2014.09.08 (月)

清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第8戦 
夏のウィードフラットはキャスティング・テキサスリグで勝負

2014年8月21~24日にニューヨーク州カユーガレイクで開催されたバスマスターエリートシリーズ第8戦。清水盛三にとって、年間ランキング50位までに与えられる2014年シーズン最終戦への出場権を掛けた大事な1戦となったこの試合。琵琶湖を彷彿させる夏のナチュラルレイクに挑んだその戦いを振り返ります。

前回のデラウェアリバーに続き、このカユーガレイクもバスマスターエリートが初めて開催されるフィールド。僕にとっては修羅場パート2と言える、2戦連続の初めての湖だった。

でも、釣っていて思ったけど本当に琵琶湖にそっくり。カユーガレイクは北側にアウトレットと沖まで一面グラスが生える広いフラットがあって、まさに南湖。南側は岸際にグラスがあってアウトサイドのエッジから水深が深くなって、沖には100mを超えるスーパーディープもあってとこっちは北湖。南北が逆だけど、ホンマに琵琶湖で釣りをしている感じだった。あと、全体的に水質はクリアで、ショアラインには無数のボートドックがあった。

で、2日半の公式練習の結果、北側のエリアに絞り込んだ。そして、グラスフラットの沖の釣り、まさに琵琶湖の釣りと言えるけど、その釣りでリミットを揃えて、ボートドックで入れ替えを狙うという2つのパターンをメインに試合に臨んだ。

あとは、練習では釣れなかったのでメインにはできなかったけど、目で見えるグラスをパンチングしていく釣りはデカいのが獲れる釣りだと考えていた。いずれにしても1日15ポンドを持って帰れば上位にいけるかなと思っていた。


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■DAY-1 カバーを撃ち抜く攻撃的スピニングでウエイトアップ

そして、予定通り初日の朝一は公式練習で目星をつけていた沖のグラスエリアに入った。水深は4~5mほどでいろいろな種類のグラスが生えているところ。そこでディープクランクから投げ初めて30分ほどでリミットメイク。まあ、それでもウエイトは9ポンドくらいしかなく、これでは全然ダメなのはわかっていたけど、まわりにいた数艇も全然釣れている様子はなく、とりあえずは気持ち的に安心できた。

その後、ディープクランクでアタリが止まったので、キャスティング・テキサスリグにチェンジ。ロングカーリーテールのリフト&フォールで流していって1本入れ替えた。ディープクランクといいテキサスといい、琵琶湖で学びアメリカで進化したテクニックでしっかり結果を出すことができた。そこから他の目星をつけていたエリアをまわるものの入れ替えの魚は釣れず……でも、この時点でまだ9時半。

そこで予定通りボートドックに入れ替えを狙いに行った。釣り方はロングワームの1/16ozジグヘッドリグをパワースピン・パワーシェイカー68で桟橋の下にスキッピングでねじ込んでいくというもの。

この釣り方は練習のときに見つけていたんやけど、練習でボートドックに入ったとき、桟橋の下に結構魚を見ることができた。でも手ごわくて、最初は全然釣れなかった。いろいろ試したけど……例えばラバージグだと口を使わず、4インチクラスの小さなワームを投げると逃げるみたいな。

でも、「絶対何か反応するものがあるはず」と考えて、逆の発想でワームを大きくしてみた。軽いジグヘッドに7インチストレートロングワームをセットして桟橋の下にスキッピングで入れた瞬間、今まで喰わなかったヤツが「バコーン!」と思い切り喰ってきた。

「えっ、もしかしてこれ?」って感じやったけど、その後2本目、3本目がすぐに同じ釣り方で釣れて「もうこれで間違いない!」と確信。あとは釣らずに目で見て魚を探していった。もちろん近づくと逃げるんで、できるだけ遠くから見つけて、軽量リグをスピニングタックルで遠くからトラブルなく送り込む必要があったのは言うまでもない。

そんな感じで試合でもボートドックを何箇所かまわり、ポツポツ釣って少しずつ入れ替えていった。そしてついに、何箇所目かのドックで4ポンドオーバーをキャッチ。これで推定ウエイトが13ポンドを超えた。「15ポンドまであと少し、もう1本」と、練習で見ていなかったドックも含めてその日その時に良さそうなところを撃ち続けていった。

今シーズンはホンマにスピニングの出番が多いけど、今回はPEラインでカバーを遠くから正確に撃ち抜く攻撃的なスタイルのスピニング。で、手返し良くストレスなく撃ち込んでいくために68のパワーシェイカーを使った。

その結果初日は14ポンド10オンス。ほぼ狙い通りのウエイトが出せたので「結構上位にいけた」と思っていたのに、この日20ポンドオーバーが7人もいて……初日は37位からのスタート。自分の予想を遥かに上回る結果を出してきた怪物達。でもギリギリ何とかついていける位置に留まった。


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■DAY-2 琵琶湖で学びアメリカで進化したテクニックで準決勝進出

試合2日目。朝は初日と同じエリアからスタート。そして同じくディープクランクから入ったけど、この日は初日と違い風がなかったからか全然ダメ。でも「魚はいるはず」とキャスティング・テキサスリグにチェンジ。そして2本キャッチ。ここまでは狙いどおりだったんやけど、その後アタリが続かず移動。

そこは前日小さいのが1匹釣れただけで全然ダメだった場所。実は練習のときも、沖の釣りでは3ポンドを超える魚は釣れなかった。でも、ポロポロと釣れたところをマークしておいて、そのなかから5か所ほど目星をつけていた。グラスの釣りはピンスポットの釣りじゃないんで、そのまわりを広く流していけばデカいヤツのスクーリングに当たることもあるしね。

実際このときも、前日小さいのが釣れた場所を起点に、もっと流していったところでいきなり炸裂。キャスティング・テキサスリグで30分でリミットメイク。そして、練習では釣れなかった3ポンドオーバーも入り、トータル約12ポンドまで上げることができた。

ただ、小さい方の魚を少しでも入れ替えないと話しにならないので、ここでボートドック狙いに走ることにした。そして狙いどおり、少しずつウエイトアップ。前日のようにデカいのは入らなかったけど、ポロポロと釣って13ポンドちょいまで上げることができた。でも、初日の結果から考えるとまだ全然足りない。

ドックの桟橋は散々撃ち倒してこんな感じだったので、最後の1時間を、3ポンドを獲った沖のグラスエリアで勝負することを決断した。そして……

キャスティング・テキサスリグのリフト&フォールでまたしても3ポンドオーバー。このときも思ったけど、全く琵琶湖と同じ感じで釣ることができた。カーリーテールを持ち上げて、スーッと落としていく感じがまさにそうで、感覚的で言葉ではうまく説明できないけど、「このスピードでこの落ち方が喰う」というのが僕のなかにあって、その通りやればガツンとくるって感じやったね。

で、その落ち方の僕のイメージを再現するためにシンカーは7g、8.8g、10.5gの3種類の重さをいろいろ試しながら、風の向きや流れに合わせて流す角度を変えたりとフォールの姿勢やスピードを細かく調整しながら釣っていた。デラウェアリバー戦のときもそうだったけど、テキサスリグはほんの少しのウエイト差で大きく結果が変わってくる。

この日のウエイトは14ポンド11オンスで39位。なんとか準決勝に進むことができたけど、ホンマにヤバかった。最後の入れ替えがなければ準決勝に行けず、これでシーズンが終わっていたかもしれない。ラスト1時間でボートドックを見切って沖のグラスエリアに勝負に動くという判断も正解だったし、琵琶湖で学んでアメリカで進化したキャスティング・テキサスリグの存在も大きかったよ。


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■DAY-3 キャスティング・テキサスリグにすべてを賭けて勝負

そして準決勝。朝一のエリアは2日目に3ポンドを2本獲った場所。この日は朝から強風だったんで、ディープクランクがハマると思ったんやけど全然ダメだった。で、キャスティング・テキサスリグに変えるといきなり4ポンドがきた。そのすぐあとにも3ポンドがきて。この日も「テキサスで炸裂する、しかもサイズもいい」と思ったけどその後全然釣れなくなってしまった。

そこで他の沖のエリアを何箇所かまわったものの、1ポンドちょいを2本、ポツ、ポツと釣っただけ。「これはホンマにヤバい」と思ってボートドックを撃ちに行ったけど、強風で無茶苦茶荒れていてドックまでうねりが入っていた。ドックの魚に対してアプローチの精度が要求されるし、しっかり見せて喰わせないといけないのに、これでは全然釣れる気がしない。

すぐにこの場所を見切り風裏のドックを探そうと走ったけど、カユーガレイクは南北に真っ直ぐな湖なんで風裏のドックがなくて……もう沖のエリアに戻り、勝負するしかないと腹をくくった。

そして、キャスティング・テキサスリグで1本獲り、やっとリミットメイク。その時点でもう12時近かった。でもそのすぐ後に2ポンド半を獲って入れ替え。「まだまだいける」と集中力MAXで釣りをして最後の最後に3ポンドオーバーが2本きて、さらなる入れ替えに成功。

この日のウェイインしたバスはすべて、キャスティング・テキサスリグで獲って15ポンド5オンス。最終30位でフィニッシュ。年間ランキングを23位まで上げて、年間ランキング上位50名で争われる2014年最終戦・AOYチャンピオンシップへの出場権を獲得することができた。

結局、優勝はじめ上位陣はパンチングの釣りだった。実際僕も練習でこの釣りを試していたのに……でも練習は2日半しかないので、そればっかりやっているわけにもいかない。もし見つけられればビッグウエイトを出せたとしても、見つけられなかったときのリスクを考えて1つの釣り方に固執せずにいろいろと違う釣りも試したので、パンチングでは見つけられなかった。とはいえ、気にはなっていたので試合でも所々で試してみたけど、やっぱりコンフィデンスがないからダメだった。

でも、年間ランキングを少しでも上げていって最終戦への出場権を確保しないと、この第8戦で2014年のシーズンが終わってしまっていたし、そうなったらクラシックにも出られない。そういう意味では、今回の戦略は最善だったかなと思う。もちろん悔しいという気持ちはあるけど、今回はそれ以上に良くやったという気持ちが大きい。前回に続き、なんとか修羅場とも言える初めてのフィールドをクリアして、次の戦いに進めるぞと。

みなさん本当に応援ありがとうございました。今年のエリートシリーズも残すところあと1戦。全力で挑んできます!


■タックルデータ
ロッド:ヘラクレス HCSC-73MHG レパード
ライン:フロロカーボン 12lb
ルアー:ディープクランクベイト

ロッド:タクティクス TCSC-70X ディトネーター
ライン:フロロカーボン 16lb
ルアー:7インチカーリーテールワーム 7~10.5gテキサスリグ
シンカー:E.G.タングステンバレットシンカー 7g、8.8g、10.5g

ロッド:ヘラクレス HCSS-68ML パワーシェイカー68
ライン:PE 24lb + フロロカーボン 10lb
ルアー:7インチストレートワーム 1/16ozジグヘッドリグ

清水盛三オフィシャルサイト「NEVER GIVE UP」
http://www.morizoshimizu.jp/
清水盛三オフィシャルブログ“I HAVE NO LIMIT”
http://ameblo.jp/king-morizo/

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