清水盛三が語る バスマスターエリートシリーズ第5戦
パワースピニングで超タフコンディションに挑む
2014年5月15~18日にアーカンソー州レイク・ダーダネルで行われたバスマスターエリートシリーズ第5戦。
ポストスポーニングのタフバスに挑む清水盛三をさらに苦しめる大雨による急激な水温低下と水質悪化、そして想像を絶するフィッシングプレッシャー。この超悪条件の試合で清水がとった戦略とは。
■ シャローカバーに付くポストスポーニングのバスがターゲット
レイク・ダーダネルはアーカンソーリバーという川を堰き止めたリザーバーなんだけど、日本のみんなにはリザーバーというよりは川をイメージしてもらった方がいいね。
とは言え、メインリバーの他に大きなクリークやコーブ、さらには小さな湖なんかもつながっていて、そこにスタンプ、スタンディングティンバー、レイダウン、ブッシュなんかのウッドカバーや岸際には芝生のような感じの草や藻などの様々なグラス系カバー、さらにはリップラップや橋桁なんかの人工物がある。地形的にも障害物という面からも、かなり複雑なフィールドやね。
で、こういう岸側にカバーが多い川系のフィールドでは、スポーニングが終わってすぐに沖に出るより、シャローに残って回復しようとしている魚が多いんで、ディープは捨ててシャローに狙いを絞った。
前にもちょっと言ったけど、第2戦目のフロリダ戦が終わった後、3月末にプリプラクティスでここダーダネルに来ていた。その頃はまだプリスポーンの時期だったけど魚は釣っていたので、公式練習では、そこを起点にしてスポーンからポストスポーンへの動きを考えてエリアをさらに絞り込んだ。
ただ、公式練習でわかったのは、魚がいるところはかなり限られているということ。だから魚が多いエリアには選手も多く集まることが予想できた。
そこで、人がたまりそうじゃないエリアを探して、1箇所、スタート地点からかなり離れた上流のクリークの中に凄い場所を見つけていた。軽くひと流ししただけでフロッグで5本くらい釣れて……かなり奥まった場所で、しかも誰一人見かけなかったんでかなり手応え有りと思っていた。
■ コールドフロント&サンダーストームで本命エリアが不発
で、迎えた試合初日。前日までは暖かかったのにいきなり気温は一桁台と日本では考えられない劇的な変化で、防寒を着ないとやってられないほどの強烈な寒さのなかでスタートとなった。
それと、前日に強烈なサンダーストームが来ていたのでその影響がどの程度あるのかを意識しながら、初日は、絞り込んだなかでもある程度いろいろなエリアを見ていく作戦をとることに。
でもサイズはイマイチだったので、エリアを変えて釣り方を戻した。で、そこから上流に上がりながら狙いのエリアを何箇所かまわってレイダウンや草を撃っていったんだけど、上流に行けば行くほど水温が下がってきて全然ダメ。
そして、本命と考えていた例のクリークへと入った。
で、魚探を確認すると、なんと水温が16℃しかない。前日は27℃あったのに。水深1m以下の場所だったので、いくらなんでも1日で10℃以上も下がったらきつい。しかも、これはヤバイという水の色でまったく生命感もない。とりあえずひと流しはしてみたものの、何の反応もなかった。
なので、あわててクリークを出て再び下流方向へ向かった。そして、ワイルドハンチSRとコンバットクランク60をローテーションしてパラパラと釣れるんだけどノンキーパーばかり。フリップで1本キーパーを掛けたんだけどバラシてしまって……気付けばもう1時だった。
ホンマにヤバイと思って、朝に釣っていたエリアに戻った。
でもそこは、この試合で一番メジャーな場所で多くの選手が集まっていた。そのなかに入ってクランクを引いたんだけど何も釣れない。人も多いし、しかも、やるところはみんな一緒だし……この超ハイプレッシャー状態をなんとかしようと、ここでまたスピニングに持ち替えた。
そして、ついに4ポンドフィッシュをキャッチ。次のキャストでも3ポンド。5分後にはナイスキーパー。その後1時間でリミットメイク。そこからさらに2本追加して入れ替えた。すべてシェイキーヘッド(1/8ozジグヘッド+7インチストレートワーム)だったね。
狙っていたのはシャローのリップラップ、レイダウン、草などのカバーまわりで、ボートポジションで水深約2m、キャスト地点で水深50cm~1mくらいのところ。
基本はフォールで喰わせる感じで、それで喰わなければスイミング気味にシェイクして落としていくという釣り方。でもデカいヤツは、だいたいフォールで喰ってきたね。
とにかくシャロークランクやフリップ&ピッチでやるようなカバーまわりを釣るんで、ジグヘッドはいわゆるシェイキーヘッドと言われるオフセットスタイル。だから、フッキングパワーも必要だし、もちろんカバーから素早く引き離さないといけない。パワースピン・パワーシェイカーがあればこその釣り方やったね。
ホンマに一時はどうなることかと思ったけど、この日はなんとか約14ポンドを持って帰ることができて55位からのスタートだった。
■ 本命エリアを切り捨て、超ハイプレッシャーエリアで勝負
で、2日目。初日の状況と結果をふまえて、水温がガタッと落ちた上流は捨てて、少しでも安定して魚が多い下流側で勝負しようと考えた。そこにきて霧で2時間のディレイスタート。
でも、まぁ予想通り厳しくて、朝一にワイルドハンチSRでキーパーを1本釣った後が全然続かなかった。そこからもしつこく下流でやり続けて、フリップとジグヘッドでなんとかリミットメイク。最後はなんとかジグヘッドで3ポンドフィッシュを獲って入れ替え。
だから、人が釣った後を釣らないといけないし。そんななかからなんとか絞り出して、この日は約12ポンド。前日よりウエイトを下げたものの順位は少し上げて48位。やはり全体的に全然釣れていなかったので、無理な勝負をせず確実にキーパーを獲るという作戦が功を奏して、この日もなんとかしのいで準決勝に進むことができた。
で、フリップで3本、ジグヘッドで2本獲ってリミットメイク。でも、攻め倒されていて厳しかった。同じ場所を何回か流してやっとポツッと喰ってくるような感じ。しかもサイズは小さいし。もうこの日は勝負するしかないって感じで、そこからは移動してシャロークランクを巻き続けたんだけど全然ダメ。
この1本で「こんなドシャローでも、これだけ寒くても撃ち続けたら喰ってくる」と気付いて、その後も撃っていくと予想通り1本出たものの、入れ替えはならず。ようやく見えた感はあったものの、時すでに遅しでタイムアップ。最終結果は少し上げて45位。
■ 超ハイプレッシャーのタフバスを獲る盛三のパワースピン
もっと早くからやり切っていればと考えるとホンマに悔しいね。でも、これだけの劇的な変化のなかで、それなりには収まってホッとした気持ちも正直ある。下手をすれば完全にコケていてもおかしくない展開だった。上流を思い切って切り捨てることができたのは良かったよ。練習であれだけ良かったエリアを見切るのは難しいからね。
で、今までなら避けていたかもしれない人の多いメジャーエリアで勝負できたのも、パワースピン・パワーシェイカーがあったからこそ。
カバー周りの込み入ったところを釣っていたけど、ミスらしいミスはまったくなかった。こんなところでは普通のスピニングロッドでは掛けられないし、掛けても獲れない。
でも、フィールドコンディションの劇的な変化と超ハイプレッシャー下でナーバスは魚を相手にするには、ただ強いだけのスピニングじゃダメだし、ベイトフィネスも少し違う。だから、強いだけじゃなく操作性もいいパワースピン。
軽いリグをロングキャストして正確に狙ったり、繊細にシェイクして喰わせたりっていうのもやりやすいし、特に今回はフォールで喰ってくる魚がデカかったんで、軽いリグをしっかりフォールさせられるスピニングタックルのメリットは大きかった。
これからバスマスターエリートシリーズも後半戦に入るので、あとは思い切り勝負にいきますよ。一戦一戦集中して頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします。
ロッド:タクティクス TCSC-70X ディトネーター
ライン:フロロカーボン 22lb
ルアー:4インチクローワーム 7gテキサスリグ
シンカー:E.G.タングステンバレットシンカー 7g
ロッド:ヘラクレス HCSC-68MG オセロット
ライン:ナイロン 19lb
ルアー:ワイルドハンチSR
ルアー:コンバットクランク60
http://www.morizoshimizu.jp/
清水盛三オフィシャルブログ“I HAVE NO LIMIT”
http://ameblo.jp/king-morizo/
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