2017.02.16 (木)

清水盛三が語る  バスマスターエリートシリーズ第1戦 
冬のハイランドリザーバーでシャロークランキング勝負

2月9~11日、2017年バスマスターエリートシリーズが開幕。初戦の舞台はテネシー州チェロキーレイク。極寒のハイランドリザーバーという厳しい状況で清水がとった戦略は……シャロークランキング。清水盛三がその過酷な戦いを振り返ります。

■ 大きな不安を抱えて臨んだ開幕戦

開幕戦が行われたチェロキーレイクは今回初めて釣りをするフィールド。プリプラクティスもできなかったし、季節も冬ということでかなり厳しい試合だった。結果は残念ながら……とはいえ、かなり自分らしい釣りができたと思う。ウェイインしたすべての魚がクランキングだったからね。しかも、コールドウォーターでのシャロークランキング勝負というのは、本当に久しぶり。実際かなり手ごたえをつかんでいた。

ただ、初日の午前中に大きなミスをしてしまったのが悔やまれる。朝からクランクベイトにきた魚を立て続けに4本バラしてしまった。その内2本はバスの姿が見えたけど、3ポンドはありそうなキッカーフィッシュだった……冬の魚は喰いが浅いというのもあるし、開幕戦、しかも極寒ということで体がついていかなかったのかもしれない。あるいは、ボートに不安を抱えていたのが影響してしまったのかもしれない。

以前なら完全にメンタルが崩壊してもおかしくない状況だった。でも今回は違った。その後4本同じくシャロークランキングで取り返しているからね。そういう点では手ごたえを感じているし、これをキッカケにしてさらに前進していきたいと今は前向きに考えている。

実はこの試合が始まるまで本当にギリギリのスケジュールで、今シーズンのボートが開幕戦に間に合うのか、ずっと不安のなかで準備を進めていた。例年の手順を踏んでいてはとても間に合わないので、今年は直接レンジャー本社に行ってボートをピックアップ。

そこからディーラーに引っ張って行ってセットアップ~チェックを終えた後、ボート登録を済ませてさらにラッピングと超タイトスケジュールでなんとかトーナメント会場にたどり着いた。その間、ボートを引いての移動距離は2,000キロ近くになる。

そこからタックルを準備して、バスマスターの撮影&ミーティングを終えた次の日から、ボートの慣らしも兼ねて2日半の公式練習に入った。

初めての湖をたったの2日半で見つけることができるのか。そのためには少しでもフィールドの状態を肌で感じたいところだったが、さらに追い打ちを掛けるような出来事が。公式練習初日に油圧ジャックが上がったまま下がらなくなってしまい、サービスクルーのところへ持って行って修理してもらうため練習を一時中断せざるを得なかった。

さらに公式練習2日目にもトラブルが。今度はエレクトリックモーターと魚探、GPSの調子が悪く、エレキはサービスクルーのところで直してもらったが、魚探とGPSは完全には直らなかった。


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■ 極寒の中、シャローを巻き続け……

十分な練習時間もとれず、様々な箇所に不安を抱え臨むこととなった試合当日。しかし、大事な大事な開幕戦、そんなことは言っていられない。自分を信じてやるしかないと気合を入れ直す。

少ない練習時間の中でつかんでいたのは、単発ではあるが浅いところに魚がいてクランクベイトに反応するということ。さらに、ディープのドロップショットでスモールマウスを狙って反応を得ていた。他にもジャークベイトやフェザージグ、メタルバイブなど冬の定番も試してみたがあまり芳しくなく、最終的にシャローのクランキングとディープのドロップショットをメインに戦略を立てていた。

プラクティスのときより冷え込んだ初日。まずディープから入ったが思いのほか反応が悪く、曇りで風が吹いていたこともあり、すぐにシャローのクランキングに切り替えた。低水温期のクランキングということもありハイシーズンよりシビアに風向きや当たり方をチェックしながら、岩盤、岩系のバンクを中心にフラットフォース(プロト)を巻いていくと……すぐにその狙いが的中。

しかし、冬のバスは喰いが浅く痛恨のバラシ。気を取り直して粘り強く巻き続け、単発ながらもバスに口を使わせていくが最初の1本が尾を引いてリズムが狂ってしまったのか、せっかくきた魚を4連続で獲りそこねてしまうという最悪の展開に。しかも狙い通りのナイスサイズまでも……

でも、まだ時間はあるし魚がいることもわかった。こんなところであきらめるわけにはいかない。あとは自分を信じてやり切るしかないと自分自身に言い聞かせて釣りを再開。同じようなロケーションを探しながらフラットフォースを巻き続け……ついに3ポンドのナイスフィッシュをキャッチ。

この1本で悪い流れを断ち切り感覚を取り戻した。そこからもさらに巻き続け、なんとか4本まで絞り出した。久しぶりにクランキングの奥義のような感覚を思い出すと同時に、メンタル面でも自分の中では明らかにステップアップしているという感覚があった。

しかしさすがに午前中のミスは大きく、あと1本足りず。初日は8ポンド9オンスで86位。

2日目は朝の気温がマイナス6度と初日よりさらに冷え込みがきつい。しかし、この日も曇って風が吹いていたので、初日の状況から判断すると寒くても朝からシャローで喰ってくるだろうと考えていた。

さらに、昼からは晴天無風になるという予報だったので、その前に5本揃えないとクランキングは厳しくなるとも思っていた。

そして狙い通りの展開で、朝からクランキングでポツポツと絞り出していき3ポンドクラスのナイスフィッシュを3本獲ったところで、風が弱まり晴れてきた。そこからは、ポロポロ釣れるもののノンキーパーのみ。準決勝に進むためにも、あと2本3ポンドのキッカーが欲しい。

ここで、このままシャローで巻き続けてもサイズアップは厳しいと判断しディープへ移動。しかし……ディープでも反応がなく、そのままタイムアップ。

最終16ポンド14オンスで結果87位。順位は悪かったし悔しいのはもちろんだけど、クランキングで取り返せたところなんかは内容的にも良かったし、そこまで悲観することはないというのが今の気持ち。

ただ、冷静に振り返ると、試合が終わらないと見えない部分ではあるが、2日目ディープをやる時間があるのであれば、シャローをやり切るべきだったかもしれないとも思う。ディープのドロップショットに逃げるのではなく、風が止んでからはラバージグでシャローの岩盤をスローに釣るという選択肢もあった。

極限状態での決断は本当に難しいけど、一つひとつの決断の積み重ねが結果を左右するのがバストーナメント。開幕戦と言うこともあって試合勘が鈍っていたというのはあるかもしれないが、長いシーズンを考えると、修正のキッカケを掴むためには初戦という早い段階で様々な問題点が表に出てくれたことは良かったと思う。

もちろん狙うは世界の頂点。だけど、まずは1戦1戦集中してあきらめずに戦い抜くことを意識していきたい。次はフロリダ、オキチョビレイク。今回とはフィールドのタイプも気候も全然違うので、切り替えていきます!

■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSC-68MG オセロット
タクティクス TCSC-70MLG スーパーノヴァXT
ライン:フロロカーボン 10lb
ルアー:フラットフォース(プロト)

■清水盛三 公式サイト:No Limit Morizo World
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■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster


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