2018.03.03 (土)

福島健インタビュー  福島流クランキング(巻きの釣り)論 & ファクト巻き物ロッド解説

サイトフィッシング、フィネスフィッシングの名手・福島健。しかし、ブレーデッドジグで優勝した2011年JBトップ50旧吉野川戦、シャロークランクベイトで単日トップウェイトを叩き出した2013ジャパンバススーパーバスクラシック北浦戦を始めとして、福島のトーナメント戦略から切り離すことができないもう1つのスタイルが、一見フィネスとは対極とも思える巻きの釣り。

トーナメントという特殊な状況で、巻いて釣り勝てる数少ないアングラーでもある福島が、自身のブランド・ファクトからリリースする福島流巻きのオールチューブラーロッドに込めた思いを語ります。

1. トップトーナメンターとして「フィネスを活かす上でも巻きの釣りが重要な役割」

EG:高いプレッシャーが掛かるトップ50のトーナメントではライトリグなどのフィネスな釣りがメインになると思うのですが、福島プロにとって巻きの釣りは必要な釣りなのですか?

福島:僕にとって巻きの釣りはトーナメントとは切っても切り離せないものです。巻きの釣りは「スピード」を重視した釣り方でもあるため、広範囲を短時間で効率良く探れて、たとえ魚が釣れなくても多くの情報を得ることができます。エリアごとの水温の変化や、水の色、ベイトフィッシュの有無、そのときにバスが好む条件など、フィールドの状況を早くつかむことができます。なので、プラクティスではまず巻きの釣りから入ることが多いですね。

実際、巻きの釣りによるこの作業は、ほとんどの試合でプラクティス中に終わっていることが多いのですが、試合本番だけでなくプラクティスからすでにトーナメントは始まっていると考えると、巻きの釣りは僕の中でも大事な位置を占めていると言えます。

試合では、巻きの釣りで集めた情報をもとにフィネスで釣りにいくことが多いですが、それも巻いて得た情報があればこそ。フィネスだけでは成立しません。フィネスも大事ですが、フィネスを活かす上で巻きの釣りが重要な役割を果たしているということです。

もちろん、巻いた方が勝てる魚が釣れる確率が高いと判断すれば、その釣りで通すこともあります。また、急な天候の変化などで状況が激変してリセットなんてときにも、巻きながら状況判断を素早くしていきます。このように、限られた時間内で競われるトーナメントにおいて、巻きの釣りは非常に重要なテクニックだと考えています。

EG巻きの釣りというと、あきらめずにひたすら投げて巻き続けるというイメージを持っている方も多いと思いますが……福島プロがトップカテゴリートーナメントを戦う上で行なう巻きの釣りとは具体的にはどのようなものですか?

福島:僕の場合、巻きの釣りにおいては先ほどの「スピード」に加えて「操作」ということを重視しています。「スピード」とは、ただ広範囲を短時間で探れるというだけでなく、テンポ良くスピード感のある連続キャストがリズムを生み出したり、ルアーにスピードを与えることでリアクションで無理やり口を使わせたりということでもあり、「操作」とは釣りの動作全てを指します。

まずはキャストですが、遠距離、近距離、オーバーハンド、アンダーハンド、バックハンド等、特に巻き物で流していくような釣りでは様々なスポットに次々とルアーを撃ち込んでいく必要があります。ミスキャストしてしまうとスピードダウンしてしまいますし、リズムが乱れて集中力も切れてしまいます。狙ったところにしっかりキャストできることが「操作」の基本になります。

また、ルアーアクションという点の「操作」からは、リトリーブを速めたり遅くしたり、一瞬止めたり、ロッドをジャークしたりと喰わせのキッカケをつくる動作も頻繁に入れます。特にルアーが何かに当たったり引っ掛かったりしたときがチャンスで、「パパン!」とロッドをしゃくりあげてルアーを弾いて外しにかかると同時に、瞬間的な「スピード」をルアーに与えてリアクションバイトを狙うという動作を入れています。

巻きの釣りをしていると、ウィード、ボトム、水中や水面のゴミなどに結構頻繁に引っ掛かって鬱陶しいなと思う方も多いと思いますが、この引っ掛かりを逆に利用して口を使わせる確率を上げるというのが僕のやり方です。特に試合本番ともなればただ巻いているだけで喰ってくる魚は本当に少なくなるので、プレッシャーの高い状況でリアクション的にバイトさせるには「操作」がとても重要になります。そして、この動作を1日中繰り返してもストレスを感じない道具が必要になるのです。

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2. 福島が巻き物ロッドに求めること「感じるけど感じすぎないという感覚がベスト」

EG:確かに、福島プロの動画を見ていると、頻繁にそのような動作を入れていますし、その直後に喰ってくるシーンも多いですよね。そんな「操作」をストレスなく行うために、福島プロが巻き物ロッドに求める性能はどのようなものですか?

福島:そうですね。ただ、「操作」という前に、まず巻き物ロッドとして基本的に外せないことがあります。それは、巻きの釣りにはチューブラーロッドを使うということです。ソリッドティップでワームを操るフィネス系の釣りと違い、巻きの釣りはロッド全体を使って釣りをしたいからです。

例えばキャストですが、巻き物で広範囲を短時間で効率良く探るには飛距離も重要です。ソリッドティップは小さなモーションでティップだけで素早いキャストをするのには向いていますが、飛距離を出すのにブランク全体をしならせてキャストしやすいのは継ぎ目のないチューブラーで、しかもレギュラーテーパーのものが良いです。

そんなロッドだと、巻いているときにもティップだけでなくロッド全体が振動するため、より手元付近で振動を感じることができるようになります。ソリッドティップのようにティップでリグや魚の重さを感じるフィネス系の釣りとは違い、巻いているリール付近で振動の強弱や乱れを感じることができると、バイトや引っ掛かりをより判別しやすくなるのです。

さらに、ファイト中はロッド全体で負荷を分散し、バラシを防いでくれます。特にトレブルフックの場合、小さなマス針が3つ付いているようなものなので、クセのないベンドカーブを描くロッドを使うことで、バスの身切れによるバラシのリスクを軽減することができます。

このように巻き物のロッドでロッド全体を使うことによって、ロングキャスト、ルアーの振動を手元で感じる、バラシを防ぐというメリットがもたらされるのですが、「ロッド全体を使う」を僕流に言い換えると、「ブランク全体をティップとして使う」というイメージです。

EG「ブランク全体をティップとしてとらえる」という感覚は、ファクト65Mと66MLの開発におけるキーワードでもありましたよね。でも、それを具現化するのはなかなか難しかったです。その感覚をもう少し具体的に説明していただけませんか?

福島:僕の中では、ワーム系を操作するソリッドティップロッドはティップ、ベリー、バットそれぞれが別々に仕事をするイメージですが、巻き物用ロッドに求めたのは、ティップ、ベリー、バットとバラバラに考えるのではなく、ブランク全体を、ルアーを「操作する」「感じる」うえで最も重要な役割を果たすティップとして考えるという感覚でした。あくまでイメージですが……でも、この考え方でつくったロッドは「操作」がしやすくなるんです。

あと、「感じる」の部分ですが、一口に「感じる」といっても、ワーム系の釣りとは違い、巻きの釣りでは感じすぎるのも良くありません。巻きの釣りはラインを張った状態で操作することが多いため、感じすぎるとつい体が反応してしまい、バスがルアーをしっかり吸い込む前にバスの口からルアーを引っ張り出してしまうことが多くなってしまうからです。

EGそこで重要になるのが「湿ったフィーリング」ということですよね。この言葉も開発中のキーワードでしたが……

福島:「湿ったフィーリング」を言葉で説明するのは難しいですが、大雑把に言うとカーボンロッドは乾いたフィーリング、グラスロッドは湿ったフィーリングという感じです。「乾いた=カリカリとして高感度」、「湿った=もちもちしてあまり感じない」と言ってもいいかもしれません。なので、湿ったフィーリングといっても湿りすぎは良くありません。「感じるけど感じすぎない」という感覚がベストです。

巻きの釣りでは、ありとあらゆる情報を拾うのではなく、今何をやっているかがわかる程度の情報量に抑えることで、ルアーの操作性は確保しつつもバイト時には早アワセを防ぎしっかりとルアーを吸わせることができるようになると考えています。高弾性低レジンで感度の良いカーボンロッドは乾いていて浅掛かりになりやすい、グラスロッドでは湿り過ぎていて操作する感度が不足するというイメージです。

ファクトからリリースする65Mと66MLといった巻き物ロッドは僕の中のイメージにあるベストな湿った感覚を持つロッドに仕上げたものです。これも、トーナメントという極限状態で巻いて本気で魚を獲るためにこだわった点です。

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3. 全く違う特性を持つ2本の巻き物ロッド「65Mと66MLを使い分けるとおもしろいことができる」

EG:「ブランク全体を使う」「湿ったフィーリング」という考え方が福島プロのスピーディーな操作する巻きの釣りを支えているわけですね。それらのコンセプトをベースに2本の巻き物ロッドをつくってきたわけですが、それぞれの機種で使用するルアー等を聞かせてください。

福島:まず65Mですが、これまで話してきた巻き物ロッドに対する僕の理想を全て詰め込んだチューブラー・レギュラーテーパーのロッドです。中弾性でレジン量が多めのカーボンをメインに使用して湿ったフィーリングを出しつつも、部分的に高弾性カーボンを使用することでルアーにキレのある動きを与えることができるようセッティングしたテクニカルな巻き物ロッドです。

日本のフィールドで使用頻度が高い中小型のシャロー系の巻き物にマッチします。僕がメインに使うのは、スピナーベイトやブレーデッドジグ、シャロークランクベイト、小型~中型である程度引き抵抗があるルアーや、ラストエース168などのジャーク系のルアーですね。

リトリーブ時のバランスにこだわり、全体重量を上げることなく、グリップ側を軽め、逆にティップ側に適度な重さを持たせています。そうすることでティップが自然に下を向くので、巻くのに適したロッドポジションを楽にキープしたまま巻き続けられるようになります。

まあ、このバランスは66MLにも反映されていますが。さらに、そのティップの重さがフッキング時にスピードとパワーを生み出し、スピナーベイトやブレーデッドジグといった軸が太めのシングルフックでもしっかり貫通させるパワーも確保しています。

さらにこだわったのが、一見どこにでもある6フィート5インチというレングス。この長さは飛距離とアキュラシーのバランスが非常に良く、ロングキャストにもアキュラシーキャストにも対応できるのが良いですね。

また、ルアーが水中の物に当たったらロッドをあおったり瞬間的に弾いたりするという喰わせのキッカケをつくるロッド操作もやりやすい長すぎず短すぎずのレングスですし、キャストして、感じて、アクションして、吸い込ませてフッキング~ランディングまでのすべての操作に非常にバランスの取れたロッドと言えます。

EG一方の66MLとはどういうロッドでしょうか? 65Mとは長さ・硬さが違うだけのロッドではないですよね。

福島:僕の操作する巻き物ロッドという意味の大きなコンセプトは65Mと同じですが、全く違う設計のロッドです。巻き物用としての感度と操作性を重視したテクニカルな65Mに対して、66MLは吸込み性能とバラシにくさに特化させた、65Mと比べてより湿った、グラスロッドに近い感覚のカーボンロッドです。クラフトワイルドハンチグランサーチャーなどシャロークランクやシャッドをメインに使います。

特殊な超低弾性カーボン素材をメインに使用することで、グラスロッド並みの吸込み性能とバラシにくさを実現しつつもグラスロッド以上の感度と操作性を持つロッドに仕上げました。

グラスロッドを使うようなルアーや状況で使うので、たとえば小さいトレブルフックのついたルアーやタフで浅掛かりが多発するような状況が出番ですが、カーボンロッドならではの軽さと扱いやすさがあります。グラスロッドと違いシャープに振り切れるので、キャストもビシバシ決まります。

65Mと66ML、2つのロッドの特徴を理解して使い分けるとおもしろいことができます。

例えば同じクランクベイトをそれぞれのロッドで投げた場合、ルアーがボトムや障害物に当たったあとの跳ね方が変わるんです。65Mの方はボトムや障害物に強くルアーが当たってトリッキーなアクションを演出できますが、一方の66MLは弱く当たってつんのめるような一瞬のタメからボトムや障害物を舐めるようにトレースできます。

なので、この2本をラインナップする意味というのは、使えるルアーの種類が若干変わるということもありますが、同じルアーを使っていてもロッドを替えることで違うアクションを生み出し、さらなる1匹をキャッチすることが狙いでもあります。

EGなるほど。ルアーを変えるのではなく、ロッドを変えることでルアーのアクションを変えてその状況に対応するという発想はおもしろいですね。ロッドがルアーのポテンシャルをさらに引き出す役割を担っているということですね。

福島:ロッドワークでのルアーの操作を重視したテクニカルな65Mと特殊な超低弾性カーボンを使ってグラスロッドとカーボンロッドのいいとこ取りの66ML。

この2機種があれば、トーナメントを戦う上で僕のシャローの巻きの釣りをほぼカバーしてくれますし、これらのロッドの働きによって巻きの釣りの精度が上がれば上がるほど、フィネスの釣りを活かすことにもつながるので、そういう意味でも僕にとってキャストからランディングまでを操作・コントロールできる巻き物ロッドはなくてはならない重要な存在と言えます。

- END -

■ファクト・チューブラーモデル ラインナップ
HFAC-65M
HFAC-66ML

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