2018.06.07 (木)

林裕士 超強力釣法・キャスティングタイラバ入門&新ロッドPSMC-70L/M解説  

こんにちは。エバーグリーンプロスタッフ・香川ポセイドン遊漁船長の林裕士(ハヤシ ヒロシ)です。

今回は、鯛を狙う上で絶対に欠かせない釣法、「キャスティングタイラバ」の理論やタックルについて解説します。

キャスティングタイラバが絶対に必要な理由

「キャスティングタイラバ」とは、その名の通り、タイラバをキャストし、着底させた後に斜め、ないしは横方向に巻く釣法のこと。

タイラバを真下から真上に向かって縦に巻く「バーチカルタイラバ」がポピュラーになっている一方で、なぜこのキャスティングタイラバが鯛を狙う上で絶対に必要なのか?

理由は簡単で、「縦の動き」には一切反応しない鯛が、「斜め、ないしは横の動き」には簡単に反応するという状況が多々あるから。

つまり、キャスティングタイラバは、アプローチに組み込むことでバーチカルタイラバだけやっていても釣れない個体を釣ることができる、強力な釣法なのです。

また、その他にもタイラバをキャストすることによる利点はあります。

●ハイプレッシャーな船の真下を避けてフレッシュな個体を狙える。

●船の真下以外の広範囲を探ることができるため、潮流や風がなく船があまり動かない中でもバイトを引き出しやすい。等

ちなみに、近年日本海などで行われているディープドデラタイラバは言わばこの応用版。キャストをするのか、船を流すのかという方法の違いはありますが、いずれの釣法も、「船から離れた位置に着底させたタイラバを」、「斜め、もしくは横方向に巻く」という点が、釣果を生むキーです。


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キャスティングタイラバが有効になる状況や時期

では、そんな強力な釣法・キャスティングタイラバは具体的にどんな状況で有効になるのでしょうか。

私が遊漁船業を営む瀬戸内海での釣りをベースに考えるならば、釣り場は主に水深6~40mのシャローエリア。そして、盛期は5月~11月となります。

釣り場が主に水深6~40mのシャローエリアである理由は、「キャスト→着底→リトリーブ」の一連の動作をテンポよく繰り返すことができる水深がそれぐらいであるため。

また、シャローエリアだと船の真下にプレッシャーが掛かりやすいためタイラバを船から離れた位置に着底させることによるメリットが大きいこともあり、キャスティングタイラバの有効性が際立ちます。

もちろん「斜め、ないしは横の動き」に対しての反応を見るという意味ではポイントの水深はあまり関係ないので、場合によっては水深40~70mといったエリアでも、縦に動くものに反応が悪いと感じる場合には積極的に試します。

ただ、水深がある場合だと船が流れるスピードや潮流が速い場合などにはキャストしたタイラバが着底しにくくなるので、ある程度慣れていないと出し所やウェイト選択が難しいということがあります。

なので、キャスティングタイラバ初心者の方は、まずはシャローエリアからチャレンジされるのがオススメですよ。

そんな経緯から、一般的にキャスティングタイラバの盛期はシャローエリアがアツい時期である5月~11月となります。気の早い方やキャスティングタイラバが大好きな方は例年3月末から投げていますが……(笑)


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時には釣果を二分するタイラバのウェイト選択について

では、どのくらいの重さのタイラバを使うのか?

私の場合、基本的には水深と潮流のスピードに合わせて、水深20m以内の浅場なら軽めの30~45g、水深20~40mなら45~60g、それより深い場合は60~80g、といったような感じで選択します。

ただ……浅場=軽め、深場=重め、と言う固定観念は持たないようにした方が良いと思います。

タイラバのウエイトが変われば、フォール時のスピードや動き、リトリーブ時の軌道、ボリューム感などが変化します。それらによって、時に釣果に大きく差が出ることがあるからです。

例えば、鯛が中層をフラフラとフォールするものに強く反応することがあります。そんな時には、水深が深くても30gの軽いタイラバを使った方が明らかに喰いが良いです。

また、鯛が貝やカニ等の底モノを捕食している状況なら、途中がムダなので水深が浅くても80gの重いタイラバで一気に底まで落として、底付近を効率良く攻めた方がより釣果を伸ばせます。

基本は抑えつつ、その時の状況や魚の反応を見ながら臨機応変にウェイト選択を行うのがベストでしょう。


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フリーフォール or カーブフォール?

さらに、キャスティングタイラバでは、キャストしたタイラバを底までフォールさせる際に「カーブフォール」させるか、「フリーフォール」させるか、ということも、時に釣果に差が出る要素です。

先程も「鯛が中層をフラフラとフォールするものに強く反応することがある」と説明したように、鯛は多くの場合、フォールするタイラバをしっかり見ており、そのスピードや動きがハマっているか否かで巻きでのバイト率が変わります。また、もっと直接的に、フォールにバイトが集中することもあります。

どういう状況ならどちらのフォールの方が良い、ということまでは、季節や天候、潮の流れ、水深、ベイト、底質等によって変わるので説明しきれませんが、それぞれのフォールの特徴としては、

■フリーフォール
[メリット]
・着底が速いので手返しが良い
・鯛が真下にスッとフォールするものに反応が良い時に有効
[デメリット]
・糸ふけが出るのでフォールバイトへのアワセがワンテンポ遅れがち
・着底から巻き上げまでタイムラグがあるので岩礁帯では根掛りしやすい

■カーブフォール
[メリット]
・鯛が斜めにゆっくりフォールするものに反応が良い時に有効
・フォールバイトを瞬時にアワセることができる
・着底から巻き上げまでタイムラグがないので岩礁帯でも根掛りしにくい
[デメリット]
・着底が遅いので手返しダウン

となりますので、メリット、デメリットを踏まえた上で試行錯誤をしてみてください。

初心者の方ですと、「試行錯誤をしてみてくださいと言われても……」と少し難しく思われるかもしれません。

それは正解で、バーチカルタイラバよりも攻め方のバリエーションが多く存在しており、ちょっとややこしいのがキャスティングタイラバです。

しかし、言い換えれば、それは「ゲーム性の高さ」、「面白さ」でもあります。

臨機応変にウェイトを選択し、フリーフォールとカーブフォールを使い分け、その他にも試行錯誤をして、やっと見つけ出した自分なりの釣り方で獲った1枚には、格別の悦びがあります。

ぜひ、この悦びを体感していただきたいですね。


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キャスティングタイラバに最適なタックルとは

そしてこの度、私がテスターとして開発に携わったキャスティングタイラバ特化型ロッド、スパリッドマスター PSMS-70L/Mがついにデビューしました。

まず、このロッドはスピニングロッドです。ベイトでもある程度キャストはできますが、やはり、キャスティングタイラバにおいては、バックラッシュの不安なく簡単にロングキャストができるスピニングが圧倒的に有利です。

そして、適度な張りを持つオールチューブラーブランクを採用。

なぜチューブラーか? ソリッドティップの繊細な感度は充分に分かっていたので、初期プロトはソリッドティップ搭載で作りましたが、ティップの破損を恐れてつい力を抜いてキャストしてしまう……

そこで試しにチューブラーティップにしてみたところ、予想以上のストレスフリーにビックリ。遠慮をすることなくキャストを繰り返せることで、そう昔やっていたバスフィッシングのような感覚になり、釣りに良いリズムができて攻めの効率や精度がアップ。

また、バイトがあった際にソリッドティップだとフッキング動作のパワーをティップが若干クッションしてしまい、ロングキャストした先等ラインスラックある場合にはフッキングが決まりにくいというストレスがありましたが、チューブラーティップならフッキングが一撃でバシッ!と決まる!

結果、短期間でソリッドプロトよりも沢山の鯛を釣ることに成功しました。

オールチューブラーに方向性を定めてからは、アクションを煮つめるため、調整&テスト。もうちょっと硬く……もうちょっと柔らかく……と何度も調整。エバーグリーンの開発担当には無理を聞いてもらいました。

そして、ついに完成した理想のアクション。適度な張り、そしてスムーズなしなりにより、オーバー、サイド、アンダー、キャストフォームを問わず、軽い力で幅広いウェイトのタイラバが気持ち良く飛んでいきます。

また、シャローで掛けた大鯛は青物のように横走りし、時には障害物にラインを擦ってブレイクさせてしまうこともある強敵。なので、バットには決して主導権を譲らず余裕でファイトできるよう、強靭なパワーを持たせました。

さらに、チューブラーのパワーがあるロッドでありながら、繊細さを失わない絶妙な設計により、ソリッドティップ搭載ロッドには少し譲るものの感度抜群で、着底感が良くわかるのはもちろん、ショートバイトや、タイラバの後ろに魚が付いた時の抵抗の変化もしっかり捉えることができます。

タックルセッティングは、下のタックルデータを参考にしてみてください。バイトがあればしっかりアワセて、ドラグきつめで強引にファイトすることが多い釣りなので、メインラインは少し太めのPE1~1.2号がオススメです。リールはスピニングリール2500~3000番ノーマルギアを組み合わせています。

ちなみに、キャスティングタイラバ特化型ロッドとして開発を行いましたが、近年流行りつつあるマイクロジギングにも良い具合に対応します。意外と、バーサタイルに使えますよ。


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キャスティングタイラバをやってみよう!

近年のタイラバゲームは、ハイプレッシャー化に伴いライトライン化が進み、より繊細なアプローチを用いてバイトを引き出す方法が模索されている状況です。

しかし私は、鯛の習性を上手く利用すれば、まだまだ太めのラインを用いたダイナミックな攻めの釣りが十分成立すると考えており、その方法の一つがキャスティングタイラバです。

釣果を伸ばす強力な釣法、しかもゲーム性が高くかなり面白いですから、ぜひチャレンジしていただいて、かけがえのないあなただけのメモリアルフィッシュをゲットしてください。

なお、遊漁船によってはキャストを禁止している場合がありますので、必ず事前に船長さんにキャストしてもOKかを確認するようにしてくださいね。瀬戸内ならほぼ大丈夫だと思いますが、確認が大事です。

また、ぜひ私が船長を務める香川のポセイドン遊漁にも遊びに来てください。文章では伝えられないこともたくさんありますので、その際にはぜひ直接レクチャーさせていただきます。

■タックルデータ
[ロッド]スパリッドマスター PSMS-70L/M
[ライン]PE1~1.2号
[リーダー]16~20lb
[ルアー]タイラバ 30~80g

■ポセイドン遊漁
http://poseidon-kagawa.chips.jp/


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