン:フロロカーボン 14lb
ルアー:Dゾーン 3/4oz ダブルウィローリーフ
■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster
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