2022.05.06 (金)

清水盛三が語る 春の紀ノ川 プリスポーンを仕留めるモリゾー流スピナーベイト術

先日動画がアップされたThe Hit春の紀ノ川ロケ。微妙な季節の進行具合に苦戦を強いられる中、グッドコンディションのプリスポーンバスを獲ったのは、またしても清水盛三の自信Dゾーン。果たして今回の使い方は……!?

状況変化に対応して、見事にチャンスをものにした盛三が、何を考えながら春の紀ノ川に挑んだのか。動画をより深く理解するための参考に、ぜひご覧ください。

今回解説するのは、春の川バス、プリスポーン攻略について。4月上旬、The Hit(サンテレビ)ロケでもお馴染の和歌山県のメジャーリバー、紀ノ川に行ってきた。

この時期、ビッグフィッシュを狙う上で、バスがどこでスポーニングするのかを知ることが重要なのは言うまでもない。紀ノ川の場合、初期段階のスポーニングエリアとなるのは、浅くてプロテクトされ水温が上がりやすいワンド。

もう少し季節が進み水温が高くなってくると、メインリバーでもスポーニングするバスもいるけど、ロケの日は、まだスポーニングというには少し早いかなというタイミングだった。


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わずかな水深差やルアーレンジの差が、大きな違いに……

当日の天気は曇り。春の三寒四温の「寒」の入口にあたる日で、朝はまだ風もなく暖かかったが、昼から前線が通過する予報だった。大潮ということもあって、シャローに上がりたがっている魚はいるはず。

しかし、スポーニングエリアの定番、ワンドの中は水深が浅く、冷え込みの影響をモロに受けることが多い。実際、メインリバーの水温が14.5度だったのに対して、ワンドの中は14.1度。この時期は通常、水温が上がる午後が本命だが、前線が通過するこの日は、シャローは朝が勝負と考えていた。

朝一に入ったワンドの水深は、マックスで80センチ程度。ワンド全体に濁りが入っている。

そこで、まずはDゾーン1/2ozダブルインディアナからスタートし、岸ギリギリの表層付近を撃っていく。浅い、濁り、岸際とくれば、シャローを強振動で釣れるダブルインディアナ。

(前回の記事の『ダブルインディアナが釣れる理由』もぜひ見てくださいね)

そして、カラーはパンフィッシュ。ブレード表面はシルバー、裏面がイエローに塗装され、フラッシングとイエローの明滅が効いたハイアピールブレードに、レッド、オレンジ、イエローが複雑に組み合わされたラバーのアピール系カラー。

しかし、岸際は水深が浅すぎるのか、生命感がない。そこで、ワイルドハンチSRにチェンジ。狙う場所を岸から少し離して、レンジも少し下げてみる。

全体的に浅いワンドなので、潜行レンジ0.5~1mのワイルドハンチSRがボトムに程良くコンタクトする。もともと水深変化が少ない地形のワンドや沼では、ほんの少しの水深差やルアーレンジの差も大きな違いになる、はずなのだが……

途中でカバーにテキサスリグを撃ち込んでみたものの、無反応だったので、再びワイルドハンチSRで探っていく。

その数投目、リールを巻く手に重みが加わりロッドティップが絞り込まれる。重々しいビッグフィッシュの引きが手元に伝わってくるが、なんと、ドラグが滑りリールが巻けない。プロアングラーとして、あってはならないことだが、なぜかドラグが緩んでいて、結果痛恨のバラシ。あり得ないミスに唖然……

「でも狙いは合っている」「ワンドの中に入っているプリスポーンのビッグフィッシュがいる」と気持ちを入れ替えて、その後、ワンドを3つ釣ってみるがノーバイト。

水が引くと岸際が干上がってしまうほど浅い上に、地形変化に乏しい紀ノ川のワンド。ワンド内のバスの絶対数が少ない。ワンドの中にチャンネルが入っていれば、チャンネル伝いにバスが供給されるのだが。

そこで一旦ワンドをあきらめ、季節を戻して、最下流の橋脚を釣ってみた。しかし、相変わらずの無風状態に苦戦が続く。カレントも全くない。河川の釣りにおいて、無風時は特に、凄くシビアにカレントの有無に影響を受けるのは言うまでもない。

しかし、ここ紀ノ川をはじめ、日本の河川でありがちなのが、下流域の水門や河口堰の開閉が人為的かつ不定期で、カレントの影響で喰いが立つタイミングを計るのが難しいという現実。なので、あとは昼からの前線通過に伴う風を期待するしかない……


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風が吹いたタイミングを逃さず、確信のポイントへと移動

そうこうしているうちに、正午をまわり、ついに風が吹き出した。とはいえ、「寒」の始まりを告げる冷たい風だ。

暖かい風なら、水温の上がりやすいワンドの中をまず狙うのがセオリーだが、この冷たい風ならワンドじゃない。狙うはひとつ手前。スポーニングエリアに入る前に、バスが一旦待機する場所。紀ノ川への釣行回数はそんなに多くないながらも、そんな場所に心当たりがあった。

中洲でプロテクトされたシャローエリアだ。メインリバーから枝分かれした流れが再びメインリバーとつながる、浅いクリーク状のその場所。岸際にはアシやブッシュもある。そして何より、そのクリークにはチャンネルが入っていて水深の変化がある。

だがそこは、地元のアングラー達の間では、そんなに釣れないと言われている場所だった。僕自身も秋のバーニング帝国(釣りビジョン)のロケで、そんなにデカくないバスをポロポロ釣ったことがある程度で、それ以外は1回も釣れたことがなかった。それでも「ここは春になれば、絶対ビッグフィッシュが上がってくる」という確信があった。

その場所に移動してみると、良い感じで風が中洲に当たっている。季節、天候……ついに条件が合致した。

まずはクリークの入口から、ワイルドハンチSRで釣り始める。午前中に釣っていたワンドとは違い、水深1.5m程度のチャンネルが岸に寄っている。倒れ込んだアシにはIRジグ5/16ozを撃ちながら、クリークの中へと少しずつ入って行く。そして……

「たぶん釣れると思うよ」

あとからVTRを見返してみると、スピナーベイトに持ち替えた1投目、キャストした直後に無意識に呟いていた。

ルアーはDゾーン1/2oz。しかし、ここではダブルインディアナではなく、タンデムウィローをセレクト。カラーはアユ・シルバーブレード。岸と平行にルアーをキャストし、着水後、一瞬待って少し沈めてからスローにリトリーブする。そしてついに……

バスがDゾーンを吸い込む感触を捉え一気にフッキング。そこからは慎重にファイトして、最後は抱きかかえるようにランディング。狙い通りに仕留めた魚は、プリスポーンのビッグバスだった。


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春のプリスポーンを攻略するスピナーベイト・スローローリング

この時釣っていたのは、チャンネルが形成するブレイクの落ち際。チャンネルが寄っているとはいえ、岸ベッタリではない。狙ったレンジは1.3~1.4mと今までより少し深め。

動画ではわかりにくいかもしれないけど、キャスト後Dゾーンを一旦ボトムまで着けてから巻き始めている。

風が吹いていたので、朝に魚を掛けているワイルドハンチSRでイケるかなと思ったけど、そのレンジでは反応がなかったし、岸際のIRジグにも反応がなかったからね。その上、その風は冷たい風だったこともあって、Dゾーンでボトムギリギリをスローに引いてみようと考えたんだ。

沈めたいから、ここはダブルインディアナじゃない。ゆっくり巻きたいからダブルウィローでもない。だから今回は、その両方の特徴をバランス良く持ったタンデムウィローを選んだ。

また同時に、このエリアの水の色がクリア気味だったから、メチャクチャ強い振動は必要なかったけど、少しは水を動かしてバスにやる気を起こさせたかったし、さらにはフラッシングでもバスの気を引きたかったので、インディアナブレード&ウィローリーフブレードのタンデムウィローがベストだと考えた。

釣りは自然が相手。刻々と変わるその日その時の状況にベストな対応をしようと思ったら、一口にスピナーベイトと言っても、いろいろなブレードタイプを用意しておきたいよね。

DゾーンはDI(ダブルインディアナ)、DW(ダブルウィロー)、TW(タンデムウィロー)の3つのブレードタイプで全方位をカバーしてくれるので、僕の釣りにはおいては盤石な体制が取れていると思う。

そしてカラー。今回釣ったアユS(シルバーブレード)というカラーは、紀ノ川スペシャルと呼んで良いほどの紀ノ川で実績が高いカラーなんだ。でも、紀ノ川に限らず他の川でも良く釣れるカラーだよね。

基本的に日本の河川でメチャメチャ濁っているところは少ないので、このアユSというナチュラルなカラーは、季節を問わず安定して結果を出してくれる。本当に頼りになるカラーだね。

この1本を釣った後、ボートが流されたので、再度ボートポジションを取り直して同じくDゾーンで流し直す。そして、すぐにもう1本追加。今度はアベレージサイズだったけど、連発。今までの沈黙から一転し、バスだけでなく撮影スタッフの活性も上がる。おそるべし風の威力。

しかしその後、風がだんだん弱くなってきて、超かわいいバスを1本追加してすぐに、無風状態に逆戻り。同時にバスからの反応も、ぱったりと途絶えてしまった。

さらに夕方には一転。前線通過の影響が本格化、今度は強風&冷たい雨となり、撮影できるギリギリの時間までロッドを振り続けたが、残念ながらバスを追加することはできなかった。

とはいえ、厳しい中でも良いゲームができたかなと思う。本当にワンチャンスだったけど、そのチャンスをものにできたのも、投げ続けていたからこそ。

風が吹いた一瞬のタイミングを逃さず、そのタイミングでベストな場所に入ることができたのも大きい。

しかも、それまであまり良い思いをしたことがなかった場所にね。過去に捉われずに、その日その時を感じて動いたことで、プリスポーンのビッグフィッシュに辿り着いた。

この記事がアップされる頃には、季節も進んで、シャローに上がってくるバスの数も増えているはずなので、ぜひパワーフィッシングで春のビッグバスシーズンを楽しんでもらえればうれしいですね!

さらにさらに、次のThe Hit高山ダムロケ(5/11オンエア)では、パワーフィッシングで春爆炸裂。メチャクチャやばいことになっているので、そちらも絶対に見てくださいね!

2022年4月13日放送【The Hit】得意のパターンで春を先取りデッカプリスポーン
※動画は期間限定公開です。一定期間経過すると配信終了となります。
■タックルデータ
[ロッド]ヘラクレス HCSC-68MG オセロット
[リール]ジリオンSV TW 5.5:1
[ライン]ナイロン 15lb
[ルアー]ワイルドハンチSR #64ファイアークロー

[ロッド]シナジー CSYC-70M+ マルチローラー
[リール]ジリオンSV TW 6.3:1
[ライン]フロロカーボン 14lb
[ルアー]Dゾーン 1/2oz タンデムウィロー #42アユS

■関連サイト:サンテレビ The HIT

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