清水盛三が語る これぞパワーフィッシング! ジャックハンマーSBで春のリザーバーを完全攻略
春の高山ダムで清水盛三のパワーフィッシングが炸裂。50アップを筆頭に40アップ複数本を含む39本の大爆釣劇。
スポーニングに絡む魚が増え、数は釣れるがサイズが上がらない状況の中、いかにしてビッグフィッシュを絞り出したのか……これが盛三のパワーフィッシング考、動画と合わせてぜひご覧ください。
アメリカでは鉄板パターン、プリスポーンのトップウォーターゲーム
みなさん動画を見ていただけましたか? ジャックハンマーSBで炸裂! プリスポーンの50オーバーや複数本の45クラスを含め、30本以上の固め釣りという凄まじい結果! これがパワーフィッシングの爆発力! 今回は、The Hit高山ダムロケの大爆釣劇の話をしますね。
ロケは5月初旬。朝の水温は17度台。天気は曇りで、ごく弱く風が吹いている。水の色はステイン気味。スポーニングの進行状況が気になるが、水面でベイトフィッシュがピチャピチャとしているのを見て、朝一はフィーディングのバスも拾えるかなと考えた。そこで、まずはフラットフォース(#272 キングシャッド)からスタート。
そして、開始10分程でいきなり1本目をキャッチ。しかし、サイズは小さい。その後、同じくフラットフォースで2本追加したもののサイズが伸びない。
流しながら岸際を観察していくと、小さいオスがシャローにいるのが見えるがメスの姿はない。
このままクランクベイトを巻いていけば、数はたくさん釣れそうな感じだったし、数を釣れば、その中にデカいメスが混ざる可能性もあったとは思う。でもそれじゃあ勝てない。長年アメリカのトーナメントに参戦することで染み付いたそんな思いから、次に選んだルアーはバブルトルネード(#12 スーパーブラック)。
バスのムードやポジションが変わりやすいスポーニング時期。他の季節と比べて考慮しなければならない要素は多い。しかも、広大な国土と地理的要因ゆえ、気象現象が多様かつ気象変化が激しいアメリカでは、狭く比較的穏やかな気象の日本とは比較にならないほど、バスの行動が短時間の内に劇的に変わってしまう。
そんな激動する環境下で、最強アングラー達と競い、コテンパンに打ちのめされながらも必死に食らいつき、学んで、練習することで様々なテクニックを習得していった。その1つがスポーニング時期のバズベイト。
オスがいる周辺をウロウロするメスのバスを反応させる力を持っている。体力があるビッグフィッシュだからこそ、まだ水温が低めのこの時期でも、水面まで出てくることができるとも言える。かなり前になるけど、日吉ダムと小野湖のロケでスポーニング期のバブルトルネードがキーになったことがあったね。
さらに遡って、日吉ダムで50オーバーを連発させたのもこの時期だった。ルアーはシャワーブローズだったけど、春のビッグバスを水面におびき出すという基本的な考え方は同じ。
違いと言えば、日吉ダムに目立ったカバーはなかったけど、今回の高山ダムは岸際に細い立木がたくさんあったこと。なので、その中をトラブルなく引きやすいバブルトルネードを選んだ。
バブルトルネードに変えて、すぐにアベレージサイズが釣れた。アメリカでの経験が活きる。
その後、デカそうなサイズが水面を割った。「よし、狙い通り!」と思ったのも束の間、フッキングには至らない。もう1本アベレージサイズを追加した後、反応が鈍くなってきた。
ジャックハンマーSBでついに40アップ。でも何か違う……
でも、狙い通り1発良いサイズが出たので、このままやり切れば、数は伸びなくてもサイズアップが期待できる。ただ、喰いが浅く乗らなかったことを考慮して、この時期に効くもう1つの武器を使うことにした。
それがブレーデッドジグ、ジャックハンマー。ご存知の通り、発売以来、毎年アメリカの春のトーナメントで(最近は春だけじゃなく夏も秋もだけど……)高確率でトップ10に入り、何度もウイニングベイトになっている恐ろしいルアーだよね。
もちろん日本の春にも効果的で、僕も、昨年春の東条湖や鴨池、旧吉野川の動画で、このルアーを紹介させてもらっているよ。
そんなジャックハンマーだけど、今回の高山ダムは、水質がややクリア気味のステインだったこと、関西の人気フィールドであることを考慮して、オリジナルのジャックハンマーより若干アピール力を抑えた、ジャックハンマーSB(#27 チャートシャッド)を選んだ。
そして、トレーラーには、小刻みな動きのピンテール系のバスエネミースティック5インチ(#97 スーパーワカサギ)をセットした。
ウエイトは1/2oz。日本の急深なリザーバーでは、まず最初に投げる定番ウエイトだね。
このルアーチェンジがハマり、2投目ですぐに1本キャッチした。しかも、今までと違いサイズもアップ。さらに、バイトが深い。これは期待できる……!? しかし、そんな気持ちと裏腹に、何か少し違うという違和感もあった。
うまく言い表せないが強いて言えば、岸際の水中に見えるオスのポジションと、先ほどのバズベイトに出たデカい魚が頭の中に残っていて、ビッグフィッシュを反応させるには、もう少し浅いレンジを引いた方が良いかも……という感覚があった。
バンクに沿ってボートを流しながらも、頭をフル回転させ状況分析を続ける。そして、またもバイト。ビッグフィッシュらしいアタリの出方だったが乗らない。やはり、もっと浅いレンジを通した方が良いのか……と、ここで1/2ozから3/8ozに結び替えることにした。
思いついたことを行動に移す。バスフィッシングにおいて、これは凄く重要なこと。結び替えるのを面倒くさがっていては、チャンスを逃してしまうかもしれない。
とはいえ、試したことが結果につながらないことも多い。でも、それが経験値になる。このような試行錯誤を経て引き出しが増えていく。人間の感覚では些細な違いだと思っても、結果が大きく変わることも多々あるので、とにかく思いついたことは試してみることが重要。
ここでは、1/2ozで1.5mレンジを引いていたのを、3/8ozに替える1mレンジを引いてくるイメージだ。たった50cmと考えるのか、50cmもと考えるのか……
また、サイズアップを狙う場合、深い方から浅い方にレンジを変えるというのは逆のように感じるかもしれないが、それは季節や天気、水の色による。この日は曇っていたこともあって、ビッグバスは上を意識している気がしたので、少し浅いレンジを引いてみようと考えた。
1/2ozから3/8ozへのチェンジで劇的な差が生まれる
そして、ルアーチェンジしてすぐに2連発。だが、釣れたのは今まで同様、かわいいサイズ。ダメなのか……?
しかし今回は違った。
サイズこそ小さかったが、この2匹が、「3/8ozでいけるかも……」と感じさせてくれる、大きなヒントを与えてくれたんだ。
「足元で喰ってきた」
映像を見ると、2匹とも、魚を抜き上げる時に、そんな言葉を発している。それがどうしたと思うかもしれないけど、この時、「これは大きな違いになる」と感じていた。
一般的にスポーニングに絡む時期は、あまりルアーを追いかけて来ないもの。にもかかわらず、3/8ozに変えた直後のこの2匹は、この日釣った他のバス達と違い、足元までルアーを追いかけて来ている。そして、ルアーに追いついて、ズバッと吸い込んでいる感じで、手元に伝わってくるバイトの感覚も今までとは違った。
魚のサイズが小さかったことよりも、その喰い方に意識が向いていた。ルアーの力で足元まで魚を引っ張ってきているということは、ルアーが合っている証拠。あとは場所さえマッチすれば、必ずビッグフィッシュが獲れる……そう確信させてくれる、サイズ以上に大きな魚だった。
そして……予想が的中。ついに、グッドコンディションの40アップが来た。ジャックハンマーSBをしっかり吸い込んでいる。
狙い通りの展開に俄然集中力が高まる。その後、アベレージサイズが混ざりながらも、またしても40アップをキャッチ。この魚もバイトが深い。完璧にパターンを掴んだ。この釣り方で押し通せば、プリスポーンのメスを10本獲れるかも……
そう話していた矢先、ロッドが絞り込まれ、明らかに今までとは違う力強い引きが……水面を割ったバスのサイズは明らかにデカい。
慎重にハンドランディングした魚は、プリスポーンの50オーバー。ジャックハンマーSBを丸飲みした会心の1本。
そこからの釣れっぷりも凄まじかった。40アップ混じりでコンスタントに釣れ続け、終わってみればトータル39本という大爆釣劇。カメラマンからは「これ以上釣っても、もうVTRに入りませんよ(笑)」と言われながらの撮影だった。
巻き物&パワーフィッシングで釣るためのモリゾー流思考法
完全にパターンにハマっていた。やったことと言えば、ボートをバンクに沿って流しながら、ジャックハンマーSB 3/8ozを投げて巻き続けただけ。何も特別な技を使ったわけじゃない。これが、釣れるルアーのポテンシャル。投げて巻くという基本動作を繰り返すだけで釣れる。
重要なのは、その日その時の状況に合ったルアーをいかに選ぶか。答えを求めて試行錯誤を繰り返す過程。
強いてひとつテクニック的なことを挙げるとすれば、ビッグバスが釣れた時のリトリーブスピードを覚えておくことぐらい。そしてあとは、そのスピードで巻き続ければ、ビッグフィッシュが釣れる確率が上がるというわけだね。
ただし、1秒間にリールのハンドル何回転とか実際にリールを巻くスピードで覚えるのではなく、ルアーの振動が手元に伝わってくる感覚で覚えておくことが重要なんだ。ボートを流す速度や方向によってルアーの動きが変わらないようにね。デカいサイズを釣った時なんかは、頭が真っ白になって、それどころじゃないことも多いけどね(笑)
今回はカラーローテーションも必要ないくらい、最初からカラーもバッチリ合っていたね。
チャートシャッド(#27 )1色で通して全てのバスをキャッチした。ベイトフィッシュがチラチラ見えていたのでホワイト系、そして水に少し色が付いていたから、アピールのワンポイントになるチャートのラインが入っているこのカラーを選んだんだ。
ひとつのカラーでここまで釣れ続けたことは、このカラーに釣る力があることを物語っているよね。
これだけの爆釣劇だったけど、ウエイトのある40アップで揃えようと思うと、そう簡単じゃなかった。スポーニング期なので、バスがいるところは比較的わかりやすかったかもしれない。
でも、その日その時のベストルアーを見つけない限り、ここまでの釣果は叩き出せないし、たとえルアーが合っていても、実際に釣ってみないとサイズがわからない感じだった。
だから、ジャックハンマーSBでいけると確信を持ってからも、ビッグサイズと出会う確率を高めるために、広く流したんだ。これがパワーフィッシングの力。アメリカだけの話じゃない。
もちろん、撃ちが良い時、フィネスが良い時もある。でも、パワーフィッシングという引き出しがあれば、今回のような爆釣劇だけでなく、ノーフィッシュを回避する1本を獲れるかもしれない。
アメリカと違い、狭いフィールドが多い日本だけど、魚の数も少ない場所が多い。狭いフィールドでも魚の密度が薄ければ、動き続けてバスに巡り合う確率を上げるのも1つの戦略になる。
今回お見せした釣り方もしかり、長年アメリカのトーナメントに参戦する中で培ってきたテクニックや考え方は、多種多様な状況に対応するために必要なエッセンス、すなわちバスフィッシングの本質が凝縮されているんだと思う。
これからもずっとバスフィッシングを楽しむために……ぜひ日本のアングラーのみなさんにも、この記事と動画が参考になればうれしいですね!
[ロッド]ヘラクレス HCSC-73HG レパード
[リール]ジリオンSV TW 6.3:1
[ライン]フロロカーボン 16lb
[ルアー]ジャックハンマーSB 3/8oz、1/2oz
[トレーラー1]バスエネミースティック 5インチ
[トレーラー2]フラットピンテール
[ロッド]シナジー CSYC-610ML リッピンフィート
[リール]ジリオンSV TW 6.3:1
[ライン]フロロカーボン 10lb
[ルアー]バブルトルネード 3/8oz
[ロッド]プロト
[リール]ジリオンSV TW 5.5:1
[ライン]ナイロン 15lb
[ルアー]フラットフォース
■関連サイト:サンテレビ The Hit
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