清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第6戦
夏のディープ、対スモールマウスバス・ドロップショット戦略
2015年7月30日~8月2日、アメリカとカナダの国境でもある超巨大河川セントローレンスリバーで開催されたバスマスターエリートシリーズ第6戦。ディープのスモールマウスバスをターゲットに絞り込み、3試合連続で準決勝進出を決めた清水盛三が試合を振り返ります。
■ ディープのドロップショットで手応えを掴んだプラクティス
ここセントローレンスリバーは、2年前の夏にもエリート戦があったスモールマウスバスがメインのフィールド。五大湖から大西洋に流れる超巨大リバーで、今回のトーナメントエリアでも端から端まで全開で2時間は掛かる。
しかも、大小様々な島や水中島が無限にあるサウザンアイランドと呼ばれる地区があったりと釣りをできるエリアは無限で、とてもじゃないが何の当てもなく釣りをしても時間の無駄になってしまうのは目に見えていた。2年前の試合で24位に入賞していたし、幸いその時とほぼ同時期の開催なので、公式プラクティスではまず前回使ったエリアに入って様子を見て、そこを基準に前回との違いを見ながら組立てていこうと考えた。
そこで練習2日目は、思い切りエリアを変えてみようと1時間半掛けて車でボートを引っ張って別のスロープから出撃することに。午前中いっぱいオフショアをやってみたが、ポロッとは釣れるものの連発しないし、10mまでのレンジをチェックしても魚探に生命反応も映らない。これではロングドライブしてまで来る意味がないと、このエリアは切り捨てることにした。そこで、昼でボートを上げて、再び陸路で前日のスロープへ戻ることに。
魚はまだ完全にディープに落ち切っていない。練習最終日は、さらにレンジを浅くしてシャローをチェックすることにした。そして、いきなりDゾーンに喰ってきたんだけど、それっきりであとが続かなかった。
2日半の公式練習を終えて、明日からの本番はオフショアのドロップショットメインで行こうと決断。ただし、結局前回のエリアは全くダメで、今回の練習で見つけられたエリアは5箇所だけ。しかも、ほとんどが単発でしか釣れていないので、正直厳しいなという感じではあった。でも、来ればデカいという期待感もあった。
ただ、今年の状況から考えると、釣り方はドロップショットをメインに、レンジは前回よりも1m程浅めの5~6mを基準に釣ろうとは決めていた。あとは、1/4oz、3/8oz、1/2ozのドロップショットシンカーを使い分けて、微妙なレンジ&スピード調整や風等のフィールドコンディションに対応していった。
■ 4ポンドクラスを5本揃えて好スタート
試合初日、朝一から予定通り狙いのオフショアエリアへ。最初の30分はアタリもなく厳しい展開になりそうだったけど、いきなりスイッチが入り1時間で4本キャッチ。4インチワームのドロップショットリグをパワーシェイカー611Mで操り、2ポンドクラスを2本と3ポンドクラスを2本。若干サイズダウンしていることが気になったが、まずまず幸先の良いスタートを切ることができた。
ところが、その後2時間ほどその場所に費やしたけどアタリがピタッと止まってしまったので移動することに。と同時にサンダーストームが。僕の経験上、スモールマウスは晴れていた方が圧倒的に釣れるんだけど、予想通り、その後も全然釣れなくなってしまった。
あとはライブウェルの2ポンドを入れ替えれば、この日のノルマは達成。20ポンドも見えてきた。しかもこの時点で、残り2時間はあったし、完全に流れに乗ってきた感じだったので、あまりこのエリアに固執せず朝一に入ったエリアに入り直すことに。そして、すぐに4ポンドオーバーをキャッチ。すべて4インチワームのドロップショットにロッドはパワーシェイカー611M。
スモールの動きの早さに翻弄されてしまった2日目は、トータル12ポンド7オンスと平凡なウエイトに終わってしまった。ただ、前日の貯金があったので準決勝には進むことができた。
■ 3日間全てのバスをドロップショットでウェイイン
こうなると3日目は20ポンド以上釣らないと決勝には残れない。狙いは4ポンドオーバーを5本。釣り込むにつれてエリアも徐々に絞れてきてはいたが、自分が掛け続けたプレッシャーによって、ビッグフィッシュは口を使いづらくなっているはずなので、今まで以上にタイミングを合わせに行くことが重要になると考えて準決勝に臨んだ。
朝一は初日、2日目と同じ場所に入り、すぐに2本獲ったものの2ポンドクラス。サイズも小さかったし、あまりプレッシャーを掛け続けたくなかったので、深入りせず1時間で次のスポットへ移動。そこは初日の最後に見つけた場所なのでフレッシュな魚が期待できる場所。すると狙いが的中。まずは4ポンドをキャッチ。続けて2ポンド。
この悪い流れを断ち切るためにとった戦略は、先ほどの4ポンドを釣ったのと同様フレッシュなエリアを釣るというもの。そこで、あえて釣れていないエリアへの移動を決断。練習では良かったが試合では2日間とも釣れていないエリア。で、3日目となれば本来なら捨てるべきなのかもしれないが、釣れているエリアと比べると自分が掛けているプレッシャーは明らかに低い。
最後はやはり、この試合のキースポットで一番自信があった朝一のエリアに入ることに。でも、このスポットは自分で叩き倒しているし、さらに風も止んで無風状態ということもあったので、超タフな状況でのスモールマウス用にと念のためデッキに用意していたファクト65ULSTを手に取った。4インチワームの1/4ozドロップショットに、ラインは今までよりワンランク細い6lb。ビッグスモール相手に正直怖かったが……
なんと5ポンド9オンス、この日のビッグフィッシュ2位となるスーパーキッカーをキャッチ。走りまくられながらもなんとか獲ることができた。しかし、ファイトに時間を掛けてしまったこともあってか後が続かない。結局2本の2ポンドを入れ替えできずウェイイン。
この日のウエイトは17ポンド14オンス。最終結果は24位で終了。決して悪くはないウエイト&成績だが、5ポンドオーバーのスーパーキッカーも入り、さらに4ポンドを2本持っていて、決勝も見えかかっていただけに本当に悔しい結果となってしまった。
でも、ここ何年かはスモールマウス戦で安定した成績を残しているし、今回ウェイインした魚もすべてドロップショットで釣ったこともあってか、アメリカでは「モリゾー=ドロップショットマスター」みたいなことも言われるようになってきた。
これもパワースピンのおかげ。パワースピンをつくってからミスが減って安定感が出てきた。とにかく、しっかり掛けて確実に獲るということを一番に考えてつくったロッドだからね。
セントローレンスリバーのスモールはカレントが効いていて世界一引くスモールだと思うけど、全然ビクともしない。もちろんスモールマウスだけじゃなく、前回のケンタッキー戦のように、ビッグラージマウスにも対応できる。
また、このように、ミスが許されないトーナメントではもちろん、魚の数が少なくて、これからさらにどんどん難しくなっていくであろう日本のフィールドでも、確実に獲れるロッドを使うべき状況に来ていると思う。
リザーバーのディープフラットや自然湖のウィードエリアでドロップショット、ジグヘッド、ワッキー……あとは、遠投できる長さもあるし、無理が効く強さもあるからオカッパリ。いずれにせよ、1匹の価値を考えると、厳しい状況になればなるほどパワースピンという選択になる。
レイクハバス戦、ケンタッキーレイク戦に続き3試合連続で準決勝まで進んだし、ここ2試合で年間90位代から52位までジャンプアップし、前半出遅れた分をここにきてようやく取り戻しつつある。この調子を維持して残りあと2試合を上位でフィニッシュして、チャンピオンシップ、そしてクラシックの権利を取りたいね。
でも、まずは目の前の1試合1試合に集中すること。それだけを意識して一歩一歩確実に前進できれば良いかなと。期待していてください!
ロッド:ファクト HFAS-65ULST
ライン:フロロカーボン 6lb
ルアー:4インチワーム 1/4ozドロップショットリグ
■関連サイト:B.A.S.S. Bassmaster
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