清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第5戦
ポストスポーンをフィネス&スイムベイトで攻略

2015年6月3~7日に開催されたバスマスターエリート第5戦は、ケンタッキー州とテネシー州にまたがるケンタッキーレイクが舞台。清水盛三にとっては過去に優勝経験もある得意なレイクでの試合ではあったが……その変貌に戸惑う清水がとった戦略とは。
■ テキサスリグで沖のハンプを狙いグッドエリアを発見
レイクハバス戦が終わって一時帰国後、短い滞在期間中に日本での仕事を終えてまたすぐに渡米。車とボートを置いてあった西海岸から次の開催地、ケンタッキーレイクまでの移動距離は約2700km。そこを3日掛けて運転する予定だった。
ところが、車にトラブルが発生してほぼ1日つぶれてしまった。これでは普通に走っていたら公式練習に間に合わなくなってしまう。だから、移動2日目は、16時間ドライブ、睡眠時間1時間という超強行スケジュールになってしまった。それでなんとか公式練習には間にあったものの、練習前からかなりの体力を消耗してしまった。でも、これがアメリカを1人でトレイルするということだし、今回のケンタッキーレイクは優勝経験もあり、常に賞金圏内に入賞している得意なレイクということもあって、いつも通り淡々と準備に取り掛かった。
エリアに関して言えば、過去の経験から自分にとっての実績場を何箇所か持っているけど、勝つためにも、自分の釣りを進化させるためにもそこばかりを頼りにはできない。だから、公式練習初日は、新たなエリアを開拓することにした。
実際湖に浮いてみて驚いたのは、水温がこの時期としては低い23℃しかなかったということ。練習中はコールドフロントが来ていて、最低気温13℃、最高でも17℃という感じで、防寒レインを脱がない日もあった。さらに、水温低下と増水が重なって、まだまだスポーニングもありそうな感じだった。
そして、1箇所バタバタと釣れるエリアを発見。水深4m前後のハンプ状の地形でルアーはロングカーリーテールの10.5gテキサスリグ。アワセ切れするようなデカいのも喰ってきた。その他にも2箇所使えそうなエリアを見つけることができ、優勝したエリアも合わせると「やはりオフショア」という感触を得て2日目のプラクティスを終えた。
■ DAY-1 & DAY-2 スピニング・フィネススタイルでビッグウエイト
迎えた試合初日、朝一はもちろん今回のプラクティスで見つけたあのエリアに走った。ところが、ある意味予想していたことだけど、ローカルの釣り人が入っていた。ここケンタッキーレイクはローカルトーナメントも多く開催されていて、釣りをしているのを双眼鏡で見られたり、プロの釣りがマークされている。優勝したときなんかは、まわりで待機していて、僕が移動しようとしたらそのスポットで釣り始めたりということもあって。結構それがトラウマになっていた。
だから、このエリアはスルーした。下手に入って横で魚を釣っているところを見られてしまうと、それこそ一生そこに居座られてしまう。次も練習で見つけた場所。そこには誰もいなかったので、まずはテキサスリグからスタートするものの、いきなり根掛かり。良く見ると僕が狙いたいドンピシャのラインに延々とナマズの仕掛けが入っている。こうなると、これ以上釣りはしにくいので移動することに。
でも、それっきりで、1時間ほど粘ったけど全然釣れず迷いが出だした。練習で釣っていたシャローが近かったので、「少しだけでも見に行こうか」とかなり気持ちが動いた。でも、「シャローに時間を使っていたら絶対に上位には行けない」と思いとどまった。結果的にこの判断は良かったと思う。次のスポットが炸裂したからね。
そして、ついに炸裂。とは言え、ここでもスピニングでのフィネススタイル。ロングストレートワームのワッキーリグのシェイキングで連続キャッチ。しかし、その後しばらくパタッとアタリが止まってしまう。そこで、もう一度魚探を掛け直して、生命反応が多い所を見つけて釣ると、またしても連発。リミットメイク。その後もその繰り返しで4回ほど入れ替え。ウエイトは推定19ポンドまで上げた。
と言っても、一から探す時間もないので、スタート地点に戻りながら気になるエリアを釣っていった。しかし、パッとする場所もなく結局そのままウェイイン。ウエイトは19ポンド5オンス。「このウエイトならまずまず」と自分では思っていたけど、まわりが予想以上に釣っていた。結局32位。このウエイトでこの順位は今までのケンタッキー戦では考えられなかったけど、1~2ポンドの間に多くの選手がいたので、まだまだ問題ないと気を引き締めて2日目に臨んだ。
その後も大きくエリアは変えずに、このエリア内で気になる所をチェックし続けたけど全然反応がなく……ついに残り1時間に。「リミットも取れないのか」と思ったそのとき、ピックアップしようとしたワームに4ポンドフィッシュが喰ってきた。
「これか」とこのビッグフィッシュをキッカケに魚が浮いていることをつかみ、残り30分でリミットメイク達成。その後、2本入れ替え。さらに、ラストキャストでも入れ替えに成功。2日目のウエイトは16ポンド2オンス。43位でなんとか準決勝進出を決めた。
それと、やはりロッドの性能も大きい。パワーシェイカーの、その名の通りのシェイキングのしやすさはもちろん、ショートバイトを奥まで喰わせられるティップのおかげでもある。さらに、そこからのフッキングのバットパワーがあるので、今回の試合では、かなりの数のバスを掛けたけど、ワームを取られた1回を除いてパーフェクトフッキング、パーフェクトランディングだった。
さらに今回は、パワーシェイカーの611Mをデッキにライン違いで2セット用意していた。メインはオーソドックスにフロロカーボンライン。もう1セットは、特に逆風に向かって投げる時に少しでもロングキャストできるようにPEラインを巻いていた。
■ DAY-3 スイムベイトとグラスロッドの組み合わせで順調にウエイトアップ
迎えた試合3日目、準決勝。今大会は特別ルールで、準決勝に残れなかった選手が別の湖で敗者復活戦を行なうため、準決勝の前日は準決勝進出メンバーは休みだった。おかげで今までの睡眠不足を取り戻すべくしっかりと10時間ほど寝ることができて、この日は、頭が凄くクリアな状態で試合に臨むことができた。
もちろん朝一からあのエリアに直行。しかし、そこにはローカルのボートが3艇。しかも、ほぼドンピシャの位置に陣取っている。とは言え、「もうこのエリアしかない」と、この日は他の場所に移動せずローカルが釣っていたハンプの反対側に入った。
しかし、連発のあとはアタリがストップ。でも、これも想定内。前日につかんだことを活かし、この日はここでスイムベイトを投入。そして、狙いどおりバイト。しかし、乗らず。そこで、「この状況でしっかり吸い込ませるためにできることは」と考えて、まず、スイムベイトのシンカーを軽いものにチェンジ。さらに、それまでスイムベイトに使っていたカーボンロッド(プロト)からリールを外してグラスロッドのレパードに付け替えた。
そしてその1投目……いきなりの4ポンド。狙いどおり思い切り吸い込んできた。疲れが溜まっていると、リグのチェンジが面倒くさく感じてしまい、ついついそのまま投げ続けてしまうなんてことになっていたかもしれないが、前日しっかり寝ることができたおかげで、この日は頭が冴えていたし体もそれについて来てくれた。
そこからは風がないときはスピニング、風が吹いているときはスイムベイトを投げてリミットメイク。そして数回の入れ替え。10時の時点で推定16ポンド。
そして移動後、まずスイムベイトを投げると……4ポンドのビッグフィッシュ。入れ替え。その後もスイムベイトを投げ続け、入れ替えはならなかったものの何本かキャッチ。「まだイケる」とラスト15分。スピニングタックルに持ち替える。ラスト5分、ロングストレートワームで2本獲って、ついに入れ替え。結果17ポンド11オンスで、2日目の43位から最終32位まで順位を上げることができた。
ただでさえ広大な湖で、エリアだけじゃなくルアーと釣り方まで絞り込まないといけないというのは至難の業だけど、今回やっと、ケンタッキーをどう釣れば良いのか、本当の意味でわかった気がする。もしこのレイクでまた試合があれば、次は今回の経験を活かして絶対釣ってくる自信はあるよ。
まずはその前に今シーズンの後半戦。最後の最後まであきらめずに全力で臨みます。後半戦の巻き返し、期待していてください!
ロッド:シナジー CSYC-71H スーパーディトネーター
ライン:フロロカーボン 18lb
ルアー:ロングカーリーテール テキサスリグ
シンカー:E.G.タングステンバレットシンカー 10.5g
ロッド:ヘラクレス HCSS-611M パワーシェイカー611M
ライン:フロロカーボン 8lb
ルアー:7~8インチストレートワーム ワッキーリグ
ロッド:ヘラクレス HCSS-611M パワーシェイカー611M
ライン:PE1.5号+フロロカーボン 8lb
ルアー:7~8インチストレートワーム ワッキーリグ
ロッド:ヘラクレス HCSC-73M レパード
ライン:フロロカーボン 16lb
ルアー:ライトスイムベイト
■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster
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