2019.04.02 (火)

黒原祐一 超絶感度を極めたライトゲームロッド・SPRS-63SL-S スペリオルを解説

こんにちは。エバーグリーンライトゲーム・プロスタッフの黒原祐一です。

僕が開発に携わったライトゲームロッド、ソルティセンセーション上位シリーズ・スペリオルの第一弾、スペリオル「SPRS-63SL-S スペリオル」がついにデビュー。今回は、その開発経緯や性能について解説します。

いわゆる“パッツン系”は当時は否定する人も多かったが……

アジングを本気でやりだして、はや15年。はじめはトラウトロッドを使用していましたが、その後、本当にアジングに向いているのはどのようなロッドか?を考えて様々なロッドを試すようになり、最終的に「アジングロッドとはこうでなければ!」という結論に至ったのが、6フィート3インチの“パッツン系”バスロッド。

今ではアジングロッド=パッツン系とまで言われるようになりましたが、当時は否定する人も多かったように思います。というのも、そもそもアジングロッドというカテゴリーは存在せず、基本的にトラウトロッドかメバリングロッドを選択するしかなかったので、多くのライトゲームアングラーとってまだなじみがなかったためでしょう。

それから、エバーグリーンと協力して、よりライトゲームに特化したロッドを開発することになり、衝撃のデビューを果たしたのが、ソルティセンセーションでした。

ソルティセンセーション デビュー当時の広告

そして、さらに時は流れ、ソルティセンセーションが完成してから約8年が経った2017年。新機種のアイデアや、ロッドづくりの進歩もあり、そろそろ新シリーズ(上位シリーズ)をつくるべき時期が来たのではないかという話になり、その第1弾としてつくりたいと思ったのが、ソルティセンセーションが生まれる前に使っていたバスロッドと同じ6フィート3インチのパッツン系で、今も昔もアジングの基本リグであるジグ単・軽量スプリットを使うためのロッドです。

(ジグ単・軽量スプリットを使うためのロッドで)飛距離を伸ばすことを考えると6フィート台後半がベストなので、6フィート台前半はソルティセンセーションのラインナップからこれまではあえて外していましたが、アジングが成熟期を迎え、ロッドのラインナップも豊富になった今だからこそ、原点に立ち返って感度・操作性を最優先に捉えた6フィート3インチのショートロッドがぜひつくりたいな……と。

もちろん、ただの焼き増しではなく、最新の素材や技術によってより性能を高めたもの。今ならどこまで高められるのか? それにも興味がありました。そうして開発をスタートしたのが、通称「63ソリッド・プロトモデル」。


ページトップ

テストを重ねて完成したスペリオルの真価とは。

それからさらに2年の時が経ち、2019年3月、テストを重ねて完成した「63ソリッド・プロトモデル」、もとい、スペリオル「SPRS-63SL-S スペリオル」がついにデビュー。

仕上がりは……ハッキリ言って、抜群に良いです!

何が良いって、やはり一番は軽さ。ブランクス自体かなり軽く仕上がっており、さらに、ガイドやグリップを新しいセッティングにしたことで、数字上の軽さもそうですが、体感する軽さもかなり上がっています。そして、使ってみると分かりますが、軽さゆえに感度もかなり高まっている。

あと、強度はしっかり備えているというのもミソです。軽いですが、安心して使えます。ロッドづくりの着実な進化を実感しました。

アクションについては、狙い通りのパッツン系。「アジングは、自ら積極的にリグを操作し、積極的にバイト掛けにいく釣り」。アジングをやりだした頃から現在までそう思っているので、それがしっかりできるように、全体的に張りを持たせ、潮流による抵抗感の変化がわかりやすいように装着しているソリッドティップも張りがあるものを採用しています。もちろん、ガチガチではありませんよ。軽量リグのキャスト性やエステルラインの使用も考慮して、張りはありますが負荷がかかれば気持ちよく曲がってくれるアクション。

余談ですが、いまだに張りが強いロッドはアジのバイトを弾くと言う人がいますが、それは全くないと思っています。実際に海に潜って色々試してみましたが、海の中のリグ・ラインには水の抵抗や潮の流れの影響がかなりあり、ライン自体の弛み・伸びも少なからずある状況なので、竿の柔らかさがバイトの深さに影響するとは極めて考えにくいです。

それに、そもそもアジは基本的にリグが止まったりフォールしたりしているタイミング、言わば「静」で口を使う魚ですが、この「静」を際立たせるために「動」、つまりリグを鋭く・速く動かすタイミングをつくることで口を使う確率を上げられる魚であり、そのためにはアクションにメリハリをつけやすい張りのあるロッドが必要です。

また、アジは口が弱い魚なので、バイトした瞬間にそれを感じて、次の瞬間にはフッキングすることで壊れにくい上顎中心部に狙って針を掛ける必要があります。そこに綺麗にかかれば、まずバレません。そのためにも、瞬発力に優れた張りのあるロッドが絶対に必要なのです。逆に、フッキングが遅れると、カンヌキや下顎・口の周り等弱い部分に掛かってしまい非常にバレやすくなってしまいます。

あとは……あのフッキングがシュパ!っと決まった瞬間の快感こそ、アジングの醍醐味ではないでしょうか?(笑)

話を戻して、6フィート3インチという長さも、やはり良い。感度・操作性、ともに最高レベル。飛距離もそれなりには出せますし、堤防メインですが多少足場が悪い場所にも対応できる。あと、キャスティングのボートアジングでも使いやすい。

ちなみに、最後まで悩んだのは、実はグリップセッティングでした。より軽量なリールシート+グリップデザインにすればもっと軽量化できたのですが、やはり、感度・持ちやすさを両立することを考えると、ソルティセンセーションと同じIPSリールシート+小型EVAのデザインをベースに調整を加えるのがベストだという結論に。EVAのサイズを削ったり、内部構造を変更したりして、感度と持ち心地を高めつつ、できるだけ軽量化して、ようやく完成。

ついにデビューした、スペリオル「SPRS-63SL-S スペリオル」。シャキッとした張りを持たせたブランクスはダルさがなく、それでいて、負荷がかかれば気持ちく曲がってくれるアクション。それにより、ワンハンドキャストが楽になり、魚を掛けても「楽しい!」と思わせてくれるロッドに仕上がっています。ぜひ皆さんも、この性能の高さを体感してください。

P.S.
今回はアジングの話ばかりになってしまいましたが、もちろん僕はメバリングやその他のライトゲームにもスペリオル「SPRS-63SL-S スペリオル」を愛用しています。軽さや感度、張りは、いかなるターゲットに対してもメリットがあると考えています。

ページトップ

関連記事