中野大輔 新たな切り札・ストリームローグ135解説&ファイナルテスト熊本遠征レポート
エバーグリーンシーバスプロスタッフ・中野大輔です。
この度、かねてより試作を重ねてきた新型ミノー・ストリームローグ135がついに完成し、2023年のリリースが決定。今回は、そのストリームローグ135の開発コンセプトについて語るほか、熊本で敢行したファイナルテストの様子をレポートします。
究極の大型タフ鱸キラー・ストリームローグ135
まずオリジナルのストリームローグは全長150㎜のミノープラグ。自分が開発を行ってきた河川の大型鱸(スズキ)攻略特化型ミノープラグ群・ストリームシリーズにおいては定番のストリームデーモンの影に身を潜めるウラ定番的プラグであるが、個人的にタダのウラでは決して終わらない極めて優れた実釣性能を持つ、デーモンと同等、あるいはそれ以上に突出したルアーだと感じている。
突出したポイントを具体的に挙げるとするならば、それはタフコンディションで圧倒的に釣れるということ。タフコンディションとは、例えば、月夜、クリアウォーター、渇水、水温低下、人的プレッシャー等の要因でデカい鱸がナーバスになり口を使いづらい状況を指す。
ブリブリと水を強く押し泳ぐストリームデーモンと正反対の、水を逃す泳ぎが特徴のストリームローグは、とにかくタフコンディションでデカい鱸に口を使わせる能力が半端なく強い。また、水を逃がす特性から速い流れの中に入れても泳ぎが破綻しないことから、デーモンでは攻めきれない急流の攻略に欠かせないルアーという側面も併せ持っており、自分にとってはローグあってのデーモン、デーモンあってのローグというほど、どちらも大型鱸狙いにおいてなくてはならない存在だ。
そんなストリームローグの対タフコンディション性能をさらに研ぎ澄まし、究極の大型タフ鱸キラーを作り上げるべく着手したのがストリームローグ135である。
オリジナル・ローグ開発時には作るつもりがなかったローグ以上の喰わせミノーだが……あれから10年近くの月日が経過する中で様々な経験をして考えが変わったというのが正直なところだ。
アングラーの増加、護岸工事の進行、天候の変動よる極端な渇水と極端な増水のループなど……様々な要素からよりタフコンディションに強いルアーの必要性が高まっていると感じている。
オリジナルとの最大の違いは90cmのレンジ設定
ではここからはストリームローグ135がどんなルアーなのかについて詳しく説明していく。まず、オリジナルのローグとの最大の違い、それは潜行レンジである。
もちろんストリームローグの水を逃がす泳ぎ(控え目なウォブンロール+フリーズアクション※フリーズアクション=流れが変化しているスポットでウォブンロールがピタッと止まる動き)は継承しているが、水面下70cm程度までレンジが入るローグよりも、さらに一枚下90cm程度のレンジをトレースできるよう設定したのがローグ135。この20cmのレンジ差がデカい。
左:ストリームローグ(オリジナル)
右:ストリームローグ135
通常のコンディションであれば、経験上デカい鱸を最も効率良く狙えると感じているのがストリームデーモンの水面下40cmのレンジ設定であるが、タフコンディションでナーバスになったデカい鱸はそのような浅いレンジに不用意に身を晒すことを嫌う傾向がある。
そうした際の攻略法は主に2つ存在すると考えており、一つは水中と水上の境界レンジ(水面)でネチネチとルアーを操作する方法、そしてもう一つが、逆にしっかりとレンジを入れてやる方法だ。
前者は水面の反射や乱れ、泡沫を利用することでルアーの全貌を見せずにネチネチとしつこく誘い、下のレンジから上手く水面に誘き出し口を使わせる方法で、この方法を得意とするルアーがストリームデーモン170J。
そして後者はルアーと魚との距離を詰めることで物理的に口を使いやすい状況を作ってやる方法。ただ、当然近くを通れば何でも良いわけはなく決め手として重要なのが泳ぎの質であり、そのためのレンジ設定と泳ぎを追求した標準ルアーがストリームローグ。
そして、そのローグよりもさらにもう一枚レンジを入れることで魚との距離をビタビタに詰めてやり新たな喰わせの境地に到達すべく開発した切り札がストリームローグ135である。
ここまで聞くと、それならストリームローグの潜るバージョンでええやんと思うかもしれないが、タフコンディション、特に月夜+クリアウォーター等の条件下においては、潜航レンジが深くなり距離が詰まるほどデカい鱸はルアーをよく見るため誤魔化しが効きにくい。そこで活きてくるのがルアー全体のシルエットを気持ち押さえた喰わせ重視の135mmサイズというわけだ。
下:ストリームローグ135
サイズを下げると80以下のセイゴサイズが釣れやすくなってしまうデメリットは否めないが、全てはここ一番で超ナーバスな大型鱸を確実に仕留めに行くためのセッティングであるという意図を理解してもらえたら幸いだ。
タフコンディションの熊本でファイナルテスト敢行
さて、地元山形でフォルムやウエイトセッティングなど微調整を繰り返し、納得のいく泳ぎに漕ぎ着けたところで満を持して熊本でのファイナルテストに出かけた。
過去開発を行ったルアーを含め、開発最終段階での熊本遠征はルーティンとしており、理由は水質・干満差・鱸の血統等、地元と大きく条件が異なるエリアで問題なく性能を発揮するかを確認するためだ。
熊本にはもう何年も通っているため、まぁ単に釣果を出すのは楽勝やろなと(笑) 自分の中での目標は90アップを最低一本。これが獲れれば合格ラインかなと考えていた。心配事といえばルアーのサイズや動きの質的に数釣りみたいになったら嫌だなということくらい。
まず、初日は移動日だったが状況把握がてら夜の満潮に合わせて短時間釣行。ポイントに入りストリームデーモン170Jからスタート。
ストリームローグ135じゃないんかい!と突っ込まれそうだが、実はそのポイントでは満潮・潮止まりの水面が鏡みたいな状態の時にデーモン170Jに異常に反応するから一度やってみてくれと仲間の矢田ちゃんからのリクエストがあったのだ。しかし、反応どころか何もない(爆)
次に、橋脚にできる流れの変化と明暗をストリームローグ135で撃っていく。すると明暗の暗側で60クラスのセイゴ。
しかし、その後は何にもない。デカいサイズが喰ってこないのもそうだが、そもそもセイゴ1本のみというのも異常。デカいサイズが出ずセイゴが喰ってくる状況であれば、もっと数が出るのが普通だ。
3日ほど前から続く冷え込みの影響を受けてなのか、極端に反応が鈍い様子。まぁローグ135のテストにはむしろタフっているくらいが好都合。おおよその状況を掴んだところで早々に撤収とした。
翌日、目が覚めると強烈に腰が痛い(笑) というのも実は遠征前から腰を傷めていた。痛み止めを飲んで夜の満潮のタイミングで昨夜のポイントに入り、ストリームローグ135を投入。暫くしてキャッチするもやはりセイゴ。
しかもバイトが続かない。もちろん他のルアーも使用して反応を見るが、全くの無。正真正銘のタフコンディション……このあたりでさすがに焦ってくる。
そして、流れが結構速いポイントへ。流れが速い場所でタフっている場合は、水を逃がす特製から流れの中でも泳ぎが破綻しにくいストリームローグの独壇場となる。同じタフコンディションに強いストリームデーモン170Jは水面でネチネチ操作できる代わりに速い流れには決して強くないためだ。イコール、同様の特性を持つストリームローグ135を試すにもぴったりな状況と言える。
着水したらまず数回転ハンドルを巻き込みしっかりレンジを入れてからのドリフト。流れがキツい場所から鏡になるゆるい流れに入った瞬間、吸い込むバイト。姿が見えた瞬間一本掛かりでちょっと焦ったが、掛かりどころは悪くなく難なくキャッチ。痩せてはいたが目標達成の92。
普段自分が追いかけているウェイトのある太い魚ではないが、何かしらのプレッシャーからまともに餌を喰うことをやめてしまったであろう瘦せたデカい魚は、むしろ太い魚よりよほど喰わせにくい。ストリームローグ135のファイナルテストでの釣果という意味では価値を感じる魚だった。
仮眠を挟んだ後、今度はデカいハイブリット(有明鱸)を求め、下げのタイミングで良い流れが出る下流域をストリームローグ135で攻める。
しっかりレンジを入れてドリフト、U字軌道の切り返しのタイミングでハイブリッド85をキャッチ。まずまずサイズではあるがハイブリッドらしい太い魚。フィールドのコンディションを考えると納得感がある1本。
まだ少し時間はあったが腰痛と毎回恒例の親睦バーベキューのため釣りはここまでとした。
そうして目標としていた90オーバーも絞り出すことができ、ファイナルテストを無事完了したストリームローグ135。地域問わず河川の大型鱸を仕留める上でストリームローグは絶対必要に必要な存在であり、さらに今後ストリームローグ135がデビューすればローグですら口を使わせられなかった超タフコンディションを打破することができるようになるので、ぜひ楽しみにしておいてください。
今秋も各地でストリームローグが炸裂
P.S.
2022秋も各地で仲間がストリームローグで良い釣りをしていました。来年はローグ135もリリースされるので、使い分けでさなる釣果が期待できます。
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