初夏のメジャーレイクでフラットフォースが炸裂!
清水盛三が語るフラットサイドクランクの潜在能力とその引き出し方
一般的に低水温期に効くと言われるフラットサイドクランクベイトが、初夏のリザーバーで炸裂。清水盛三が得意のクランキングで魅せるThe Hitロケの動画がアップされました。
2023年7月5日放送【The Hit】正解のルアー&カラーで巻いて爆釣ハイシーズン
増水&濁りの入る小規模メジャーレイクをいかに攻略したのか……バスフィッシング上達のヒントが詰まったこの動画の解説書として、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
現場で得たヒントからフラットフォースにチェンジ、正解に辿り着く
今回のThe Hitロケは約1年ぶりの布目ダム釣行。前回も同じThe Hitのロケで、その時はDゾーン3/4ozのスローロールではめることができたけど、今回は状況が全然違った。ボートを水の上に浮かべてチェックすると、水温は20度前後。増水して冠水ブッシュがいたるところにあるし、茶色っぽい濁りも入っている……
ポストスポーンからアーリーサマー、増水、濁りとくればバスはカバーにタイトに付く傾向があるので、ジグやテキサスリグのカバー撃ちなのか、はたまたスポーニングから回復してエサを食べたい魚を寄せる強波動の表層系ハードベイトなのか……
さらに、前日に大会が開催されていたようで、布目ダムのような小規模リザーバーとしては多い40名の参加があったという。もしかすると、そのプレッシャーがまだ残っているのか……もちろん結果がどうだったかや、最近どんなルアーで釣れている等の事前情報は一切入れずに、先入観を持たず、シーズナルパターンと自分のスタイルを元に、今ここを釣っていく“フィッシュ・ザ・モーメント”はいつも通り。
そんなことを考えながら、朝はクラッチヒッターとバブルトルネードで表層を巻いて流しながら、冠水ブッシュに対してはIRジグやテキサスリグを撃ち込んでいくことに。エンジン使用禁止のダムなので、まずはスロープ周りから1時間ほど流して様子をみるものの……まったくバイトがない。
そこでエリアをチェンジ、最下流まで下ることに。まずは同じくクラッチヒッターでブッシュの際を引いていくも、バイトはない。次の手としては、強波動のままレンジを下げて、ゼルクやゼルクプティで釣っていくのがこの時期の定番だが……
このエリアにはいくつかのワンドがあり、クラッチヒッターで流している時、ワンド奥にブルーギルがチラチラ見えていた。なので「スポーニングから回復したいバス達はブルーギルを捕食しているのかなぁ」と考え、シルエットがブルーギルライクなフラットフォースを試してみることにした。
その1投目……カバーのアウトサイドを通したフラットフォースに、いきなり40オーバーのナイスフィッシュが喰ってきた。
さらにその数投後、またしてもフラットフォースで、2本目の40オーバーをキャッチ。
ブルーギル=ブルーギルカラーとは限らない、カラーを選ぶ際の注意点
やはり、ベイトをガンガン追い回して喰うというより、あまり泳ぎ回らないブルーギルを捕食しているようだ。しかも、2本ともスポーニング直後のやせた個体じゃなく、エサを喰って回復している魚体だったのと、躊躇なく喰ってきている感じは、ルアーはもちろん、カラーもバッチリ合っている。
一般的には、フックの掛かり所を見て「カラーが合っている・合っていない」と判断するアングラーが多いと思う。もちろんそれもあるけど、僕が意識しているのは、バスがルアーを吸い込んだ時に手元に伝わる感触。プラグの前後のフックが両方掛かっていると、ファイト中に片方が外れることもあるからね。
言葉で伝えるのは難しいんだけど「あれっアタリかなぁ~」という感じでなく、今回のように「ズパッ!」と鋭く吸い込む感じが伝わってくる時は、カラーが合っていると判断する。
この時使っていたカラーはパンフィッシュ(#364)。アメリカでは、ブルーギルやクラッピー、イエローパーチなどのサンフィッシュ科の平べったい小型魚を、食用としてフライパンに乗せるというところからパンフィッシュと呼んでいる。もちろん、バスにとっても格好のベイトフィッシュだよね。
そんなパンフィッシュをデフォルメしたこのカラーは、薄茶色の水の中に入れると、まさにブルーギルっといった感じに見える。ブルーギルをイミテートしたいからといって、単に人間の見た目から“ザ・ブルーギル”的なカラーを選ぶのは短絡的。
例えば、フラットフォースにある稚ギル(#246)というカラーももちろんブルーギルのイメージだけど、それは水質がクリアな状況の場合で、特定のベイトフィッシュをイミテートする場合でも、水の色によって選ぶカラーが変わるので、カラー名だけで判断せずに、実際水の中に入れてみて選んでほしいですね。
フラットフォースをメインに要所でテキサスリグ、さらにはDゾーンでも釣果
ロケの方に話を戻して、その後もフラットフォースで流していった。ここまでは、朝でローライトだったし、太陽が雲に隠れている時間も多かったんだけど、ついに晴れ間が出始めた。ワンド内は風もほとんどない。といったこのタイミングで目の前に現れたのは、ゴージャスな冠水ブッシュ。
フラットフォースがはまっているとはいえ、ここぞというカバーにはテキサスリグを撃ち込む。そして……ここでも狙い通り50センチクラスのビッグフィッシュを引きずり出した。
そのゴージャスなブッシュを釣り切ってから、再びフラットフォースに持ち替えて流していくと、今度は岬でドンと来た。1本追加。
フラットフォースで流しながら、要所のカバーではテキサスリグを撃っていく。そんな感じで良いリズムで流していくもの、先程ビッグフィッシュを獲ったようなゴージャスなブッシュはなかなか現れず、パラパラっとした薄いカバーが多くなってきた。
そこで、次はDゾーン1/2ozのダブルインディアナに持ち替える。
フラットフォースよりもカバーをタイトに狙いやすく、かつよりスローに引けるので、日が出てバスの活性が下がってきた状況によりマッチするかもしれない。さらに、このエリアのような薄めのカバー、水面下に張り出すブッシュや水中に伸びるレイダウンでは、テキサスリグよりもカバーに沿って横方向に探りやすいのも良い。
そして……ここでも狙いが当たり持ち替えて数投でDゾーンDIで1本追加。
ただ、この時はトレーラーフックに喰ってきた。しかもスローな動きに反応してきたということは、徐々に活性が下がってきていて、昼からは厳しくなるかも……という気もしていた。
タフな状況でハイクオリティーな魚を反応させる、フラットサイドクランクの潜在能力
そんな予感が的中してしまい、午後に入って2時間はノーバイトの時間が続く。しかし、その沈黙を打ち破ったのも、やはりフラットフォースだった。
ボディウォーターに面する岬上のブッシュ先端を通した時に来たのは、グッドコンディションの40オーバー。この日フラットフォースで釣れているのは、傷が口にあるような過去に釣られた個体ではなく、きれいな魚体のフレッシュな個体ばかり。
しかし、日が上がってからはカバーの奥に移動した魚も多いはず……と要所のカバーでテキサスリグを撃っていくのは今まで通り継続。そして、テキサスリグで2本追加して厳しい日中をしのいだ。
迎えた夕方のフィーディングタイム。ラストはやはりフラットフォース。ボディウォーターの赤土バンクに小規模なブッシュが絡む場所で2本獲ってこの日は終了。フラットフォースが大活躍してくれたロケとなった。
本来、ポストスポーンからアーリーサマーの水温が上昇してバスが活発に動き出す時期は、フラットフォースよりも強い動きのゼルクのようなラウンドタイプのクランクベイトを使うことが多いけど、今回はフラットサイドクランクだった。
フラットサイドは低水温期に使うものというイメージがあるかもしれない。でも実際は「季節限定のルアーじゃなくて、タフな時に効果的なルアー」というのが正しい言い方。それと「バスがブルーギルを意識している状況にも効果的」と証明できたと思う。
このロケの日はポストスポーンで、バスは泳ぎ回ってエサを喰っている感じじゃなかったし、前日のトーナメントのプレッシャーが残っていたのかもしれない。でも、そんなタフな中で、体力のあるグッドコンディションの魚を揃えられたのもフラットフォースのおかげだね。
ハイピッチのキレとヌメヌメとした柔らさが共存するロール主体のアクションから生み出される軽めの波動と鋭い明滅で、ラウンドタイプのクランクに反応しない魚やライトリグのスローな展開とは違うタイプの魚が獲れる。だから、他のルアーやテクニックでは釣れない魚に口を使わせてしまう威力を秘めたルアーと言っても良いと思う。
フラットフォースで釣るために大事なこと=巻きの釣りの基本
昨年のバサーオールスタークラシックの時も、まさにそうだった。晩秋、コールドフロントの影響もあって水温が急激に低下。朝の1~2時間、練習で見つけていたルアーや場所でやっても試合では全然ダメだった。
そこで切り替えて、ひとつずつ自分のテクニックの引出しを開けていって、晴れ上がって風やカレントもない状態が続く中で、辿り着いたのがフラットフォースだった。
その時のカラーはスモールマウスバス(#392)というカラーだったけど、ブラウン系のこのカラーは、霞水系定番のエビをイメージさせることもできる良く釣れるカラーだね。
オールスタークラシックでは、アタリはただ重たくなるだけで、リアフック皮一枚という本当に厳しい状況だった。でも他の釣り方では、口を使わせることすらできなかった。フラットフォースにしか反応しない、そんな魚を獲っていくことができたからこそ優勝できたと言っても過言じゃない。
でも、低活性のバスが相手だからといって、ただ単にスローに巻いていたわけじゃない。バスに見切らせずにリアクションで喰わせるので、ルアーの振動がしっかり手元に伝わるスピードで巻くことが大事なんだ。モードのクランクベイトは、そのスピードで巻くだけで釣れるようにつくっているからね。
今回の布目ダムもオールスターの利根川でも、フラットフォースが何かモノに当たった時とかじゃなく、中層を泳いでいる時に喰ってきているので、本当にルアーそのものの力で魚を獲れるルアーだと思う。
だから、フラットフォースで釣るためには、まずはルアーを信じて、ヘタな小細工はせず、しっかり振動を感じ取れるスピードで巻くこと。そして、何かに当たったら一瞬止めて、また巻く。難しく考えることはない。これはバスフィッシングの王道でもある巻きの釣りの基本。
なので、今回の布目ダムの動画など釣れている映像を、何度も何度も見て、素直に真似してもらえれば絶対釣れますよ!
基本動作の精度を高めることが、釣果に大きな差を生み出す
ただ、王道を極めようと思ったらメチャクチャ奥は深い。投げて巻くという動作の中、1投1投に明確な狙いがあって、同じことをしているように見えても実際はキャストごとにリトリーブコースを変えたり、微妙に巻きスピードを変えたり、ロッドティップの位置や投げる距離を変えて泳ぐレンジを調整したりしている。
そんなテクニックを的確に実践しようと思ったら、まずは「投げて巻く」というバスフィッシングの基本動作の精度を高めておく必要がある。
「年々釣れなくなってきた。厳しい」というアングラーが多いこんな時代だからこそ、基本動作をしっかりマスターしているかどうかで、釣果に大きな差が出てしまう……なんてことも起こる。
簡単な例で言うと、キャストが不安定だと、仮に釣れたとしても、そのパターンをしっかり再現できるかわからないけど、キャストを思い通りにコントロールできれば「再現性が高まる=釣れる確率がアップする」ということ。それが1日積み重なると……釣れる人と釣れない人の差は、そんなところからも生まれる。
クランクベイトを投げて巻く……けっして派手なテクニックじゃないけど、バスを釣るために本当に大事な基本とも言えるテクニックなので、ぜひみなさんもこの動画を何度も見て、実際にフィールドで試してみてください。
そして、もっともっとバスフィッシングの面白さを感じてもらえるとうれしいです!
■タックルデータ
[ロッド]グラスコンポジット(プロト)
[リール]ジリオン SV W 6.3:1
[ライン]ポリアミド(ナイロン) 16lb
[ルアー]フラットフォース
[ロッド]シナジー CSYC-70M+ マルチローラー
[リール]ジリオン SV TW 6.3:1
[ライン]エクスレッドNS(フロロカーボン) 14lb
[ルアー]Dゾーン 1/2oz ダブルインディアナ
[ロッド]シナジー CSYC-71H スーパーディトネーター
[リール]ジリオンSV TW 8.5:1
[ライン]エクスレッド(フロロカーボン) 20lb
[ルアー]ノイジークロー 3.5インチ テキサスリグ
[シンカー]E.G.タングステンバレットシンカー 10.5g
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