清水盛三が語るバスマスターエリートシリーズ 第6戦 トップウォーター&テキサスリグでビッグウエイト、第7戦 超巨大リザーバーのスモールマウスバス
2018年6月21日~24日ウィスコンシン州ミシシッピーリバー戦、6月29日~7月2日サウスダコタ州レイクオアヒ戦と2週連続で開催されたバスマスターエリートシリーズ。
グラスフラットをトップウォーター&テキサスリグで攻略、ビッグウエイトを叩き出し準決勝進出を果たしたミシシッピーリバー戦。
初日まずまずのスタートを切り2戦連続での準決勝進出へ望みをつないで臨んだ2日目、まさかのトラブルに泣いたレイクオアヒ戦。対照的な結果となったアーリーサマー2連戦を清水盛三が振り返ります。
[第6戦 ミシシッピーリバー]
シャワーブローズとシャワーブローズソフトシェルを使い分け……
全米を縦断する大河ミシシッピーリバー。今回試合が行われたのはその上流部。トーナメントエリア内にはダム&ロック(水門)が2つあって、ロックスルーには時間が掛かるため、広大なエリアの中からどのプールを釣るのか適切な判断が求められるこの試合。
スタート地点がある真ん中のプールは、移動時間の問題だけでなく毎回優勝者が出ていることもあって、多くの選手が注目することからバッティングの心配もある。バッティングを避けて、上に走るのか下に走るのか……
前回このフィールドで行われた試合では、真ん中と上のプールで良いエリアを見つけ準決勝に進んでいたため、公式プラクティス初日は、まずそのエリアをチェックに行って、それを起点にフィールドコンディションの把握をしていくことにした。
練習2日目も厳しい状況が続きまったく手掛かりがつかめない。そんなときには走り回っても時間ばかりが過ぎていくだけ。なので、1つのプールに絞ってじっくり探していこうと考えた。そこで、やはり近場で、さらに毎回優勝者が出ている真ん中のプールに絞ることにした。バッティングの心配はあるがポテンシャルもある。
そして、じっくりと探していくことで2箇所良いエリアを見つけることができた。
1箇所は水深約1mで、グラスが水面直下まで、ところによっては水面まで生えてマット状になっている広大なフラットエリア。グラスの濃さ、高さに応じてシャワーブローズとシャワーブローズソフトシェルを使い分けながら、3ポンドを超えるグッドサイズを頭に数本釣ることができた。
もう1箇所はスタート地点に程近いシャローバンク。この練習中はずっと雨で増水傾向にあったため、レイダウン、ブッシュ、立木、グラスなどが絡むこのエリアに魚が上がってきている感触があった。
1箇所目のグラスフラットまで走るのに30分ほど掛かるが、場所的にもその前の朝一に立ち寄るスポットとして良いと考えて練習を終えた。
4本はテキサスリグだったが、1本はシナジー・スーパートライアンフ&シャワーブローズソフトシェルで獲った。
そこから本命のグラスフラットに移動。しかし、練習中には結構選手が浮いていてバッティングを心配したエリアだったが、この日は誰もいない。
一瞬「外しているのか?」と不安が頭をよぎったが、そんなことを考えてもしかたがないので自分の釣りに集中。広大なフラットでシャワーブローズをシナジー・マルチローラーで大遠投して広く探っていく。
雨の中、ロングキャスト&ドッグウォークをひたすら繰り返し、広大なフラットから魚を呼び寄せ、ポツポツと引き出していった。
周りに誰もいない中、ひとり黙々と釣り続けていると……別の選手がこのエリアに入ってきた。
そして、徐々にこちらに近づいてきたため、このエリアのキースポットがばれないようにパワーポールを上げて動きながら周りを釣っていく。
79位ではあったが団子状態のなかに食い込んでいたため、順位はあまり気にならない状況で初日を終えた。
キャスティングテキサスリグでシャローフラットを攻略
2日目は一転して晴れ。しかし初日にかなりの雨が降ったからなのか、さらに水位が上がっている。朝一は初日と同じ場所に入ったのだが、何も釣れない。増水で魚がさらに奥に入ってしまったのか……結局1時間でこのエリアを見切り、本命のグラスフラットに走ることにした。
すると、初日の途中から入ってきた選手がこの日は朝からこのエリアに浮いていた。そこで自分のキーエリアにだけは入られないよう、ボートポジションやキャストの角度等に気を使い、牽制&ブロックしながらの釣りを展開していく。
「いける!」と思ったのも束の間、この日は晴れで風もほとんどない状況だったためか、日が昇ってからはバイトがなくなってしまった。しかし、それ以外にも前日と変わったことがあった。増水の影響でグラスのトップが少しだけ深くなっていたのだ。
それらの状況変化が魚の動きに影響を与えている。晴天無風、さらにグラストップと水面までのわずかなギャップによって魚は水面まで出たがらない。そこで瞬時に思い浮かんだ次の手がカーリーテールのキャスティングテキサスリグ。
そして……答えはすぐに出た。
そして3日目準決勝。2日間朝一に釣ったエリアには立ち寄らずに本命のグラスフラットエリアに直行。幸先よくローライトのうちにシャワーブローズで2本キャッチした。
準決勝に進出できたということよりも、久しぶりに自分のゲームができたという納得感がある試合だった。今までずっと言い続けてきた、ひらめいたことをすぐに実行してそれが結果につながるという、頭と体が一体となる感覚がやっと戻ってきた感じだった。
[第7戦 レイクオアヒ]
対スモールマウスバス、スピナーベイトDゾーンで絶好調のプリプラクティス
このまま波に乗り切れるのか、2週続けての試合となったレイクオアヒ戦。このレイクでBASSのトーナメントが開催されるのは初めて、僕にとってももちろん初めての未知のレイクだった。なので、5月末にプリプラクティスを行なっていた。
そこでまず感じたのは、レイクオアヒの巨大さだった。今までの釣り人生で経験したどのリザーバーとも比較して最も長い(約370km)、超ウルトラ巨大なリザーバー。
プリプラクティスは時期的にプリスポーンだったが、Dゾーン1/2ozで連日20ポンドを超えるウエイトを釣っていた。
当然、試合の時期になれば状況は変わっているが、スポーニングに絡む魚を目で確認することもできたので、魚の多いエリアをザクッとつかみプリプラクティスを終えた。
2日目は違うエリアを見ようと上流に行ったが全然ダメ。そこで、公式練習最終日は、下流のビッグフィッシュが釣れた周辺で魚探をかけまくり、水深3~4mに無限にあるハンプや水中岬のなかから数箇所に絞り込んで初日を迎えた。
試合初日、前日に絞り込んだエリアに朝一に入る。そして、そのエリアでスイムベイトとドロップショットで連発。すぐにリミットを揃えて好スタートを切った。
ただ、初日なので、他のエリアのポテンシャルも見ておこうと1箇所で深追いせずに移動することに。
しかし、全体の状況把握をすることで、2日目は朝一の場所をしっかり釣り込もうと他のエリアへの迷いを消すことができた。さらに、全体的に釣れていなかったこともあって、2日目も同じ10ポンドを持って帰ることができれば準決勝に進めるかなという、決して悪くない位置につけることができた。
強風でディレイスタート、そしてエンジントラブル……
迎えた2日目。朝一は予定通り初日と同じ場所に向かった。ところが……
「今更引き返すこともできない、行けるところまで行こう」とそのままスロースピードで走り続ける。結局狙いのエリアに到着する直前にエンジンがパワーダウン。その後なんとかたどり着いたものの、エンジンのことが気になって釣りに集中できない。
オフィシャル艇がそばを通りかかり、とりあえず近くのスロープまでは引っ張ってもらえることになった。そして、メカニックもそのスロープに来てもらえることに。
しかし、実はこの日、強風によるディレイで1時間半遅れのスタートだった。でも終了時間は変わらない。ただでさえ時間が短縮されたなかでの試合だったのに、このトラブルでスロープに戻った時点ですでに11時。
こうなればジタバタしてもしかたがないので、その間はスロープの周辺で釣りをして待つことに。少しの時間も無駄にできない。そして、キーパーギリギリではあるが2本キャッチ。
急いでメインのエリアまで走り釣りを再開したが……頭ではわかっていても、焦りからくる体の反応でドロップショットをゆっくり操作することができない。
でも、これがトーナメント。起きてしまったことはしかたがない。まわりのサポートもあり無事に帰れただけでもありがたいことだと思う。今は、こんな試練を受けることで人間的にも強くなれるはずと前向きに考えて、次に向かおうという気持ちでいる。
バスマスターエリートシリーズ第8戦は7月26日~29日にメリーランド州チェサピークベイで開催。清水盛三のアメリカツアー挑戦は続く……
https://www.bassmaster.com/tournaments/2018-bassmaster-elite-chesapeake-bay
タックルデータ
■第6戦タックルデータ
[ロッド]シナジー CSYC-71H スーパーディトネーター
[ライン]フロロカーボン 20lb
[ルアー]クリ―チャーベイト 1/4ozテキサスリグ
[シンカー]E.G.タングステンバレットシンカー 7g
[ロッド]シナジー CSYC-70M+ マルチローラー
[ライン]PE 40lb
[ルアー]シャワーブローズ
[ロッド]シナジー CSYC-73MH スーパートライアンフ
[ライン]PE 60lb
[ルアー]シャワーブローズソフトシェル
[ロッド]シナジー CSYC-73MH スーパートライアンフ
[ライン]フロロカーボン 18lb
[ルアー]8インチカーリーテールワーム 1/4ozテキサスリグ
[シンカー]E.G.タングステンバレットシンカー 7g
[ロッド]ヘラクレス HCSC-611MHG サーバル
[ライン]フロロカーボン 12lb
[ルアー]スイムベイト
[ロッド]ヘラクレス HCSS-611M パワーシェイカー611M
[ライン]PE 16lb
[リーダー]フロロカーボン 7lb
[ルアー]ストレートワーム 1/4ozドロップショットリグ
[ロッド]ファクト HFAS-65ULST
[ライン]PE 16lb
[リーダー]フロロカーボン 7lb
[ルアー]ストレートワーム 3/8ozドロップショットリグ
■清水盛三メディア
・公式サイト:No Limit Morizo World
・公式ブログ:I HAVE NO LIMIT
・公式Facebook:清水盛三Official Facebookページ
・公式Instagram:清水盛三Official Instagramページ
■関連サイト
・B.A.S.S. Bassmaster
関連記事
-
- 清水盛三が語るバスマスターエリートシリーズ第4戦 テキサスリグのカバー撃ちでビッグフィッシュ
- 2018年5月17日~20日にテキサス州レイクトラビスで開催されたバスマスターエリート第4戦。 トップウォーターとテキサスリグのカバー撃ちで勝負、ビッグフィッシ ...
-
- 清水盛三が語るバスマスターエリートシリーズ第7戦&第8戦 ドロップショット&フリッピングで挑んだ対夏のスモールマウス&ラージマウス
- 2017年7月20~23日ニューヨーク州セントローレンスリバー戦、7月27~30日ニューヨーク州レイクシャンプレイン戦と2週連続で開催されたバスマスターエリート ...
-
- 清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第6戦
夏のディープ、対スモールマウスバス・ドロップショット戦略 - 2015年7月30日~8月2日、アメリカとカナダの国境でもある超巨大河川セントローレンスリバーで開催されたバスマスターエリートシリーズ第6戦。ディープのスモール ...
- 清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第6戦
-
- 清水盛三が語る 2017バスマスターエリート最終戦 超巨大フィールドで見せたビッグスモールマウス攻略法
- 2017年8月24~27日にかけてミシガン州レイクセントクレアで開催されたバスマスターエリート第9戦、今期レギュラーシリーズ最終戦。過去、エリートシリーズの同レ ...
-
- 清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第2戦
シナジー&テキサスリグで一歩前進 - 清水盛三にとって思い出深いフィールド、アラバマ州レイク・ガンターズビル。2015年4月9日~12日に開催されたバスマスターエリートシリーズ第2戦はプリスポーン、 ...
- 清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第2戦