菊元俊文 霞ヶ浦水系 W.B.S.ジャパンオープン優勝レポート
菊元俊文です。9月29、30日に渡って霞ヶ浦水系で開催されたW.B.S.ジャパンオープンにエバーグリーンプロスタッフ飯田秀明とチームを組んで出場し優勝することができました。
自らがプロデュースしたラバージグ・カバークリーパーとワーム・アントライオンが勝利に貢献してくれました。飯田君のバスエネミーでのフォローも大きかったです。
超久しぶりの優勝です。みなさんありがとうございました。
プラクティスは霞ヶ浦本湖から北浦まで幅広く見ましたが、爆風の日が多く、エリアに辿り着くことはできてもまともに釣りの動作ができる場所は少なかったです。
しかしながら、Dゾーン3/8oz、ジャックハンマー3/8oz & ツインテールリンガー4.7インチの巻きにはナイスフィッシュのバイトが出ていました。試合前のThe Hitのロケも外浪逆浦、北浦のDゾーンで何とか凌ぎました。巻き物への反応が良くなってきていることはわかりました。
DAY-1 攻めの菊元&フォローの飯田 完璧な役割分担でリミットメイク
明けて本戦。
ベイトの気配もなく、ここはダメと判断し、普段は浅くて近づけないアシに絡むブッシュ、杭が絡むストレッチへ移動。ファーストフィッシュは岸から少し離れた杭で来ました。自らがプロデュースしたカバークリーパー3.5g & アントライオン3.3インチをひったくったのは、いきなりのキッカーフィッシュ1,500g!
良いムードのまま流していき、ブッシュ下へカバークリーパー & アントライオンを滑り込ませるとまたまたバイト。推定キロアップ。しかし、これはボート際でバラシ。でも、まだまだ気持ちに余裕がありました。
その後、9時になり予定通りプラクティスとThe Hitの撮影で魚を確認していた北浦へ移動。プラ、ロケ共に最も良いと思ったストレッチが風でドバドバになり、まともに流せなかったので、魚が温存されていると考えたからです。
ところが、到着するとそのストレッチには先行者が張り付いていました。仕方ないので離れた場所の矢板にキンチャクが絡むストレッチをDゾーン3/8ozダブルウィローで流します。
偏光グラス越しに見えた僅かな障害物の際にDゾーンを通すと水面近くでバイトミス。沈めるとすぐ引っ掛かるキンチャク故に目で見えるレンジを引いていました。ここですかさず「あの先端の30cm右に投げて!」と飯田君に指示。バックシートの飯田君はバスエネミー3.5インチバックスライド。僕が思っていた通りの場所に飯田君のナイスキャストが決まり、ラインが走り……キーパー2本目。
その後も同じく僅かな障害物の際でDゾーンにミスバイトした直後、同じくすかさず指示。同じことがデジャブのように再現され3本目がまたしてもバスエネミーをひったくりました。飯田君のファインプレイです。このストレッチはプラでは強風下で釣っていないストレッチです。今思えば、この時にはすでにチームのお互いの役割分担が完成していたように思います。攻める菊元、フォローに徹する飯田です。
その後、本命ストレッチに目をやると先行者がまだ粘っています。「あっちは彼らのマイウォーターやな」と諦め、対岸の矢板へ移動。その後、北浦を数か所釣るも感触なし。12時までと決めていたので、霞ヶ浦本湖まで戻りました。このように試合で大切になるタイムマネージメントも上手くできたのが良かったです。
途中、外浪逆浦の釣れていたストレッチも一瞬迷いましたが、通り越したのも結果的には良い判断でした。朝にビッグフィッシュが出たストレッチ周辺のカバーへ到着したのは昼過ぎ。増水したカバーは下からスキップで入れる隙間がなかったので、仕方なく上から枝の隙間にカバークリーパーをねじ込みます。
着水後すぐに押さえ込むようなバイトを感じフッキングさせますが、枝に巻かれてバスが出て来ません。ラインはマジックハードR14ポンド。ラインが切れる不安はありませんでしたが、強引に引っ張ると身切れしたり、枝が自動鈎外しのようになってバラす経験をしていることから、微妙なテンションを保ちバスを枝にぶら下げながらエレキでバスを迎えに行きます。
ただ、増水しているとはいえ超シャローなので、自分の手が届く正面にはエレキがこすって近づけないと瞬時に判断し、外側に船首をずらし、飯田君にランディングを委ねます。飯田君は身を乗り出して両手でしっかりとランディングしてくれました。これが余裕のキロアップで4本目。1人ではバラしていたかもしれない魚。2人一組のチーム戦ならではのファインプレイでした。
カバークリーパーを撃ち込んだブッシュはテキサスやゼロダンを撃つようなヘビーカバーでしたが、今までのテストの経験から適度なスタック感がありながら根掛かりせず、思い切り合わせても伸びないフック強度を信頼していたカバークリーパーを選んだのが正解でした。コンパクトジグと言ってもラバージグは込み入ったカバーの中で存在感を放ちます。スモラバではスタックを恐れてできない攻めを可能にしたのがカバークリーパーです。
その後、小さいながら飯田君がアシ際で貴重な5本目のキーパーをキャッチ。バスエネミーのバックスライドリグでした。リミットが揃って思わず2人でハイタッチ。
その後、入れ替えの魚を求めてランガンするも僕がインビジブルのブッシュに入れたカバークリーパーにショートバイトのみで帰着。ウェイインは3時。初日、5本4,265gで8位。上から2本の1,500gフィッシュと1,100gフィッシュはカバークリーパー3.5g & アントライオン3.3インチの魚、残りの3本はバスエネミー3.5インチでした。
DAY-2 ジグ番長の本領発揮 カバークリーパーでキロオーバーを連発
明けて30日は朝から大雨。聞くと夜に宿のブレーカーが落ちてバッテリーチャージをやり直したとのこと。ちょっと嫌な予感。でもスタート時はエンジン快調でした。
フライト順が逆で早いスタートだったので近場のブッシュから攻めましたがダメ。次に、プラで釣っていたブレイク絡みの石積みでワイルドハンチを投げるもノーバイト。その時、何故か閃いて飯田君に「エネミーテキサス投げてみて!」と指示。その1投目がビンゴ!ナイスキーパーをキャッチしてくれました。バスエネミー4.5インチの5gテキサスリグの巻きは飯田君がプラから自信を持っているリグ。それを聞いていたことを思い出したのです。なんかやっぱり冴えていました。
その後、ジャカゴへ移動するも風当たり強すぎて、まともにできないので移動しようとすると、朝の懸念が現実に。警告音が鳴りエンジンが掛かりません。魚探のバッテリー表示を見ると極端に低い数値。これは「やはり充電ができてなかったか……」と一瞬慌てそうになるも、冷静にエレキ用のバッテリーと交換することで対処し、エンジンは無事始動。
タイムロスはありましたが気を取り直し、飯田君のリクエストで昨日最後にミスバイトしたストレッチへ移動……のつもりでしたが、そのストレッチに行く前にボートをストップ。なぜか気になりました。そして、カバークリーパーで沈みものをチェック。その後、目に見えるマンメイドに目を向け、Dゾーンに持ち替えます。
この日は強風が吹き荒れましたが、少し風裏になっているブッシュの奥にカバークリーパーをスキッピングで送り込みます。着水点は見えません。フォースグランディスLTSで聞くと細い枝のコリコリした感触を感じた直後、ラインが走り出し、すかさず大きくアワせると、幸いなことに魚が凄い勢いで走り出してカバーから出て来てくれました。一瞬「キャットか?」と疑ったのですがさにあらず。次の瞬間には黒々とした1,300gオーバーをデッキに抜き上げていました。飯田君がまたまた「写真撮りますか?」と聞いてくれたのですが、「いや試合なんでやめとこか」と気を引き締めます。
その後は狙っているストレッチにも強風が吹きつけてきたので、少し沖にシフト。沖の鉄杭にまたまたDゾーンに持ち替えて1投目。水深60cmくらいをリトリーブすると、またまたバスがDゾーンをひったくりました。この魚は後に入れ替えとなりましたが、この時「冴えてるっ!今日は神懸っている!」と強い気持ち、強いコンフィデンスを持つことができたのは大きかったです。
自信を持ってそのまま流しつつ、狙いのブッシュを見ると1か所の隙間が僅かに風裏で静かなのが観察できました。そこにカバークリーパー &アントライオンを放つと「コン!」という明確なバイト。深いフッキングを確信し、強引に引きずり出します。そして、マジックハードR14ポンドの強度を信じ、またまた抜き上げました。この魚が2日目最大のキッカーとなる1,400g。これでリミットメイク。初日に続いてさらに熱いハイタッチをかわしました。最高のムード。「あとはキロに満たない2本を入れ替えること!」
この後、不思議な「間」が……風でボートが岸に打ち上げられるのを防ぐためパワーポールで固定してこの魚をライブウェルに入れると、飯田君がふいに「使うロッドがはっきり決まったので、残りの使わないロッドをロッドストレージに仕舞っていいですか?」と聞いてきました。僕はすかさず「ええよ」と返事し、一旦デッキの僕のロッドをどけて、ストレージに飯田君がロッドを仕舞うのを待っていました。
この間で殺気が完全に抜けて仕切り直し。つい先ほどキッカーを釣ったブッシュに「もうおらんかな?」と角度を変えて撃ち直します。カバークリーパーは神業のごとくブッシュの僅かな隙間へと吸い込まれ着水。その直後またしても明確なバイト。バキューンと全力でフッキング。またまた余裕のキロアップを抜き上げました。まさしく「おったなぁ!」絶妙の「間」によって奇跡的な2投連続でのキッカーに繋がりました。
魚を入れ替えて、全ての魚をばね秤で軽量。5,600gは超えています。ただ、初日の差が大きいだけに最後に残った700gを入れ替えるランガンの旅に出ます。しかし、爆荒れかつ大雨の霞は行く先々で濁りを急激に増し、強風で撃てる場所も少なくなっていました。最後は雨も上がり穏やかになりましたが、最後のストレッチも先行者に撃たれた後で入れ替えはかなわず……これが自分の弱さと課題。
朝のバッテリー、エンジンの不安があったので、早めに帰着。そしてウェイイン。まあまあの手応えがあったので、W.B.S.本部に最後の方のウェイインをお願いしました。
暫定トップのまま、ステージ上で最終ウェイインの蛯原、星野チームの検量を待ちます。ランチング前にエビちゃんが5本持っていて入れ替えしていることは聞いていたので、正直「負けたな」と思っていました。
しかし、結果は僅か80g差で8位からの大逆転優勝。反射的にこぶしを握り締めている自分がいました。勝ちに飢えていたのだと思います。
菊元俊文、飯田秀明「チームEVERGREEN」が優勝。蛯原英夫、星野和正「チームEG210エリート」準優勝と強いエバーグリーンを印象付けた平成最後のW.B.S.ジャパンオープンとなりました。
唯一の10キロ超えで霞ヶ浦戦を制したウイニングタックル紹介
■菊元俊文タックル①
[ロッド]ヘラクレス HCSC-66MLTS フォースグランディスLTS
[リール]ZPI Z-PRIDE レフトハンドル
[ライン]バスザイル・マジックハードR 14lb
[ルアー]カバークリーパー3.5g #201グリーンパンプキン、#202シークレットスモーク
[トレーラー]アントライオン3.3インチ #01グリーンパンプキン・BK
▶カバークリーパー
自らがプロデュースしたジグとワームで勝つことができて最高です。カバークリーパーはスモラバでは根掛かりが多発して入れられないカバーを攻め抜くために生み出したコンパクトカバージグです。テキサスやゼロダンを入れるような相当ヘビーなカバーに撃ち込んでいます。またスキッピングもしやすいのでオーバーハング最奥へ撃ち込めます。フックは14~16ポンドでアワせてもビクともしない強靭さがあり、シルキーコートで抜群の刺さりのDECOY製。フルサイズのジグではバイトしてくれないトーナメントフィールドやタフコンディション対応のジグとして生み出しましたが、ウイニングルアーとなることでコンセプト通りの威力を証明してくれました。
▶アントライオン
後方重心でキャストが決まりやすく、様々なパーツが勝手に複雑に動いて仕事してくれるワーム。着底後の倒れ込みでの水押しでバイトを誘発してくれます。シルエットは長くならずコンパクトなので吸い込む力が弱い時でもショートバイトになりにくいのが特徴。カバークリーパーにベストマッチのトレーラーです。
■菊元俊文タックル②
[ロッド]フェイズ PCSC-66M ウォリアー
[リール]メタニウムMG ZPI NRCチューン
[ライン]バスザイル・マジックハードR 14lb
[ルアー]Dゾーン3/8oz ダブルウィロー #16スーパーチャート
▶Dゾーン
中層を一定のレンジで引くことを狙ってダブルウィローを選択しました。
■飯田秀明タックル①
[ロッド]フェイズ PCSC-63ML レーザーショット
[ライン]バスザイル・マジックハードR 14ポンド
[ルアー]バスエネミー3.5インチ 1/32ozバックスライドリグ(増田哲リグ改)
▶レーザーショット
軽いリグを正確にキャストしやすく、トントンとホップさせるアクションも付けやすいです。ノーミスでキーパーをキャッチしています。
■飯田秀明タックル②
[ロッド]ファクト HFAC-67MHST
[ライン]バスザイル・マジックハードR 12ポンド
[ルアー]バスエネミー4.5インチ 5gテキサスリグ
[シンカー]E.G.タングステンバレットシンカー
▶HFAC-67MHST
巻きのテキサスで使用するため喰い込みの良いソリッドティップを選択しました。
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