2015.10.16 (金)

山田英樹 ストリームデーモンとストリームローグで狙う河川の大型シーバス【実践編】

こんにちは。エバーグリーンシーバス・プロスタッフの山田英樹です。今回は、私が地元静岡でおこなっている河川での大型シーバスフィッシングについてご紹介いたします。

【基礎編】では大型シーバスフィッシングの基礎となる、エントリー、立ち位置、ポイント観察について、また、ストリームデーモンストリームローグそれぞれの特徴について説明しましたが、ここからはパターンやシチュエーションに応じたもう少し具体的な釣り方を紹介していきます。

■ 落ちアユパターンの流しの釣り

例年秋になると各地の河川で釣果を賑わせる落ちアユパターン。弱った落ちアユを演出するためドリフトの釣りが有効になるシチュエーションですが、一般的には、アップクロスにキャストしてラインスラックを取り、テンションを張らず緩めずでかけるナチュラルドリフトが良く使われているかと思います。

ですが、ここで言う流しの釣りはテンションをまったくかけない完全な流しの釣り。言わばテンカラ釣り感覚です。

ポイントにエントリーしたらまずは狙い目になるような流れの変化を見つけます。具体的には瀬やブレイク等の地形変化に沿ってできる流れが速い所と遅い所の境目や、それに絡むヨレ等となりますが、それらをよく観察し、波打つ水面が鏡状になる場所とタイミングを掴みましょう。

それができたら、鏡状の中をルアーが上手く通過するよう狙い目となるポイントの1~2mぐらい上流部にルアーを撃ち込みますが、重要なのはその時点でトレースコースについて十分に考えておくこと。なぜなら、着水後にラインメンディングによるトレースコース選択はしないからです。

小場所や人為的プレッシャーがかかっているポイントであればあるほど、ラインが水を切る音で魚に警戒心を与えてしまいますし、ルアーに余計な負荷がかかることで必要以上に動いてしまい、見切られるということを避けるという意味もあります。

ルアーは、ストリームデーモンをメインに使用します。

慎重かつ、丁寧にルアーを撃ち込んだら、ラインテンションがかからないよう気を配りながら流れに乗せて水面に浮かべ、鏡状の中を上手く通過させます。必要以上にラインスラックが出過ぎていると感じた場合には、水面からロッドティップの間の分だけを少しずつ巻き取ります。

バイトはルアーの着水後まもなくや、鏡状の中を通過する間、ルアーが自分より下流に入りテンションがかかってU字軌道を描くタイミングに多発します。ですが、そこで出ないようでもしばらくは回収しないようにしてください。

やがてルアーが岸際に流れ着くとラインテンションが抜けるので、その場でロングステイさせます。その状態で1分ぐらい放置してから回収にかかりますが、意外にこの時喰いつくことも多いです。経験上、このロングステイで喰ってくる魚はデカいことが多いので、最後の最後まで油断は禁物です。

ストリームデーモンが水の抵抗を受けすぎてバタつくような場合には、ストリームローグを選択します。


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■ 流れを抜く釣り

激流部における釣り。まだあまり紹介されていないテクニックなので、この機会に紹介します。

一般的に流れの中での釣りと言うと、周囲より流れの強い所を探すことが多いのですが、激流部ではそれではまず釣りになりません(笑)そういったポイントのシーバスは、ボトムの障害物付近に定位しているか、流れの弱い所等に潜んでいることが多いです。そこで、普段とは真逆なことをおこないます。つまり、周囲より流れが弱い所=魚が定位しやすい所を探すわけです。

とはいえ、激流部はめまぐるしく変化しているため、それを目視で探すことは困難。ではどうやって探すかというと、激流の中にルアーを流しそのアクションや抵抗の変化によって探します。そのためには、レバーブレーキ付のリール、もしくはベイトリールを組み合わせたタックルが圧倒的に有利です。

また、主に使用するルアーはストリームローグデーモンだとバランスを崩して浮き上がってしまうような速い流れの中でも、ウォータースルーダクトのおかげでしっかり活躍してくれます。

さて、ポイントにエントリーしたらルアーを撃ち込んでいきますが、今度は不要なラインスラックを必ず出さないようにします。強い流れの中ではルアーはあっという間に下流へ流されてしまうのでいくらテンションがかかり過ぎないよう気にしてもムダですし、この釣りではルアーから手元に伝わる変化を感じ取ることが重要なのでラインスラックはない方が有利です。そこで、キャストの際は着水前にサミングし、着水したらすぐに超高速で糸ふけを回収します。

そして、ルアーが自分より下流に入り、もろに水流を受けてバタバタと暴れ始めたら、レバーを切ってラインを出し、過大になった水流を抜いてやることでルアーが暴れないようテンションを調節します。これを次々に繰り返すことで、激流の中にルアーをなじませることができるわけです。

コツはとにかくルアーを暴れさせないこと。そして、流れの弱い箇所を見つけていくことです。流れの弱い所では、ルアーは漂います。手元に伝わるルアーのアクションや、抵抗の強弱に集中していれば、やがてルアーが横にスライドしたり、ルアーの動きが止まったりするような感覚を覚える瞬間が訪れるはずです。それが分かれば、もはや流れを抜く釣りを習得したも同然。その瞬間にバイトがきますよ。

言葉で説明するのが非常に難しく、それ故にこれまでほとんど紹介されることがなかったこの釣り方ですが、普段人が撃たない場所を攻めることができ、時期的にもシーバスが産卵で川から落ちる厳寒期以外は有効になる、かなり強力なテクニックです。

この文章だけではなかなかピンとこない部分もあるかと思いますので、ぜひご自身のホームエリアにある激流部に足を運んで実践してみてください。魚が応えてくれるはずです。


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■ タックルについて

さて、激流部をはじめとする流れの速いフィールドでは、タックルも重要です。まして、大型のシーバスを狙うとなれば、なおさらです。掛けた後、いかに確実に、素早くデカい魚を捕るか……

ラインブレイクしたとか、障害物に巻かれたとか、流れに乗られてしまって捕れなかったとか、いろいろと掛けてからの難関が多いのもこの釣りの醍醐味ですが、小さかろうがデカかろうが、掛けた魚はキッチリ捕って、ルアーを外して優しく元気に帰してあげるのはアングラーの務めだと私は考えています。

ここ3年ほど、流れの速いフィールドでの大型シーバスフィッシングに特化したロッドを開発するべく、日夜テストに取り組んでおります。画像の魚はすべてそのプロトロッドで釣っております。もう少しで完成です。ご期待ください。

河川で釣りをする際は地方自治体や漁協が定めた禁漁期間・禁漁区間等のルールは正確に把握し、ルール・マナーを守って楽しみましょう。

■タックルデータ
ロッド:アバンギャルド プロト78(小場所リバー・急流用)
ロッド:アバンギャルド プロト93(大場所リバー、河口・サーフ用)
ライン:PE1.5~2号
リーダー:フロロカーボン25~35lb
ルアー:ストリームデーモン
ルアー:ストリームローグ

山田流・大型シーバスフィッシングの基礎を解説した【基礎編】はコチラ!


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